障がい者アーティストと社員一人ひとりの
「無限の可能性、才能」を拓く「可能性アートプロジェクト」

障がい者アーティストの作品が教えてくれた「無限の可能性、才能」

トッパンは2018年度より、「障がい者の自立支援」と「企業の人財開発」を組み合わせた「可能性アートプロジェクト」を推進しています。このプロジェクトがスタートした経緯を、人事労政本部 人財開発センター長の巽 庸一朗は次のように振り返ります。

「トッパンでは、社員一人ひとりに『豊かで美しい感性』を磨きながら成長をしてほしいと願っています。それを実践するために、人財開発センターでは毎年、さまざまな研修プログラムや啓発を行ってきました。2017年5月、私がテレビのニュース番組を見ていた際、障がい者アーティストの作品がある映画のポスターに使用されたという話題が取り上げられていました。その中で紹介された作品、そして『サポートセンターどりーむ』の土江 和世理事長のインタビューに深い感銘を受けたのです。『人間誰でも、障がいの有無に関係なく、才能を持っていると気づかされた』。その言葉は、私たち人財開発センターが目指すものと一致していると強く感じました。」


  • 人事労政本部 人財開発センター長
    巽 庸一朗

島根県出雲市で活動するNPO法人サポートセンターどりーむは、アートの制作によって障がい者の才能を開花させ、障がいのある人の雇用を促進し、自立支援の在り方を提案している団体です。巽はすぐに同団体に連絡をとると、出雲へ足を運びました。

「人財開発センターでは毎年、社員向けに啓発ポスターを制作しています。サポートセンターどりーむの障がい者アーティストに、そのポスター用に作品を制作していただきたいというお願いをさせていただきました。私たちが社員一人ひとりの成長を大切にしていること、『無限の可能性、才能』というテーマで作品の制作をしていただきたいことをご説明しました。『すべての社員、一人ひとりに才能があり、無限の可能性がある』というメッセージを、障がい者アーティストの力を借りて伝えたいと考えたのです。この取り組みは、社会貢献的な意味合いの活動支援ではなく、障がい者アーティストの皆さんに私たちの人財育成を支援していただくビジネスとして依頼をさせていただきました。」

その依頼から5カ月後の12月、作品が完成したという連絡を受けた巽と人財開発センターのメンバーは、再び出雲を訪れました。そして、その場で大きな衝撃を受けます。

「サポートセンターどりーむでは、14名のアーティストによる51もの作品が私たちを出迎えてくれたのです。依頼をするときに作品点数や担当アーティストは団体側に一任したのですが、この数には圧倒されました。これだけの作品を社内のポスター制作だけにとどめておけない、もっとたくさんの人の目に触れる機会を作らなければ。そう考えて『可能性アートプロジェクト』として展開することを決定しました。」


  • 2017年12月に「サポートセンターどりーむ」を訪れた際には、数多くの作品を前に、アーティストの皆さんがそれぞれの作品に込めた思いを語ってくださいました

トッパングループの「印刷テクノロジー」が、作品に新しい価値を付加する

人財開発センターでは、2018年4月の入社式に合わせて、集まった51作品の展示会を企画。そのために、さまざまな材質・画材で描かれている作品をトッパン独自の高品位なデジタルアートプリント「プリマグラフィ」で複製し、統一のフォーマットに加工・額装して展示しました。また、作品説明プレートやメイキングビデオ、各アーティストの代表作を集めたイメージポスターなどの制作も進めました。これらの制作には、トッパンの各部門の力が発揮されています。

「トッパン小石川ビルのエントランスで開催した展示会は、当社の社員だけでなく、来訪者の皆さまにもご覧いただく機会にもなりました。障がい者アーティストの作品を通じて『一人ひとりに無限の可能性、才能がある』ということが共有できると同時に、トッパングループの総合力で作品をより価値あるものにできるということも伝わったと感じています。」

  • トッパン小石川ビルで実施した「可能性アートプロジェクト展」の様子

その後、「可能性アートプロジェクト」は社外にも広がります。2018年11月、京都市東山区で「可能性アートプロジェクト展 in 長楽寺」を開催しました。寺院の一角で30点のプリマグラフィ作品を展示するとともに、作品「さくらぼとけ」にスマートフォンをかざすと作品が動き出し、アーティストが作品に込めた想いを聴くことができるARコンテンツも提供しました。

「プロジェクトの当初の目的だった『障がい者の自立支援』と『企業の人財開発』に『寺院の公共的役割の拡大』を組み合わせて、アート展を開催しました。お寺は古くから弱者救済やコミュニティの中心地として機能してきましたが、現在はそうした公共的役割を見直すタイミングでもあります。展示会を通じて、新しい寺社の可能性を見出す機会になればと考えました。期間中は通常時の約1.4倍の来場者数となり、関西地区を中心に多数のメディアにも取り上げられ、プロジェクトの意義や障がい者アーティストの才能が多くの人に伝わったと感じています。」

  • 「可能性アートプロジェクト展 in 長楽寺」の展示の様子

  • 作品「さくらぼとけ」

すべてのステークホルダーが、オープンで公平に参加できる場を目指して

このように展示会から始まったプロジェクトの活動は、新しい広がりを見せ始めています。

トッパンで毎年販売しているカレンダーの商品ラインナップとして新たに障がい者アーティストの作品を用いた「可能性アートカレンダー」を加え、販売を開始しました。また、自社開発商材である紙製飲料容器「カートカン」のデザインにも作品を起用し、トッパンオリジナルのカートカン飲料を制作。このオリジナルカートカンは、実際に社内で活用しています。さらに、得意先である中日本ハイウェイ・エンジニアリング名古屋株式会社様には自社の販促用途で使用するクオカードや手提げ袋、クリアファイルなどのデザインに障がい者アーティストの作品を採用いただくなど、さまざまな事例とともに活動の輪が広がっています。

  • 障がい者アーティストの作品をデザインに起用した
    トッパンオリジナルの紙製飲料容器「カートカン」

こうして活動が広がることで、障がい者の自立支援という社会課題解決とトッパングループの経済的利益を両輪で実現し、そのプロセスを通して次世代リーダーを育成するというプロジェクトの目的が少しずつ達成され始めています。しかし、まだ課題は多いと巽は言います。

  • 「トッパングループには約5万人の社員がいますが、この活動に参加しているのはまだごく一部です。より多くの社員の参加を促すために、研修などを継続して展開していく必要があると考えています。また、今はNPO法人サポートセンターどりーむとの取り組みにとどまっていますが、将来的にはより多くの障がい者アーティストの皆さんと接点を持てるスキームへの拡大を目指しています。一般社団法人障がい者アート協会との連携も始まっており、2020年度にはより大きな枠組みを提示できる予定です。そうした基盤を固めて、多くの企業の皆さまに障がい者アーティストの作品を採用していただけるようなスパイラルアップを実現したいですね。SDGsへの取り組みや2020年の東京オリンピック・パラリンピックなども、活動にとって追い風だと考えています。オープンで壁のない、誰もが自由に参加できる活動を目指して、今後も取り組んでいきたいと思います。」

パートナーの声

「誰しもが可能性を持っている」 そのことに気づき、ともに理念を実現していく喜び

NPO法人サポートセンターどりーむ 様

  • 社会には、「障がいがある人は何もできないのではないか」という固定観念があるように思います。しかし、彼ら彼女らには人として才能があり、素晴らしい感性があります。それを、周りにいる私たちが気づき、見つけて、引き出し、伸ばすことの大切さを、アートを通じて実現してみようと考えて、活動を続けてきました。

    凸版印刷様から最初に依頼を受けた際には、極めて驚きました。多くの方々にアートを見てもらいたいと考えていた私たちにとって、大空の雲が晴れたような、道が開けたような感動がありました。私たちは、「誰しもが可能性を持ってこの世に生を受けている、その可能性をいかに表現できるか?」という思いを持ち続けていたので、凸版印刷様から示された「無限の可能性、才能」というテーマは、理念を同じくできるという喜びに満ちたものでした。

    私たちの作品が、凸版印刷様の新入社員のみずみずしい才能への新たな刺激になること、また企業にとっての優位性や販促のお役に立てることは、この上ない光栄なことです。これからも、世界に先駆けた新たな仕組みづくりに、凸版印刷様とともに取り組んでいければと思います。