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[vol.118]InterviewICタグの普及が
流通に革新をもたらす

RFIDによる商品管理・販売管理が本格化する兆しを見せています。
特に今後いっそうの普及が期待される流通・物流分野におけるRFID導入のメリットと今後の見通しについて、一般財団法人流通システム開発センターの浅野耕児さんにお話をうかがいました。

一般財団法人流通システム開発センター
ソリューションサービス本部 ソリューション第2部 アパレル・T&L業界グループ グループ長

浅野 耕児さん

システムエンジニアを経て、2012年から流通システム開発センター勤務。
流通業界を中心にさまざまな分野におけるICタグの標準化を支援する。

省力化推進の核となるRFID

さまざまな産業分野で人手不足が叫ばれ、省力化・自動化が進められています。しかし流通・物流の世界は、扱う商品が極めて多岐にわたるため作業が定型化しにくく、ロボットなどの導入による省力化が遅れていました。その推進のために必要となるのが、多様な商品を瞬時に確実に見分ける自動認識技術で、RFID(Radio Frequency IDentification)もその一つです。

RFIDは商品やパッケージなどにICタグを付加し、そこに記録されている情報を、電波を使ってアンテナで読み取るしくみです。従来のバーコードは直接光を当てて読み取りますが、RFIDは無線なので、箱の中や壁の向こう側にあるICタグとも通信できます。つまりICタグが直接見えない状態でも箱の外から検品が可能で、しかも複数のICタグを一度に読むことができるため、大幅な省力化になります。さらに同じ商品でも、一つずつ個別に認識することが可能です。こうした特徴を持つRFIDは、さまざまな分野で自動化を推進していくうえで、核となる技術だと考えられています。

先行して導入が進むアパレル業界

電波で情報を読み取るRFIDは、軍事用途で敵と味方の飛行機を判別する技術が元になったといわれています。日本では非接触式のICカードが1990年代に実用化され、続いてICタグの利用が始まりました。当初は回路設計などが比較的簡単なLF(長波)帯、HF(短波)帯などの低い周波数帯から使われましたが、2000年代に入りデータの標準化が進められ、2005年ごろからUHF(極超短波)帯の利用が本格化しました。そのまま利用が加速すると期待されましたが、当時のICタグの単価は100円以上もしたため、流通業界で普及するには高価でした。

実用レベルで流通現場において使われ始めたのは2010年以降で、まずアパレル業界から導入が始まりました。ICタグの単価が20?30円まで下がったこともあり、大手ファッションチェーンなどが値札にICタグを付け、在庫・販売管理に利用し始めました。アパレルは商品単価が高いためRFIDの導入コストを吸収でき、省力化のメリットが出てきたのです。こうしたアーリーアダプターの結果を見て、さらにICタグの単価が10円程度になってきたことも後押しし、人手不足に悩むアパレル業界でRFIDの普及が進みつつあります。

そのほかの分野では、物流の現場でカゴ台車などの各種物流容器の管理にICタグが使われています。また、全国の多くの図書館で貸出管理や蔵書管理などに利用されているほか、アメリカの航空会社で乗客が預ける手荷物の管理に使われるなど、RFIDの利用が広がっています。

期待されるコンビニでの普及

流通・物流業界がRFIDの導入に積極的なのは、すでに述べたように人手不足への対応が大きな要因です。多種多様な商品を一つずつ検品する必要があるうえ、配送に問題はないか、在庫切れをしていないか、売り場に商品が適切に補充されているかのチェックも行わねばなりません。できるだけ省力化するための自動認識のしくみが必要とされ、そこにフィットしたのがRFIDだったのです。さらに、RFIDアンテナを備えた商品棚「スマートシェルフ」が普及すれば、個別の商品がリアルタイムで検知され、自動的に検品や在庫確認が可能になります。

今後、利用が期待されている業界の一つがコンビニエンスストアです。セルフレジによる省力化だけでなく、消費者の購買動向がリアルタイムで収集でき、集まったビッグデータを分析することで商品開発や販売戦略に活用できます。このようなメリットが大きければ、比較的単価の低い商品を扱うコンビニにとっても、RFID導入の後押しになります。

こうした中、2017年4月、経済産業省ではICタグのさらなる普及を目的に、「コンビニ電子タグ1000億枚宣言」を大手コンビニ5社と共同で発表しました。2025年までに全取扱商品(推計で年間1,000億個)について、ICタグによる商品管理の実現を目標にしています。人手に頼っていた物流業界の生産性を向上させ、日本の産業の競争力をアップさせること、もう一つは環境面から、中間流通段階における期限切れも含めた食品ロスの削減を図る狙いもあると思われます。今年から各コンビニで、特定の地域で実証実験が開始されることになっています。

データの活用が新たな価値を生む

現在の技術的課題としては、さまざまな素材に対応できるソースタギング(ICタグ貼付)技術の確立、ICタグに格納するコードの標準化、購入した消費者のプライバシーへの配慮、さらにはICタグの単価をできるだけ安価に抑えることなどがあり、これらの解決が今後の普及のカギを握っていると言えます。

また、これからは単なる商品管理や省力化だけでなく、RFIDの利用で得られたビッグデータをどう活用できるかが焦点となります。近年IoTが普及し人工知能(AI)が実用レベルになったことで、RFIDがさらなるメリットを生み出す可能性が出てきました。こうしたデータを活用するシステム全体をどう構築していくかが求められているのです。

企業の側だけでなく、消費者のメリットをどう示せるかも重要です。購入した商品に付いてきたICタグを利用した冷蔵庫内の食品管理や、電子レンジのメニュー提案などの開発も進むとよいと思います。個人的には、ネットで検索して良いなと思った商品を、実店舗で現物を確認してから買いたいときに、店の売り場がすぐわかるシステムがあると便利ですね。こうした消費者にとってのメリットを周知していくことも、RFID普及促進のために必要ではないでしょうか。

RFIDの将来像とその波及効果例

  • 欠陥があった製品の正確なトレーサビリティ

  • 配送経路・積載量の可視化による共同配送。震災時にも活用

  • レジの省人化や在庫管理の効率化による食品ロス削減。
    RFIDゲートで盗難を抑止

  • 冷蔵庫内の食品の消費期限をスマホで確認

※経産省「コンビニ電子タグ1000億枚宣言」参考資料より作成

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