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アイデアノートでは、課題解決に役立つ当社の受注事例やソリューションを織り交ぜ、独自の視点で編集した注目コンテンツをピックアップしてまとめています。

2020.9.1

オムニコミュニケーションで心地のよいユーザー体験 オムニチャネル戦略

#デジタルマーケティング#セールス#マーケティング・プロモーション
マーケティングに関するツールやチャネルが多様化する今、大切にすべき考え方や取り組むべきことは何か—。「デジタル×アナログ」の施策に取り組んできたオムニコミュニケーションコンサルティングの鈴木さんにお話を伺いました。

デジタルだけでは届かない顧客もいる

私がマーケティングに関する業務に初めて携わったのは1980年代後半でしたが、その後、PC、インターネット、クラウドなどの普及により、顧客データを取得しやすくなり、ターゲットにリーチしやすい環境になりました。以前はマス広告を打つなど、ターゲットの姿が見えない中で対象者以外も大量に含んだ施策が中心でしたが、現在はスマートフォンなどから得られる消費者のデータを活用することで、one to oneのコミュニケーションができるようになりました。

2010年代には、デジタル関連のソリューションが続々と登場しました。マーケターにとっては、それらの情報に追いついていくだけで大変です。デジタルに関する新しい技術や知識は習得しているものの、マーケティングの本質を学ぶ機会のない方も増えました。私はその頃、日本郵便でデジタルとアナログを融合する施策に取り組み、マーケティングに携わる方に紙のDMの良さに気づいてもらうための活動をしました。

ECなどバーチャル上での消費も増えていますが、それだけで完結していることはまだ少なく、日本ではまだ多くの企業が店舗(リアル)を経由しています。デジタルのタッチポイントしか扱えないのでは、顧客との接点の半分以下しか使えないということになってしまいます。今は「アフターデジタル※1」という概念も登場し、デジタルがあることが基本になりつつあります。マーケティングや経営に携わる人にとって、デジタルの知識は必須となりましたが、デジタルだけで目的を達成することは難しく、デジタルとアナログを組み合わせて考えていくことが必要です。

※1 アフターデジタル スマートフォン、センシング技術、IoTの登場により、人々のすべての行動がオンラインに紐付くことでデジタル技術がリアルな世界を包みこむ世界観。

ユーザーを中心に据えたコミュニケーション

アフターデジタルの時代が到来して、メディアを通じた一方的なコミュニケーションでは消費者が動かないことにマーケターは気づき始めています。販売チャネルや流通チャネルを統合する「オムニチャネル」という戦略がありますが、私はオムニの本質は「ユーザーを中心に考える」ことにあると考えます。

オムニチャネルはユーザーを中心に据え、欲しいものを、欲しい方法で、欲しいタイミングで提供できる環境を実現しました。このオムニのあり方はチャネルだけでなく、消費者とのコミュニケーション全体を設計するときにも重要です。例えば、靴をECサイトで買ったときのことを考えましょう。購入後もWeb上には靴の広告が表示され続けます。もう必要ないのに追いかけられている感じがして、ちょっと嫌ですよね。購入した方には、その靴に合ったコーディネートを勧める方が受け手としてもうれしいはずです。

広告は「押しつけられている」と受け手に感じられてしまえば逆効果です。コミュニケーションを「オムニ化」しなければ、広告を打って嫌われるということになってしまいます。このオムニコミュニケーションにとっては、デジタルとアナログの融合は通過点で、そこからさまざまなデータを集め、データドリブン※2をしていく必要があります。

※2 データドリブン 得られたデータを総合的に分析し、意思決定や企画立案に活用すること。

最適なタイミングでターゲットに合った施策を

マーケティングにおけるコミュニケーションの鉄則は、良いタイミングで、最適なメッセージを、必要としている人に届けることです。デジタルは、このタイミングを捉えて、その瞬間にアクションすることを得意としています。メール、SNS、プッシュ通知などで消費者の行動を促します。今後はIoTやセンサリング技術の発展により、もっと便利になっていくでしょう。しかし、デジタルにも弱点があります。プッシュ通知などは相手が忙しく、一瞬のタイミングを逃してしまうと、そのまま機会を逸してしまうことになります。

これに対してDM等の紙媒体は手元に残り、そのメッセージに反応するタイミングをユーザーに委ねることができます。また手の込んだDMは、同額のクーポンを送るよりも顧客の一人として大事にされているという気持ちになることが分かっています。

さまざまなデジタルのソリューションも、パンフレットやDMなどのアナログのツールもコミュニケーションの一手段です。誰に、いつ、何を、どのように伝えるかを考え、それぞれ適したところに使い分ける必要があると思います。それには、タッチポイントを統合して各施策をつなげて、相手に心地よい体験をしてもらうにはどうするかを考えていくことが重要です。どのような場面に、どのような方法が合うかをマーケターが理解していれば、実行できる施策やアイデアの幅は、広がっていくはずです。そして大切なことは相手に「売り込んでいく」ではなく、「必要とする相手の目の前にそっと置いて気づいてもらう」ということです。

DMP(データ管理プラットフォーム)に蓄積した顧客の購買履歴、ECサイトの閲覧履歴などのデータや、商品についているRFIDタグやQRコードで読み取った行動データ。それらを店舗やWebサイトでデジタル/アナログの各施策に用いることで、そのようなコミュニケーションを実現できます。例えばアパレルでは、試着中にデジタルサイネージでその商品を使ったコーディネートを提案、店員さんのタブレットにもその情報が反映されれば、効果的な接客につなげられるでしょう。またEC購入時にコーディネートブックを送付することなども考えられます。

ストレスレスなコミュニケーションの実現を

これからの時代や環境の変化に対してこの「オムニ」の考え方は大切で、それは個人間のコミュニケーションでもマーケティングでも同じです。まず本当にコミュニケーションをとりたい相手のことを知ろうとすること、課題を考え、その上で、欲しい情報、欲しいタイミングに、そっと置いておくことです。この「オムニ」の考え方に基づいて、ユーザーにストレスを与えないコミュニケーションを設計することが、今後のポイントになると考えます。
鈴木 睦夫 さん
オムニコミュニケーションコンサルティング President & CEO
P&Gに新卒で入社し、その後NTT、IMJ、コカ・コーラにて一貫してマーケティング、デジタルマーケティング領域を担当。2015年に日本郵便に入社し、「デジタル×アナログ」の重要性を講演やメディアで発信。2020年4月より現職。
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