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2021.06.01

アーカイブ活用で企業の歴史を未来への原動力に

#教育・人材育成#コーポレートコミュニケーション#SDGs#防災・減災
凸版印刷株式会社 情報コミュニケーション事業本部 情報メディア事業部 クリエイティブ本部 ビジュアルクリエイティブ部 1T 久保田 敏之
企業アーカイブは積み重ねた歴史を裏付ける証拠です。対外的なブランディング活動はもちろん、社員の“誇り”の醸成など、さまざまな価値を秘めています。トッパンでは、これまで培ってきたアーカイブ構築のノウハウを企業での取り組みにも活かし、企業文化や歴史を伝えていく支援をしています。企業アーカイブの基本的な考え方と可能性をビジュアルクリエイティブ部の久保田 敏之がお話しします。

企業アーカイブは歴史を裏付ける重要なエビデンス

アーカイブとは、未来に引き継いでいきたいという意図を持って保存されたものを指します。ただ残っているのではなく、そのための管理をされたものです。アーカイブには、文化財のように対象物自体が普遍的な価値を認められたものもありますが、企業アーカイブは対象物そのものよりも、企業の歴史や成果を裏付けるためにある、いわば「証拠・根拠(エビデンス)」を目的としたものがほとんどです。
 
例えば、「自身の属する企業や組織を代表して、あなたの企業や組織の紹介をしてください」と誰かにお願いされたら、自分たちの知らない年代のことは会社や組織の歴史年表を確認するのではないでしょうか。その年表に示されている歴史が真実かどうかを判断したり、それを誰かに説得力を持って伝えたりするには、何らかの証拠や裏付けが必要です。その証拠をどのように保存していくかが、企業アーカイブにとって重要な視点です。企業アーカイブは、その企業に属する人にとって大変価値のあるものなのです。 

企業アーカイブを構築する際のポイント

企業アーカイブの対象としては、主に下記のようなものが想定されます。①記録素材(写真、映像、音声など)、②文書史料(社内報、営業案内、契約書、研究書類、図面など)、③経営を支えた製品や商品、④建造物(場所、空間)、そして製造機械や記念碑なども含まれるでしょう。アーカイブすべきものは企業や組織によって異なりますが、自社のステークホルダーを把握し、歴史を伝える対象によって必要な情報を出し分けることもポイントの一つです。また、SDGsが浸透してきた昨今では、社会に貢献してきた歴史を裏付けるといった視点も保管対象の判断基準に加わっています。自社だけでなく社会的に価値がある技術や文化に関する遺産を保存することにつながる場合もあります。その観点で言えば、社会とのつながりを示す感謝状やお客さまからの手紙など他者から送られてきたものも重要です。また、当時の日常シーンを記録した写真などは意外と残されていないものです。当時の様子を活き活きと伝えるための史資料として、保存しておく価値のあるものです。
 
リアルアーカイブとデジタルアーカイブの使い分けも大切です。リアルアーカイブは、物理的な実体を持つもの。実物ならではの存在感を有し、デジタルでは得られない瑞々しさを持って歴史を伝えられるというメリットがあります。デジタルアーカイブには、検索ツールを通じてデジタルデータにアクセスすることで、簡単かつ効率的に活用できる状態をつくれるという利点があります。また、リアルアーカイブで心配される、寿命、劣化、消失といったリスクもカバーできます。ただし、対象の持つすべての情報をデジタル化できるわけではありませんし、永遠に保存できるということでもありません。その点は注意が必要です。
 
保存するもの・保存しないものの判断にも留意が必要です。社内の史資料には、広報、販促、営業部門が発信したものから、技術に関連するものまで広範な分野に及びます。それらすべてを一人で把握して、価値判断をするのはなかなか大変です。客観的な視点も必要となりますから、複数人で取り組むのがよいのではないでしょうか。
 
アーカイブに取り組むタイミングとしては、周年事業と同時に実施するのがよいでしょう。社史の制作や、式典への活用など、コンテンツ制作を目的にすれば直接的に役立つからです。また、企業の合併や組織再編時には、異なる企業文化やバックグラウンドを持つ社員同士の相互理解にもつながります。このほかにも新たな施策を検討していく際の判断材料になるなど、アーカイブが経営課題を解決する糸口になり得ます。 

「見える化・探せる化・使える化」3つをワンセットで考える

周年事業で年史などのコンテンツを制作する時、事前に企業アーカイブにより「見える化・探せる化・使える化」しておくことが重要です。
 
「見える化」とは、さまざまな形態の資産が乱雑に保存されているものを可視化して整理することです。「探せる化」は、見える化によって整理されたものの情報を抽出し、検索性と閲覧性に優れたツールに入力するなど、すぐに探せる状態にしておくことです。名称、時期、作者・発行者、目的、形式・形態、内容、外観、状態、保管場所などの基本情報に加え、様々なキーワード、属性などの有効性の高い情報を付与しておくと検索性が高まるでしょう。こうした「見える化」「探せる化」を行い、さらにその対象物がどんな歴史を裏付けるかを紐付けられれば「使える化」が実現すると思います。
 
整備された企業アーカイブが活用できるシーンは、周年事業での社史や式典だけにはとどまりません。必要なタイミングで、必要な情報をいち早く抽出できるようにしておくことで、社員教育や、アウタープロモーション、歴史展示施設などに、幅広く活用できる可能性も秘めています。 

歴史の当事者として未来につないでいくために

企業アーカイブでは、今ある史資料の見える化・探せる化・使える化を通じて、「整理・管理する活動」とともに、それらの史資料が示す歴史を「公開・活用していく活動」が重要です。ただし公開や活用にあたっては、「誰に・どんな目的で・何を伝えるのか」といったことを考慮した上で、戦術的に行っていただきたいです。
 
また、企業アーカイブ活動は一度行って完了するものではありません。企業の歴史は、今もなお続いていますから、未来につなげていくために、裏付けを保存・管理する活動も続ける必要があるのです。
過去から学ぶことはとても大切です。企業アーカイブは自分たちの価値を証明する手段ですから、企業や組織により思い入れのある人を中心に据えて取り組むのがよいでしょう。年史など一つのコンテンツを作り終えたら、反映しきれなかったものを次の材料にすることもできます。定期的な活用が、アーカイブを継続的に管理・更新していくことにもつながります。
 
このコロナ禍は大きなターニングポイントです。オフィスの様子も変わり、企業によっては考え方が変化したかもしれません。想いやその時の人の考えを取得しておくことも大切です。未来につなげていくために、目に見えないものを含めて、多くの証拠を未来に残しておきたいですね。 
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