広範囲・低電力のZETA通信普及で、超スマート社会に貢献

 凸版印刷株式会社(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:金子 眞吾、以下 凸版印刷)は、低電力広域ネットワーク(LPWA)(※1)規格ZETAの基幹部品である、通信モジュール「TZM901」シリーズを開発、量産を開始しました。

 ZETAとは、広範囲・低消費電力・低ビットレートの新しい無線通信規格で、凸版印刷はエレクトロニクス事業で培ったモジュール設計技術により、日本製ZETA通信モジュール「TZM901」を設計。ZETAアライアンス(※2)の会員である十和田エレクトロニクス株式会社(本社:東京都品川区、代表取締役社長:蒲生 雅一)と連携し、同社の製造ラインにて試作、製造及び量産に向けた信頼性評価を行ってまいりました。
 今回、従来製品と比較して約40%の小型化、および周波数誤差や受信感度などの性能向上を実現。さらに、2017年10月1日の電波法施行規則等の一部を改正する省令で追加された「狭帯域の周波数利用における周波数利用効率の向上を図るための指定周波数帯による規定」に適合した工事設計認証(認証番号006-000704)を本製品は取得しており、920.6∼928.0MHz(200kHz間隔38波)を2kHzの狭帯域で利用が可能です。これにより、電波干渉に強く、信頼性の高い通信を実現できます。
 また、UARTとI2Cコネクタを搭載し、100種類以上のGroveセンサーモジュールと接続が可能なZETA通信モジュール向けの評価ボードも同時に開発しました。今後、ZETA対応のデバイス開発や実証実験、産学連携におけるハッカソンイベント等での活用を目指します。

ZETA通信モジュール「TZM901」
ZETA通信モジュール「TZM901」
ZETA通信モジュール評価ボード
ZETA通信モジュール評価ボード

背景

 IoT製品の本格普及に向けて、データを多数のセンサー端末から収集する方法として、省電力性と広域性に優れ、低コストでネットワーク構築が可能な無線通信であるLPWAネットワークが注目を集めています。LPWAの中で、ZETAは、超狭帯域 (UNB: Ultra Narrow Band) による多チャンネル通信、中継器を用いたメッシュネットワークによる広域での分散アクセス、双方向での低電力通信が可能といった特長を持つ規格です。これまでのLPWAでは対応が困難だった山間部やトンネル、障害物が多い市街地、地下などの通信が届きづらい環境下でも、電池で駆動する中継器を設置することで、低コストに通信エリアを拡大し、安定した通信を行うことが可能となります。この特性を活かし、スマート農水産業、インフラのモニタリング、防災・獣害対策など、様々なIoTサービスの市場開拓が期待されています。凸版印刷は、2018年9月、ZiFiSense Co., Ltd.と、株式会社テクサーとの協業により、ZETA通信モジュールの国内における製造ライセンスを取得し、開発を行ってまいりました。
 今回、TZM901の量産開始により、ZETAを活用したIoT事業を推進していき、社会問題の解決に取り組みます。

ZETA通信モジュールの特長

1)ローパワー双方向通信
2)アドホックネットワーク: 給電後、自動的にネットワークに接続
3)セルフヒーリングネットワーク: 接続が切れた後に、ネットワークの再接続を試み、データ通信の信頼性を保つ
4)ルーティング機能: 最適なトポロジーおよび通信スケジュールポリシーを選択し、効率的な通信を実現
5)UART接続インターフェース:UART接続により、マイコンを介して一般的なセンサーと接続でき、シンプルな製品開発が可能

ZETA通信モジュール用評価ボードの特長

1)UARTとI2Cコネクタを搭載
2)100種類以上のGroveセンサーモジュールと接続が可能
3)4×2のピンソケットでStrawberry–Linuxの各種センサーに接続が可能
4)オンボードマイコン(PIC16F15344)によりスタンドアロンで駆動

今後の目標

 凸版印刷は、自治体向けを含むソーシャルビジネス、物流・流通分野、建築資材分野など、幅広い事業領域に向けて拡販。ZETAを活用したIoTサービス開発も並行して推進し、関連事業で2022年に10億円の売上を目指します。
 また、ZETAの普及促進を目的として設立されたZETAアライアンスは、2018年8月に設立して以来、現在までに国内で会員数が50団体を超え、今後ZETA対応のデバイス開発を促進することで、会員間でのビジネスマッチングを加速し、Society5.0で掲げられている超スマート社会の実現に貢献します。

十和田エレクトロニクス株式会社について

 事業内容:ハードウェア、ファームウェア、アプリケーションソフトからメカニカル設計、グループ企業との連携により国内工場、海外工場で製造までの一貫したEMSとしてトータルソリューションサービスを提供。

(※1) LPWAとは、Low Power Wide Areaの略で、低消費電力で遠距離通信を実現する通信方式です。「アンライセンス方式」と「ライセンス方式」とに分かれております。ライセンス方式の LPWA は従来の携帯キャリアのように総務省から包括免許を取得して事業を運用する必要がありますが、無線局免許が不要なアンライセンス方式の LPWA は、個人や企業レベルで運用を行うことが可能となります。
(※2) ZETAアライアンスとは、ZETAの活用推進と普及促進を図るために設立されたアライアンスで、事例共有、規格の改良改善に関する活動、ワーキンググループ主導による実証実験や社会実装に向けた活動などが行われています。
(URL: https://zeta-alliance.org/
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