バリューチェーン全体で環境課題の解決に貢献する
トッパンのサステナブルパッケージソリューション

環境問題に解決策を― トッパンの容器包装技術の歴史

内容物を守り、消費者のもとへ安全に届け、さらに用途や注意事項の表示機能も担うパッケージは、大変重要な役割を果たす一方で、内容物が使用・消費された後には不要な物として廃棄されるものでもあります。このため、地球環境への負荷を極力減らした容器包装の開発が広く社会から求められています。

トッパンは、1900年の創業時から紙製容器を扱ってきた歴史を持ち、パッケージ事業で多様な技術革新を重ねてきました。パッケージの環境性能についても、1960年代のゴミの埋め立て問題に始まり、1970年の廃棄物処理法などの法制度や、さまざまな環境問題に関する社会情勢をいち早くキャッチアップし、時には先取りしながら時代に即した対応を進めてきました。

1986年には、透明バリアフィルム「GL FILM」の販売を開始。「GL FILM」は、バリア性能などパッケージの機能を高めながらも、アルミ代替として用いることで層構成を減らして使用資源を削減したり、CO2排出量を減らすことができ、優れた環境適性を実現しました。また、1975年開発の紙製液体容器「EP-PAK」を、アルミを用いた仕様から「GL FILM」に切り替えたことで、牛乳パックと同じルートでリサイクルを可能にするなど、新たな容器の可能性も提示しました。こうして「GL FILM」は、現在に至るまでさまざまな用途で活用され続けています。

1990年代は、トッパンエコロジーセンターの設立(1991年)や「凸版印刷地球環境宣言」の発表(1992年)など、トッパンが今まで以上に環境に向き合って事業を推進することを企業姿勢として示した時代でした。法制度としては、1995年に容器包装リサイクル法が制定され、この時期に、環境配慮製品としてバイオマスプラスチックパッケージの開発や、紙製飲料容器「カートカン」の販売を開始しています。

また、2000年代に入ると、地球環境問題に対する社会的な要請はますます強まり、よりグローバルな視点での解決が求められるようになります。そのような中で、2015年にはSDGs(持続可能な開発目標)が国際目標として成立しました。また近年では、海洋におけるプラスチックごみの悪影響が特に問題視され、2018年にカナダで開催されたG7シャルルボワ・サミットでは「海洋プラスチック憲章」が発表されるなど、国際的にも大きな動きが起こりました。こうした動向もいち早く捉え、トッパンはお客さまにより的確な提案を行うべく、新たな環境配慮型の容器包装「サステナブルパッケージ」の開発を推進しています。

  • 透明バリアフィルム「GL FILM」(1986年開発)

  • 紙製飲料容器「カートカン」(1996年開発)

新しい時代の新しい課題に応える「サステナブルパッケージ」

容器包装の材料として使用されるプラスチックは、機能性などの面から有用である一方、使い捨てによる廃棄物処理の負荷が問題視されています。アジア諸国で廃プラスチックの輸入制限も次々と行われる中、日本国内のプラスチック資源循環は喫緊の課題となっています。また、海岸に漂着するプラスチックごみが海洋や沿岸地域の環境に及ぼす影響や、海洋中のマイクロプラスチックが生態系に与える影響など、海洋プラスチックごみ問題も国際的に大きな課題です。

加えて近年、「食品ロス」が大きな社会課題として認識されるようになっています。国の「消費者基本計画」の中でも食品ロスの削減を国民運動として推進する施策が盛り込まれ、2019年5月には「食品ロス削減推進法」が成立しました。このようなプラスチックごみ問題や食品ロス削減などの新たな社会課題に対して、容器包装の素材や構造の工夫など、パッケージの高機能化による貢献にも大きな期待が寄せられています。

こうした動向を受けて、トッパンでは、その課題解決に製品のライフサイクル全体で対応できるよう、調達から廃棄・リサイクルまでの製品ライフサイクルの各段階で貢献する、環境に配慮した各種容器包装・技術を「サステナブルパッケージソリューション」とし、その開発・提案を行っています。

サステナブルパッケージの開発にあたっては、パッケージとしての機能性を維持しながら、製品のライフサイクル全体での環境負荷低減を考慮した設計を行うこと、また持続可能な資源を利用することを指針としています。そのためには、マーケティングを通じて将来起こり得る環境問題を先取りし、新技術や新素材の開発に活かすことも非常に重要となります。

こうして生み出されたパッケージは、環境負荷の削減を実現するとともに、お客さまの事業の成長を支えるソリューションとなります。トッパンは、それぞれのお客さまが持つ環境方針や環境問題に対する取り組みを考慮しながら、最適なパッケージを選択・導入していただけるよう、「サステナブルパッケージソリューション」を軸にきめ細かな提案を行っています。そして、お客さまとともに、容器包装に関わるさまざまな課題解決に挑み続けています。

製品ライフサイクル全体に貢献するトッパンの「サステナブルパッケージソリューション」

2019年5月、環境省など関係省庁連名で「プラスチック資源循環戦略」が策定されました。この戦略では、国内の喫緊課題であるプラスチック資源循環に対して、「3R+Renewable(再生可能資源への代替)」を基本原則に、海洋プラスチックごみ問題や社会システム整備等も含んだ総合的な対策の推進が謳われています。また、マイルストーンとして、「リデュース」、「リユース・リサイクル」、および原材料における「再生材利用」、「バイオマスプラスチック導入」について、それぞれの達成年とその数値目標が提示されました。

こうした動向に対しても、トッパンは、「サステナブルパッケージソリューション」を軸に、お客さまとともにその達成に向けた取り組みを進めています。「リデュース」においては、パッケージの層構成・厚みやサイズの見直しによる減量化や、紙など他素材への置き換え提案でプラスチック使用量を削減。「リユース・リサイクル」については、リサイクルしやすい単一素材(モノマテリアル)のパッケージ開発で対応していきます。また、「再生材利用」に対しては、メカニカルリサイクルPETフィルムを活用したリサイクルループの構築で、再生材の活用を促進。「バイオマスプラスチック導入」には、バイオマスプラスチックを使用したパッケージ開発・提案を進めていくなど、トッパンの「サステナブルパッケージソリューション」を活かした多様なアプローチが可能となっています。

●「他素材への置き換え」の事例
プラスチック容器代替として ―紙製冷食用容器「レンジで楽チントレー®」―

  • 従来、冷凍食品向けではプラスチック容器が多かったため、環境配慮の面からも新たな容器包装の開発が求められていました。そこでトッパンが開発したのが、冷凍食品用の紙製一次容器「レンジで楽チントレー」です。

    本製品は、電子レンジ対応など従来のプラスチック製冷凍食品用容器の機能性は保ったままで、紙製容器への置き換えを可能にしました。なお、「レンジで楽チントレー」は従来のプラスチックトレーと比較して、石油由来資源の使用量を約90%削減することができます。

●「単一素材化」の事例
単一素材(モノマテリアル)のパッケージを実現 ―透明蒸着バリアフィルム「GL-LP」―

  • これまで菓子などのフィルムパッケージ包装では、特性が異なる複数のフィルム素材を組み合わせて十分なバリア性や強度を持たせていましたが、こうした複合材料は今後、分別の手間により、リサイクルがしにくいという課題が出てくると考えられます。そこで、パッケージとしての性能は損なわず、よりリサイクル適性を高めるには、分別が容易な単一素材構成のフィルム包装が必要となります。それを可能にしたのが、トッパンが開発したOPP(二軸延伸ポリプロピレン)基材の透明蒸着バリアフィルム「GL-LP」です。

    「GL-LP」は、OPP基材ではこれまで難しかったバリア性能を実現し、基材層に「GL-LP」を使うことで、すべてPP(ポリプロピレン)で構成する単一素材化(モノマテリアル化)が可能となります。「GL-LP」により、よりリサイクルしやすい単一素材(モノマテリアル)のフィルムパッケージを実現します。

●「リサイクルループ構築(再生材利用)」の事例
食品・トイレタリーなどの容器包装に再生素材を導入 ―メカニカルリサイクルPETフィルムー

  • メカニカルリサイクルとは、回収したペットボトルを粉砕・洗浄後、さらに高温・減圧下で一定時間処理することで再生材中の汚染物質を除去し、高品質の再生樹脂を得る方法です。

    トッパンは、このメカニカルリサイクルによる再生樹脂を使用したPETフィルム(メカニカルリサイクルPETフィルム)を各種容器包装の基材に展開しており、透明バリアフィルム「GL FILM」にも使用しています。現在は、主に食品やトイレタリー分野の容器包装を中心に導入されています。

これからも、パッケージの新しい価値を提供し続ける

環境に関する課題は短期間で解決することが難しく、SDGsの目標年である2030年、さらにその先の2050年など、長期的な視点で取り組みを進めるお客さまが増えています。また、サステナブルパッケージの実現にあたっては、お客さま、そして原材料メーカーや流通、生活者など、バリューチェーン全体のさまざまなステークホルダーとの協働が不可欠です。

トッパンはこれからも独自の技術・商品という「モノ」と、ステークホルダーを“むすぶ”有機的な仕組みづくりという「コト」の両面からサステナブルパッケージの普及を進め、持続可能な社会の実現に貢献していきます。

お客さま企業の声

トッパンとの協業で、パッケージを通じた新しい価値提供を実現する

株式会社セブン&アイ・ホールディングス 様

  • セブン&アイグループでは、社会ニーズの変化や環境問題など、さまざまな社会環境の変化に対する取り組みを、お客様である消費者の皆様とともに進めていきたいと考えています。また、2019年5月に公表したセブン&アイグループの環境宣言「GREEN CHALLENGE 2050」では、循環経済社会を実現するための具体的な取り組みとして「プラスチック対策」、「食品ロス・食品リサイクル対策」を掲げました。国内No.1プライベートブランドである「セブンプレミアム」の包装資材が環境対応型になれば、消費者の意識や認識を少しずつ変えるきっかけにもなりますし、この「セブンプレミアム」を通じてより環境にやさしい商品やサービスを積極的に選ぶという消費者のエシカルな行動にもつなげていけるでしょう。こうして消費者を巻き込んだ社会参加型の形をつくり、豊かで持続可能な社会の実現を目指すのがセブン&アイグループの想いであり、そのためにも、凸版印刷様との協業はとても重要だと思っています。凸版印刷様とは、長年、良きパートナーとして取り組みをさせていただいていますが、今後もより一層の連携とともに、新たなパッケージ技術や提案にも期待をしています。

セブンプレミアムの環境対応パッケージの取り組みは、洗剤などの住居用品からスタートし、現在は食品などの多様な商品に広がっています。例えば、従来酒類などのパック容器は紙にアルミを使ってバリア性を保持していたのですが、それを凸版印刷様の透明バリアフィルム「GL FILM」を使用した紙製液体容器(EP-PAK)に変えたことで、中身の鮮度保持など機能性は担保しながらも、リサイクルができるようになりました。また、こうした環境適性の向上だけでなく、食品用の包装材ではノンアルミになったことで電子レンジ対応が可能になるなど、利便性の向上にもつながりました。ノンアルミの容器包装は早い段階で凸版印刷様の方から提案をいただいたもので、マーケットがまだ取り組めていないものをいち早く実現できたことは、今日に至るまでの信頼や安心感・期待感につながっています。

  • また、セブンプレミアムのサラダ・惣菜のパウチ容器でも、「GL FILM」を使用することでパッケージそのものを薄くしてプラスチックの使用量を減らし、かつ高いバリア性によって賞味期限延長も実現することで食品ロス対策にも貢献しています。さらにこのパッケージは、環境対応に加え、前面に透明の小窓を設けて中身を確認できるようにしたり、従来よりも高さを低くしたことで食卓に立ててそのまま食べられるなど、消費者が日常的に感じている不満の解決にもなりました。このように環境対応だけでなく、変化し続ける消費者ニーズにも対応した提案をいただくなど、凸版印刷様にはチームの一員として一緒に取り組んでもらっています。

セブン&アイグループで実施している使用済みPETボトルの店頭回収も、消費者を巻き込んだ社会参加型の活動の一つです。現在、全国で約760台の回収機を設置しており、2018年度は約3億本の回収を行いました。これは日本で1年間に販売されたPETボトル総量の1%に当たります。なお、この回収されたPETボトルが、メカニカルリサイクルによりPETフィルム化され、セブンプレミアム商品のパッケージに使用されています。この仕組みの構築も、凸版印刷様に協力をいただくことで実現することができました。また、セブン-イレブン記念財団とセブン&アイグループが森林保全活動を行っている「セブンの森」の間伐材をセブンプレミアム商品のパッケージに活用するという取り組みも、同じく凸版印刷様との協業で実現できた事例の一つです。間伐材を使用した紙製飲料容器「カートカン」の技術・ノウハウを持つ凸版印刷様だからこそ、この仕組みも実現できたのだと思います。

セブン&アイグループでは、最終的にすべての包装資材を環境対応型にしたいと考えています。しかし、すべてに展開するには技術的に困難が伴うのも事実ですから、まずは一つひとつの商品に対して少しでも何かしらの環境対応ができないかを検討していくとともに、包装資材のさらなる技術進化にも期待をしているところです。また、流通業は人材に頼っている業種でもあるため、店舗内での商品陳列や補充など作業工程の負荷軽減も重要な課題です。そこにも包装資材の技術や工夫が活かせるでしょうし、作業の簡易化を包装資材でサポートできれば、働き方改革推進の面でも非常に興味深い取り組みになるのではないでしょうか。

凸版印刷様とは、今後も良きパートナーとして、このような多様な取り組みにも、ともにチャレンジしていければと思っています。私たちにはない包装資材における技術や専門的なノウハウ・知見をいただきながら、今後も一緒に、パッケージを通じた新たな価値提供の実現に向けて取り組んでいければと思います。