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[vol.121]Interviewデジタルマーケティングが
もたらすこれまでより
一つ上のユーザー体験

デジタルマーケティングと聞くと、ITツールを駆使した特別な最先端のマーケティング手法があると思うかもしれません。しかし、実際にはデータ収集こそデジタル技術を使いますが、分析や予測などマーケティングの本質は変わらないといいます。豊富な経験をもとに企業のマーケティングをリードする本間充さんに、デジタルデータとの向き合い方についてお聞きました。

  • アウトブレインジャパン株式会社 顧問
    アビームコンサルティング株式会社 顧問

    本間 充さん

  • 1992年、花王株式会社に入社。Webサーバーを自ら立ち上げ、99年にWeb専業の部署を設立し、Webを活用したマーケティングに取り組む。2015年、アビームコンサルティング株式会社に入社。豊富なマーケティングの経験とデータ分析の実績を生かし、ディレクターとして企業のマーケティング支援を行う。東京大学大学院数理科学研究科客員教授、ビジネス・ブレークスルー大学客員講師なども務める。

消費者をより深く知るためのデータ活用

2000年代初頭くらいまでは、「デジタルマーケティング」といえば、インターネットメディアを使ったマーケティングを意味していました。しかし今ではマーケティングのどこかの段階で、デジタルを活用するのが当たり前になっています。例えば、店頭でPOSやタブレットでデータを取るのは普通のことですし、Webだけでなく紙メディアでもデータ分析にデジタルツールを使えばデジタルマーケティングといえます。パンフレットなどの印刷物を、デジタルプリントでターゲットごとに内容を変えるのも、デジタルマーケティングの延長線上です。そう考えると現代のマーケティングは、ほぼすべてデジタルマーケティングになっているのです。

注意したいのは、世の中のデジタル化によってより大きく変化したのは、ビジネスサイドではなく、消費者の方だということです。従来のマス型マーケティングでは、性別や年齢層によって消費者をおおまかに分類していました。しかし、今はそうしたやり方は通用しません。人々の価値観やライフスタイルが多様化しているのです。昔は他人と違うマイナーだと思っていた趣味や嗜好などが、SNSのつながりで意外とマイナーではなく、自分と同じようなことを考えている人が世の中に少なからずいるという意識が消費者の中に芽生えました。自分たちの多様性に気づき、認めるようになったのです。

もはや、大きな分類に消費者を当てはめるようなマス型マーケティングは役に立ちません。消費者のことを深く知るというマーケティングの基本に戻ることが必要です。そのためにデジタルを活用してデータを広く集め、分析し、シミュレーションする必要があるのです。

データを活かすのはあくまで人間

データの集め方はいろいろありますが、例えばある埼玉の百貨店では、スマートフォンのアプリをお客さまに使ってもらい、位置情報をもとに行動エリアを分析しました。この店舗では来店者は近所に住む人と想定し、近いエリアだけに広告を出していました。ところがデータを見ると、多くのお客さまが月曜から金曜は山手線内を動いていたのです。つまり、平日にコミュニケーションをしようとすると、山手線など都内を走る電車に広告を掲示することが効果的ということが分かりました。こうしたデータはデジタル技術、ITの進歩によって分析することが可能になったといえます。

ただしそれ以上のこと、つまりお客さまの頭の中まではデータでは分かりません。都市に住んで近所で買い物をする人と、郊外に住んで平日は都心に通勤し、週末は地元で買い物をする人が「何をしたいか」、すなわちお客さまの意図や嗜好を、データやデジタル技術が自動で答えてくれるわけではありません。マーケティングに関わる私たちが集めたデータをもとに、仮説と検証を繰り返していくしかありません。

人工知能(AI)による機械学習が進化しても過去のデータを整理しているだけであって、将来のお客さまの行動を予測するのは難しいのです。そういう意味で現代のマーケティングにおいては、デジタル技術で集めたデータをもとに、人のアナログな脳でいかに考えて将来を予測していくかというのが、肝(キモ)になるのではないかと考えています。

位置情報を活用したマーケティングの可能性

位置情報を使ったマーケティングは意外と古く、携帯電話が普及し始めた頃に、ある携帯キャリアが、利用者が駅に降りると周辺情報をプッシュ表示するサービスを行っていました。ところが駅に着いたときには、やりたいことや行きたい所はすでに決まっているもの。あまり効果を生むことはなかったようでした。

後にGoogleマップなどの地図サービスが登場すると、周辺のレストランや映画館などを表示して、利用者が選べば詳細情報を提供するようになりましたが、周辺情報をプッシュする情報発信の域を超えていません。

これから考えられるのは、例えば家を出るときに、訪れる可能性がある場所の情報をどう届けるのか。また、近い将来に、個人の習慣的な移動、つまり通勤中なのか週末の買い物の移動中なのかが分かるようになると、そのときにどのような形で、いかに適切な情報をアシストするかということです。

もう一つ着目すべきことは、位置による消費者の行動パターンの違いです。都市の住人の場合は、スーパーよりもコンビニやドラッグストアで小口の買い物をすることが多く、郊外の住人は週末にショッピングモールに車で行き、たくさん商品を買い込んで帰るなど、位置情報を活かして消費者の傾向を読み解くこともできます。

実は今まで多くの広告主は、都市生活者も郊外の住人にも同じ情報を届けていました。しかし、先の百貨店の例のように、位置情報を分析して来店するお客さまの居住地域が分かれば、効果的にチラシを配布できます。また、遠距離のお客さまほどまとめ買いをする傾向があるなら、チラシの内容もお客さまに合わせてカスタマイズできます。つまり、スマートフォンなどのデジタルメディアだけでなく、ポスティングやチラシなどの紙メディアでも、位置情報を利用してお客さまにふさわしい広告を届けられるようになるのです。

顧客の体験価値を向上させるために

繰り返しになりますが、データが取れればマーケティングの答えが出るわけではありません。それを活かして何を行うかは、私たち次第です。集めたデータをもとに仮説を立て、施策を実行すれば成功する確率は上がるはずです。実行後の検証もデータでできますから、それをもとに次にどうするか考えることもできます。

デジタルはあくまで「スパイス」です。デジタルの要素をどれだけ通常の事業に混ぜていくか。日本でインターネット通販が登場して10年以上経ちますが、いまだに実店舗に行った方がワクワクしますよね。実物を手に取らないと人間の五感を満たすことはできませんし、お店の雰囲気や店頭POP、商品の並び方、店員のおもてなしも、買い物をするお客さまには、やはり大切なのです。お店というアナログの場所にデジタルをどう混ぜ込んで、お客さまにもっと良い体験をしてもらえるようにするか。そのためにデータをどう活かしていくか。

これまで私たちが消費者に提供してきたさまざまなサービスや体験を、デジタル技術や位置情報などのデータを活用することによって、今より一つ上の、より素晴らしいものに向上させることができるはずです。

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今、デジタルマーケティングの進歩が止まりません。企業が保持するさまざまなデータに位置情報を掛け合わせてデータを可視化するリアルタイムマーケティングが注目されています。これまでとは違った視点からタイムリーでインパクトのある施策を打ち出すことが可能です。実際にどのようにデータを活用することができるのか、マピオンによる事例を通して見ていきましょう。

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