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アイデアノートでは、課題解決に役立つ当社の受注事例やソリューションを織り交ぜ、独自の視点で編集した注目コンテンツをピックアップしてまとめています。

2019.10.1

「つくる責任」を循環型社会 トッパンの環境配慮への取り組み

#SDGs
山下 薫(左)
凸版印刷株式会社 情報コミュニケーション事業本部 ビジネスイノベーション推進本部 本部長
トッパンがこれまで取り組んできた印刷関連の事業の外側にある新分野のビジネスの創出を手掛ける。
高瀬 智之(右)
凸版印刷株式会社 情報コミュニケーション事業本部 情報系製造事業部 技術開発本部 本部長
本や印刷物などの工場設備の管理や、効率や品質などの改善や新たな技術開発に取り組む。
トッパンの基盤である印刷事業の範囲を広げて、新しい事業を創出し、循環型社会の実現に貢献していこうという新たな取り組みが行われています。部門を超えたコミュニケーションやさまざまな企業との連携によって、どのようにその取り組みを展開しているのか、舵取りをする企画部門と製造部門の2人に話を聞きました。

自社のノウハウを新分野に

山下 環境問題などの社会課題に目を向けると、トッパンが対応できる分野は、まだあると感じています。私はこれまでトッパンが未開拓だった分野でのビジネス創出に取り組んでいますが、新規領域でのビジネスを考えるには、2つのアプローチがあります。企業が持っている技術やリソースを起点に考える「シーズ発想」と、世の中の社会課題に対応して、生活者側の視点から考える「ニーズ発想」です。紙による印刷が縮小傾向の中で、既存の分野だけではなく、その2つの発想から新しい市場を開拓しなければいけません。

高瀬 工場では、環境効率や生産性をどうすれば高められるか、省資源や廃棄物の削減に従来から取り組んでいます。ただ、これまでは出荷した後に関しては考えが及んでいませんでした。また、紙媒体の流通量が減少していく中で危機感があり、自分たちの技術やノウハウを棚卸しして、どのように活用できるか見直しをしていく必要性を感じていました。

山下 そこで、私たちの持っているリソースをどのようにビジネスにつなげられるかという話し合いの機会を設けて、そこから部署横断型のプロジェクトを始めました。

高瀬 マーケットをよく知り、ニーズから発想する山下さんの部署と手を組んだことは有効でした。工場の持っている技術やノウハウの1つに、エコロジーや効率化に関することがあります。それに生活者側の視点や知見を組み合わせることでさまざまなものを創ることができるようになります。実際に、「古紙回収事業」や「LIMEX」という新素材を扱う取り組みが、形になりはじめています。

ものの見方を変え、行動変革を促す

山下 古紙回収事業は、社内で実証実験を約1か月行いました。自分の足元に古紙回収用のパーソナルボックスを置いて、一定期間後回収するというものです。オフィスで働く個人がその場で気軽に捨てることができ、ボックスに紙がたまっていくのを自分で実感することで、省資源化への意識を高めます。また機密文書を放置してしまうリスクを回避するという意図もあります。

高瀬 古紙についてトッパンの事業所では「紙ごみ」として、機密文書の処理にお金を支払って、回収を依頼しています。その一方で、工場では、古紙は資源として回収に力を入れていました。同じものでも、見方を変えると、ごみと呼ぶ人もいるけれど、それは、たまたま使われなかった「資源」でもあります。

山下 「ごみ」から「資源」へものの見方を変えるように、行動面でも、捨てるという行為を、貯める、育てる、シェアするといった、循環させる行為に変えることができるのではないか—。社内で交流して意見交換を進める中で、古紙回収のような自分たちの目の前にある小さな課題も重要だと感じました。

また、ものの見方が変わるという例で言えば、この実証実験を行う前に、私たち印刷会社が作るチラシやDMの作った後のことを、生活者の視点に立って確認しました。チーム内の数人が家に届いた折り込みチラシやDMを集めました。すると、1か月で平均約1.5kgの紙が集まることが分かりました。SDGsの中に「つくる責任 つかう責任」という目標がありますが、ものを納品したらそこで関係が終わるのではなく、自分自身をひとりの生活者の視点から見直すと、改めてそのつながりが見えてきました。

高瀬 そうですね。工場内では、印刷物を効率よく作り、再資源化する取り組みが進んでいますが、その先はどうなっているかはあまり考えていませんでした。日本では約8割の古紙が回収されていますが、残りの2割は回収されない。2割といっても大変な量です。それを変えていく必要もありますね。

循環型に向けて、新たな価値づくりを

高瀬 LIMEXは、株式会社TBMが開発した石灰石を主な原料とした、紙やプラスチックの代替となる新素材で、耐水性が高いという特長もあります。トッパンはこの新素材の共同開発に取り組んでいます。印刷・加工を行うための技術開発や、どのような用途があるかという戦略をともに考えています。

山下 脱プラスチックに向けた有望な領域だと感じています。今後の課題は、リサイクルを行うための回収スキームを確立させていくことだと考えています。

また循環型社会の実現を考えていくと、アップサイクルという考え方があります。再製品化した際に、元の製品より付加価値を付けて、価値のあるものに昇華させるという意味です。素材開発から、再製品化後の新たな付加価値の付与などを含め、視野を広げて取り組んでいきます。

高瀬 工場では循環型社会を考えたときに「3R」の考え方も大切で、リサイクルの前に、リユースできるにはどうしたらよいのか、そもそも資源の投入量を減らすにはどうしたらよいのかを考える必要もあります。たとえば、工場では予備紙を含めて不要な紙を使ってきましたが、印刷部数の余りを減らし、無駄なものを作らないようにしていきたいと思っています。それに加えて、山下さんがお話したような付加価値をつけたものが増えていくことで、循環の輪がより大きくつながっていくのではないでしょうか。

山下 環境問題を考えるときに、自社だけでできることは限られているため、さまざまな企業、自治体、生活者の方と協力していきたいと考えます。技術面やPRなど、力を合わせないと難しいこともたくさんあります。循環の輪をどのようにつくっていくのか。小さなことから始めて、取り組みを広げていければと思います。
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