守る編

第15章 安全に移動するために

1. 夜間・冬季に避難する場合

 見通しが悪くなる夜間の避難には危険も伴います。やむを得ず夜間に避難する場合は、できるだけ単独行動を避け、隣近所の人と一緒に行動するようにしてください。停電している際は、懐中電灯を使って周囲の安全を確認しながら慎重に避難しましょう。転倒や転落の危険性があるので、水路や川沿い、狭い道は避け、広い道を選ぶことも大切です。

 また、冬季は空気が乾燥し、ストーブなどで火気を使う機会も増えることから、火災も発生しやすくなります。炎や煙が遠くに見えた場合は、燃え広がる可能性も考慮して迂回するようにしてください。

  • 夜間に避難する場合は隣近所の人と一緒に広い道を通る

2. 落下物から身を守る

 落下物が直撃すると負傷したり命を落としたりする危険があります。住宅地の場合は、屋根瓦やエアコンの室外機、植木鉢といった落下物の危険がないか十分に確認しましょう。オフィス街や繁華街では、看板やネオンサイン、ガラスの破片などが落ちてくる可能性もあります。ヘルメットや防災頭巾をかぶっていない場合は、カバンや上着などで頭部を守ってください。そのほか、家の塀や自動販売機、電柱などが崩れたり倒れたりする可能性もあるので、離れて歩くようにしましょう。

3. 切れた電線には近づかない

 切れたり垂れ下がったりしている電線にも電気が通っていることがあるため、触れると感電するおそれがあります。電線に木や看板、アンテナ、ビニールハウスといった飛来物が接触していたり、電柱が傾いたりしている場合も同様に危険です。絶対に近づいたり触れたりせずに、電力会社まで連絡してください。

  • 切れたり飛来物が接触していたりする電線には注意

4. ひび割れた建物に注意

 大きな揺れが収まっても、その後の余震などによって建物が倒壊する可能性があります。倒壊した建物だけでなく、傾いたり柱や壁などにひび割れが生じたりしている建物にも、近づかないようにしましょう。

 また、人命に関わる二次被害を防ぐために自治体が建物の応急危険度判定を行うことがあります。判定結果は「調査済み(緑色)」、「要注意(黄色)」、「危険(赤色)」の三段階に区分され、建物の出入り口など見やすい場所に表示されます。「調査済み(緑色)」であれば、建物は使用可能な状態と考えられますが、注意書きがあったり調査が外観に限定されていたりするなど条件が付いている場合があるので注意してください。

5. 家屋に挟まれた人がいたら

 倒れた家具や倒壊した柱などに挟まれている人を発見したら、周囲に声をかけて人を集め、協力して救出します。「てこの原理」や自動車に積んであるジャッキなどを活用するのも良いでしょう。挟まれている人に声をかけながら、慎重に作業を進めてください。救出できたら負傷の有無を確認し、やけどや出血、骨折・打撲があれば応急手当を行い、必要に応じて救護所に運びます。

 もし、意識がない場合は周りの人に119番通報とAEDの手配を頼み、呼吸状態の確認を行います。正常な呼吸がなければ、反応が現れるか救急隊に引き継ぐまで胸骨圧迫30回、人工呼吸2回を繰り返します。

  • 正常な呼吸がなければ心肺蘇生法を始める

6. 防災体験施設で災害模擬体験

 地震、台風などのさまざまな災害に備えるために、体験しながら学べる無料の防災体験施設が全国各地にあります。震度7までの横揺れ、強風、煙避難、消火器での消火訓練などの各種災害の模擬体験を通じて、災害について総合的に学ぶことができます。屋内施設がメインなので、雨の日のおでかけにもちょうどよいですし、子ども向けの設備・サービスなどもあったりしますので、家族で体験して防災について考えるきっかけにしてみてはいかがでしょうか?

■全国の主な防災体験施設検索サイト