2022.02.07
テクノロジーの活用で未来のまちの姿を描き出す/つくば市様
#DX#IoT#健康・ライフサイエンス#空間・モビリティ#自治体#SDGs#防災・減災#AI
スマートシティへの取り組みは、デジタル技術を活用して教育の格差解消やサステナビリティの確保といった地域課題の解決を目指しており、誰ひとり取り残さない社会を目指すSDGsと親和性が高い活動です。産学官が協働で進めるつくば市様のスーパーシティ構想の取り組みや、トッパンのスマートシティに関するサービスについてご紹介します。
科学やデジタル技術 でサステナブルなまちを実現していくつくば市で、スマートシティへの取り組みを
つくば市 ご担当者様インタビュー
つくば市で、スマートシティへの取り組みを進める中山さん、金塚さんに、現状の課題や今後の展望、企業との連携について伺いました。
科学という地域の資産を活かし、先端技術の実装により課題を解決
つくば市の現在の人口は約25万人で、ここ10年ほど増加し続けています。国勢調査をもとに行った分析によると、住民の方には、高齢者、外国人、研究者、大学生、そして子育て世代など多様な層の方がいるという特徴があります。
これまで行ってきた市民の皆さんへのヒアリングやアンケート調査、タウンミーティングなどの結果から見えてきた、つくば市の主な課題は三つあります。
まず、一つ目が「都市と郊外の二極化」です。つくばエクスプレスの開通に伴い、沿線の駅周辺はかなり便利になったのですが、一方で、沿線から外れた地域などは学校やスーパー、病院も少なく、地域住民の方の生活のための移動手段確保が急務となっています。二つ目が「多様性」です。市内には約140カ国から1万人ほどの外国人が居住し、外国人研究者・留学生の数も多く、さらに毎年約3,500人ずつ子育て世代の転入も続き、住民の多様性が広がっています。そして最後が、約50年前に誕生した筑波研究学園都市の「インフラ老朽化」です。
こうした課題の解決のためにも、つくば市は地域の特長である科学に注目し、スーパーシティ構想※への取り組みを、「科学で新たな選択肢を、人々に多様な幸せを」というスローガンのもと推進しています。市長を本部長とし、特別職・アーキテクト・庁内全部局長で構成される「つくば市スマートシティ推進本部」が推進役となり、行政、移動、物流、医療・介護、防犯・防災・インフラの各分野において先端技術の実装を目指し、活動を進めています。
これまで、行政からの情報発信とサービスの提供は、画一的で一方的なものになりがちでした。しかし求められているのは、一人ひとりに合った、本当に必要な情報とサービスのスピーディーな提供です。それができてこそ、SDGsが目指している「誰ひとり取り残さない」街の実現に近づくものと考えています。
その際、ポイントの一つとなってくるのが、トッパンさんに製作いただいてる多言語ポータルアプリのような、デジタルテクノロジーの活用です。従来のアナログなやり方よりも人も予算も時間も圧縮できるのではないかと模索している最中です。アプリの活用が広まれば、市が伝えたいことがより幅広い人々に届きやすくなるのはもちろん、外国人の方をはじめ、これまで自分たちの声を市政に反映させにくかったマイノリティーとされていた方々の意見を市が吸収できるようになり、多様な人々の市政への参加を促進すると思っています。
トッパンさんをはじめとした連携企業の方々には、つくばで実施して成功した事業は、ぜひほかの自治体や海外にも広げていただき、ビジネスとして大きく育てる役割を担っていただきたいと思っています。それが最終的に、つくば市をはじめ、全国の自治体のサステナビリティにつながってくるものと期待しています。
※スーパーシティ構想ビッグデータの利活用と規制・制度改革を推進し、暮らしを支えるさまざまな最先端サービスを地域に社会実装していく取り組み。国家戦略特区の一つとして、2020年の国家戦略特別区域法改正により創設された制度。