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2022.04.11

超高齢社会の課題をテクノロジーで解決する

#DX#IoT#組織・人材・働き方改革#健康・ライフサイエンス#防災・減災#AI
日本の人口は2010年を境に減少を続け、2025年には国民の3人に1人が65歳以上、5人に1人が75歳以上という超高齢社会を迎えます。雇用、税制、医療、福祉など、さまざまな分野に影響を与えることが予想され、なかでも年金や医療費・介護費の増大、それらに伴う現役世代の負担の増大が喫緊の社会課題となっています。トッパンは、AIやICT技術を活用した福祉プラットフォームサービスを提供する株式会社ウェルモ様と2021年11月より本格的に協業を開始しています。今回、戦略投資センター 山﨑英二と小林祐介がウェルモ代表取締役CEO 鹿野佑介さんとともに、ICT活用で描く今後の構想について語り合いました。

「人材不足」による負担をICTで軽減する

小林 「2025年問題」と呼ばれる超高齢社会の到来で、ヘルスケア業界が抱える課題、そこにウェルモ様が提供される価値についてご紹介ください。

鹿野 一番の課題は「人材の確保」だと思います。2040年には2019年より介護人材が69万人不足するというデータもあり、これが最も深刻で、正面から向き合わなくてはなりません。介護人材の不足が懸念されるなか、当社は在宅医療介護領域で、介護の地域資源情報を集約するプラットフォーム「ミルモネット※1」や、ケアプラン作成支援AI「ミルモぷらん」等の事業を展開しています。これらのケアテックと呼んでいる事業により、介護現場の負担を軽減し、本来、人にしかできない業務に注力できるようにすることで、介護の質・量の双方の向上を目指しています。そして利用者本位の介護をケアテックで支え、持続可能な少子高齢社会を実現したいと考えています。

※1 「ミルモネット」:ケアマネジャー等の専門職向け介護サービス情報プラットフォームのこと。

山﨑 介護の質と量、双方の観点でICTを活用するというのがポイントですね。

鹿野 はい。例えば介護の現場でICT機器の活用状況について調べたところ「グループウェア等のシステムで事業所内の報告・連絡・相談を行っている」と回答したのは16.1%※2という調査結果があります。新型コロナウイルス感染拡大の影響でオンライン会議ツールの利用が増えたとはいえ、介護の現場ではICT化が浸透していない状況が推察されます。
山﨑 それは国家課題としての取り組みが急務ですね。
鹿野 そうです。医療・介護は準市場の考え方が採用されているので、ICT化に対する意識を高めることについては国の旗振りが必要ですし、そのうえで国と民間の協調が大切です。
小林 具体的にテクノロジーが人を助けている事例はありますか?
鹿野 コロナ流行によって対面でのやりとりが難しくなり、オンライン会議ツールの活用が一気に増えてきました。複数でのディスカッションが非対面でできる、使ってみたら便利だということがわかり、現場がICTの意義を理解する機会になったと思います。当社の「ミルモネット」の毎月の新規登録ユーザーもコロナ発生当初と比べると、約1,000%となっています。ほかにも、介護ロボットなどに使うセンサ技術等が現場で活用される動きが促進していると感じています。

※2 出所:公益財団法人 介護労働安定センター「令和2年度介護労働実態調査 事業所における介護労働実態調査 結果報告書」

データの組み合わせで個人の行動変容を起こす

小林 トッパンでは2021年9月に資本業務提携を行い、11月からウェルモ様との本格的な協業を始めています。
山﨑 トッパンとしてはもともとセンシングデバイスを使ってヘルスケア業界との接点を探していましたが、ウェルモ様となら一緒にいろいろな課題を見つけていけると確信しました。2021年1月には、“センシング×AI”で高齢者を見守る介護業務支援サービス「LASHIC+(ラシクプラス)※3」をサービスインしています。将来的にはセンシングデバイスを使って集めたさまざまなデータを、アルゴリズムなどを使って分析し、超高齢社会への情報発信や課題解決に役立てていきたいと考えています。
小林 鹿野さんがトッパンとの協業で期待されていることはどんなことでしょうか。 
鹿野 当社はソフトウェア会社なので、トッパンさんにはハード面で期待しています。例えば、アクティブシニアやフレイル層※4に対して、トッパンさんのセンサを組み込んだ建装材を使えば、介護予防の視点で生活に溶け込んだ住まいづくりができると思います。外出しなくても、家で健康状態や生活リズムを測定できるということがまちづくりの一環として取り入れられれば、予防や早期発見という観点からも理想的です。
また、今後は在宅介護の対象となる高齢者の医療依存度が高まり、これまで以上に地域医療と介護の連携の重要性が増していくことから、国や自治体などが持つ予防・医療データと組み合わせた「健康・医療・介護データベース」の構築という面でも期待しています。

※3 「LASHIC+」:プライバシーに配慮した簡易センサを用い、高齢者一人ひとりの行動データを取得。AIが学習を重ねることで状況を理解し、介護者側にその情報を素早く提供できるサービス。
※4 フレイル層:健康な状態から要介護になるまでの中間的な段階。
小林 医療データにウェルモ様が開発したアルゴリズムを組み合わせて分析すれば、健康長寿社会を創る地域包括ケアシステムの構築につながっていきますね。
鹿野 はい。医療データだけでは生活履歴までは追えないのですが、介護側がもつ生活履歴のデータを組み合わせることで、どのような生活スタイルがどういった疾患になりやすいかを結びつけることができ、一人ひとりに適した健康アドバイスができるようになります。例えば、お酒をよく飲む人がこういう疾患になりやすいという統計データを見せて説明するより、その人の生活習慣に当てはめて説明することで、リアリティが出て納得されやすい。医療と生活履歴の両方のデータを使うことで、個人の行動変容を起こしたいと思います。
小林 ウェルモ様と一緒に、日本で仕組みづくりをして、世界にも出ていくようなビジネスを創っていきたいですね。
LASHIC+(ラシクプラス)ページはこちら

健康長寿社会の実現に向け、健康・医療・介護のデータ連携が課題

小林 ところで、医療と介護の連携は以前から求められてきましたがなかなか進まない。どのような課題があるのでしょうか。
鹿野 まず「共通言語がない」ということが一番大きいでしょう。介護現場では医療や病気のことがわからない、でも確認する場も時間もないというのが現状です。症状が出る前、あるいは軽いうちに予防していくためには、ここの連携が重要です。医療機関がもっているレセプトデータの連携ができていないという問題もありますが、介護は医療と違ってさまざまな法人形態があるので、システムをどう構築するかなど、これを解決するのは難しい問題です。
小林 やはり行政があらゆるデータを集約して提供し、医療、介護、製薬などの現場を回していくテクノロジーが必要ですね。
鹿野 そうですね。ICTが発達して、言葉の壁がなくなったように、「共通言語」の問題はICTで解決できる。そこにAIを使い、これまでの情報や知識を活用していくのが良いのではないかと思います。
小林 これからともに「健康長寿社会の実現」を目指していきましょう。貴重なお話をありがとうございました。
あなたに
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