アイデアノートでは、課題解決に役立つ当社の受注事例やソリューションを織り交ぜ、独自の視点で編集した注目コンテンツをピックアップしてまとめています。

2021.01.13

変わる、顧客体験(CX) 顧客中心の体験デザインへ

#DX#デジタルマーケティング#マーケティング・プロモーション#イベント#顧客体験(CX)#店舗
梅川 健児(左)
凸版印刷株式会社 情報コミュニケーション事業本部 マーケティング事業部 コミュニケーションデザイン本部 兼 エンゲージメントサービス本部 本部長
事業開発、スペースデザイン、セールスプロモーションなどの担当を経て、2006年にCRM専門会社である(株)BrandXingに参画。CRMコンサルティング、マーケティング戦略立案を推進。2011年に帰任し、2013年より現職。デジタルマーケティング事業を推進。
山下 薫(右)
凸版印刷株式会社 情報コミュニケーション事業本部 マーケティング事業部 エクスペリエンスデザイン本部 本部長
入社時に営業配属後、広告代理店への常駐など主にプロモーション領域のプランニングに従事。その後トッパンがこれまで取り組んできた印刷事業の外側にある、新分野のビジネス創出を手掛けるビジネスイノベーション推進本部長を経て、2020年4月より現職。
いわゆる「新しい生活様式」が求められる今、私たちの生活は大きく変化しています。企業もそれは同じこと。ビジネスの継続を支援していくために私たちができることとは何かーー。トッパンのマーケティング事業部の2人に話を聞きました。

顧客中心で、サスティナブルな体験をデザインするために

まず、各事業本部の主な事業内容から聞かせてください。

梅川 コミュニケーションデザイン本部とエンゲージメントサービス本部という2つの部門が担っているのは、デジタルマーケティングの推進です。例えば、便利なデジタルサービスを提供し、それをご利用いただくことで、顧客からデータを預かる。これを統合・解析してニーズを先読みし、さらにサービスを改善して、継続的に使い続けていただく。そんな、サスティナブルで顧客中心主義のサービスの実現を支援しています。

山下 エクスペリエンスデザイン本部は、昨年までは店頭や販売促進などのセールスプロモーション領域において、キャンペーンやイベント実施などで力を発揮してきた部隊です。しかし、今般のビジネス環境の変化に伴い、事業部の「Beyond Sales Promotion」という宣言のもと、企業と顧客のすべての接点で生まれる価値をエクスペリエンスと捉えて、継続的な顧客体験価値の創出支援を行うことを目指しています。つまり、目的は梅川さんのところと一緒ですね。

2020年はどのような状況でしたか?

山下 リアルイベントは低迷状態ですが、ライブ配信などのオンライン系は好調です。オフィスにオンライン配信専用スタジオをつくるお手伝いなども請け負っています。イベントの場合、リアルからオンラインになって、例えば1,000人しか見られなかったものが一気に100万人が視聴可能になるなど、新たな可能性を秘めていると感じています。

梅川 オンラインによって、距離や空間の限界が取り払われ、確実に同じ体験を共有する人数は増えましたよね。

山下 そうなんです。トッパングループの社内運動会も、「eSPORTS FESTIVAL 2021」としてリアルとオンラインを組み合わせた形で開催することで、全国の従業員が参加できるようになります。今までにない新たな体験価値が生まれてくる可能性を感じています。

リアルのデータを可視化することは企業や生活者にとって価値になる

実際に、デジタルマーケティングが顧客体験を支えている例を挙げてください。

梅川 株式会社講談社様、株式会社サイバー・コミュニケーションズ(CCI)様とで、「株式会社コンテンツデータマーケティング」を設立しました。データとテクノロジーを使って、コンテンツの届け方を再構築し、生活者と最適なコンテンツの出会いを飛躍的に増やすことで、ビジネス機会を拡大する事業を昨年、開始しました。多くのコンテンツ事業者と連携し、コンテンツ事業のDXを推進する取り組みです。

山下 我々は、ギグワークス株式会社様と、「AIリモート接客」システムを共同開発し、2021年1月にサービス提供を開始予定です。AIカメラで顧客の反応を可視化し、そのデータをもとにAIで接客用スクリプトを自動生成したり、店頭での行動や会話、リアクションを収集し、購買特性を分析して、顧客体験の向上施策に反映させることを目指しています。

そうした流れの中で、どのように顧客データを顧客体験の向上に活かしていくべきだと考えていますか?

梅川 コンビニの店内のようなリアルの場でも、ECと同じように顧客の行動を読み取り、それに合わせて、最適なレコメンドができる仕組みをつくるなどの技術開発を進めています。

山下 AIカメラの活用以外にも、感情センシングやアンケート調査のようなものを発展させるなど、いろいろなやり方を探っているところです。

梅川 例えば、自動車ディーラーで営業マンと商談したお客さまのSMSに、退店後すぐに、接客についてのアンケートを送って回答をもらいます。その課題点を店舗にフィードバックすると、顧客体験は大きく改善されます。

山下 ほとんどの人は常にスマホを持って過ごしているので、移動中も家にいるときも、スマホを通してデジタルの世界とつながっているわけです。そこからデータとして得られることはいろいろある気がします。個人的には勝手にデータをとられるのは嫌だなと感じることはありますが(笑)。

梅川 そうなんです。だから、ユーザーに「嫌だな」と感じられてしまうようなデータのとり方ではだめなのです。例えば、僕が愛用している大手通販サイトは、いつも本当に僕が欲しいと思う情報や商品をいいタイミングで教えてくれます。そうしたメリットでしっかり返してくれるから、こちらもデータを共有してもいいですよ、という気持ちになれるのだと思います。

山下 僕は「フォートナイト」や「あつまれ どうぶつの森」といった、メタバース領域にも注目しています。みんなリアルでは集まれないけれど、そこに集まって会話をしたり、ライブに参加したり、買い物をしたりしている。今までになかった、ここでの新たな行動データから、リアルの場で感動を生み出す新たな体験がつくれる気がしています。

※メタバース インターネット上に構築される仮想の3次元空間。利用者はアバターと呼ばれる分身を操作して空間内を移動し、他の参加者と交流する(コトバンクより引用)。

企業活動を顧客中心主義に変換していく

今後、顧客体験をさらに向上させていくために、どんな点に注目していますか。

山下 今、世の中では「CX」(顧客体験)が盛んに叫ばれていますが、本来のCXは商品に興味を持って選ぶところから、購入、使用、アフターサービス、廃棄までの全工程を網羅するもの。企業は、企業活動のすべてでCXを評価していくことが必要です。オンライン上での測定は容易になってきていますが、我々の部署では、リアルでもCXの測定ができる指標づくりを進めようとしているところです。

梅川 日本では人口減少が始まり、高齢化も進み、右肩上がりの図式は描きにくい状況です。マーケティング戦略も、購入者を増やすだけの単純な販売促進ではなく、いかに顧客に使い続けてもらい、ライフタイムバリューを高めるかへ舵を切らなければなりません。そのためには、企業活動を顧客中心主義にしていく必要があります。2020年は、それがより鮮明になりましたね。

山下 その通りですね。あらゆる商品の機能が均質化した現代では、消費対象はすでにモノからサービスに移っています。もはや多くの人を一律に満足させられる体験は難しいでしょう。キーポイントはパーソナライズ化。個人のインサイトを発見することや個人の心の満足度を測ることが、重要だと感じています。

2021年、トッパンとしてどのように顧客体験の向上に寄与していきたいと考えていますか。

山下 先ほど触れたリアルとオンラインのハイブリッド型の体験開発や、AIでのリモート接客システムなどをはじめ、“make experienceパートナー”として、企業様と伴走して一緒にサービス開発などを支援していけるようになりたいと考えています。そのためには、クリエイティブも非常に重要な要素だと思っていますので、部署内にクリエイティブブティックを立ち上げ、活動を始めています。

梅川 僕は顧客体験こそが、サービスだと思っています。顧客データを解析し、ニーズを先読みすることで心地良い体験を提供する。いってみれば、顧客の要望をいち早く察するホテルマンのようなイメージです。マーケティングとテクノロジーを組み合わせることで、世の中の顧客体験をホテルサービスのように向上させていきたいと思います。ただし、できる限りコストを抑え、ちゃんと利益が出て、使い続けられる形でなければ意味がないと思っています。

山下 同感です。そのためにも、今後、我々が一層連携していくことが大切ですね。

梅川 ええ。サービス開発について、山下さんのところと一緒に組んで、プロジェクト化をしています。私たちデジタルマーケティングの部隊と、山下さんのエクスペリエンスデザインの部隊が組むことで、冒頭にお話した顧客中心で、サスティナブルな体験を提供していきます。お互いがんばりましょう。

「顧客中心」を実現するトッパンのビジネスモデル

トッパンでは、顧客ごとに最適なシナリオを提供する「パフォーマンスマーケティング」、顧客の都合に合わせたサポートを提供する「カスタマーエンゲージメント」、データを統合し、顧客ニーズを把握する「データテクノロジー&プラットフォーム」の連携を通して、横断でトータルコーディネートするコンサルサービスを提供しています。

「顧客中心」の実現に向けたトッパンの取り組み

講談社と凸版印刷、CCIの3社で、コンテンツ事業のDX推進に向けた企業を設立

出版社がコンテンツビジネスで培ったデータやノウハウを、独自のAIやテクノロジーに注入。DMPに蓄積された膨大なデータを解析し、コンテンツと生活者との出会いを個別最適化するさまざまなソリューションを提供します。
データとテクノロジーを使い、生活者と最適なコンテンツをマッチング

ロッテ様の顧客ID統合を支援 「LOTTE Membership」

株式会社ロッテ様(以下、ロッテ)では自社オンラインショップやファンコミュニティを個別に管理・運用してきましたが、顧客の利便性向上と、データ基点のマーケティング活用を図るため、顧客IDの統合を検討されていました。

トッパンでは、各種サービスを共通の顧客IDで利用できる「ID統合プラットフォーム」を提供。顧客登録、ログイン、退会などの基本的な顧客管理の機能に加え、外部連携するAPI群を実装することで、ロッテが提供する複数のサービスへのシングルサインオンを可能にしています。さらに、共通基盤化することでデジタル広告や店頭プロモーション、DMP・MAなどの外部サービスとのデータ連携もスムーズにしています。
https://members.lotte.co.jp/(左)、https://lotte-land.jp/(右)
あなたに
おすすめの記事
2021.9.1
NEW
一人ひとりが働きやすいオフィス空間
2021年春、コクヨ株式会社様では、未来につながる価値を探求するための実験の場として「THE CAMPUS(ザ・キャンパス)」をオープン。創造や交流など仕事の目的に合わせてさまざまな空間を設計しており、多機能なオフィス空間が特徴です。その一部をご紹介します。
#組織・人材・働き方改革#空間・モビリティ
2021.9.1
NEW
【後編】スマートワークの社会実装はどうあるべきか
私たちの働き方は、「テレワーク(在宅勤務)」を筆頭に確実に多様化し、場所を問わないワークスタイルや勤務時間に自由度がある働き方が現れています。この他、複業(副業)の導入や雇用形態の選択制の取り組みも徐々に加速。企業にとっては、働き手が望む選択肢を用意できるかどうかが、従業員エンゲージメントや人材獲得競争において、非常に重要になっています。時間と場所を問わないワークスタイル「スマートワーク」は、私たちの働き方のスタンダードになり得るのか? また、この働き方を社会実装するために私たちにできることは何か?
今回、日本型雇用について経済学の視点で研究されている鶴 光太郎さん(慶應義塾大学大学院商学研究科教授)にお話を伺いました。
#組織・人材・働き方改革#非対面・非接触
2021.9.1
NEW
【前編】スマートワークの社会実装はどうあるべきか
私たちの働き方は、「テレワーク(在宅勤務)」を筆頭に確実に多様化し、場所を問わないワークスタイルや勤務時間に自由度がある働き方が現れています。この他、複業(副業)の導入や雇用形態の選択制の取り組みも徐々に加速。企業にとっては、働き手が望む選択肢を用意できるかどうかが、従業員エンゲージメントや人材獲得競争において、非常に重要になっています。時間と場所を問わないワークスタイル「スマートワーク」は、私たちの働き方のスタンダードになり得るのか? また、この働き方を社会実装するために私たちにできることは何か?
今回、日本型雇用について経済学の視点で研究されている鶴 光太郎さん(慶應義塾大学大学院商学研究科教授)にお話を伺いました。
#組織・人材・働き方改革#非対面・非接触
2021.6.1
多角的な視点から考えるアーカイブの必要性「熊本城」
アーカイブ構築には、史資料の情報の整理・管理や新たなコンテンツ制作のほかに、災害時の消失に備えるといった目的があります。ここでは文化財のコンテンツ制作を主目的としたアーカイブが、災害時の復旧に貢献した例を紹介します。
#自治体#防災・減災
2021.6.1
アーカイブ活用で企業の歴史を未来への原動力に
企業アーカイブは積み重ねた歴史を裏付ける証拠です。対外的なブランディング活動はもちろん、社員の“誇り”の醸成など、さまざまな価値を秘めています。トッパンでは、これまで培ってきたアーカイブ構築のノウハウを企業での取り組みにも活かし、企業文化や歴史を伝えていく支援をしています。企業アーカイブの基本的な考え方と可能性をビジュアルクリエイティブ部の久保田 敏之がお話しします。
#教育・人材育成#コーポレートコミュニケーション#SDGs#防災・減災
2021.6.1
風景画だけではない北斎の知られざる一面を
特別展「北斎づくし」で、キービジュアルと会場グラフィックを担当しているのは、ブックデザインや展覧会のアートディレクションを数多く手掛けてきた、祖父江 慎さんです。今回のキービジュアルに込めた想いを中心に、北斎について伺いました。
#イベント#印刷・加工
2021.4.12
【トッパンBPR事例】専門書類のデータ処理業務を効率化/アビリオ債権回収株式会社様
全国の金融機関から委託、譲渡を受けて債権の管理回収を行っているアビリオ債権回収株式会社様。膨大な専門書類のデータ処理業務に課題を抱えていた中、2018年から業務分析を通じた効率化施策の推進に取り組んでいます。トッパンでは調査・分析から改善施策の提案・実行まで総合的なサポートを行っています。業務分析からどのような結果を得て、いかなる施策につなげているのか。取り組みの背景や成果、今後の展望とともにお話を伺いました。
#組織・人材・働き方改革#BPO・業務効率化
2021.4.12
トッパン流BPR・業務プロセス改革のススメ【後編】 現場に寄り添った業務改革を実現するカギとなるトッパンのBPOの知見
業務効率化は組織にとって必須のテーマ。しかし、どこから手を付け、どうしたら成果が上がるのかという悩みはないでしょうか。そこで注目したいのが、業務を広く全体で捉えてプロセスを再設計する「BPR(ビジネス・プロセス・リエンジニアリング)」という手法です。BPRとはどのようなもので、いかに取り入れて業務効率化を進めていくのか。業務改革に関する総合的なコンサルティングサービスを提供するトッパングループの新会社、TBネクストコミュニケーションズの花村健一が、トッパンのBPO×BPR事業の特徴とともにご紹介します。
#組織・人材・働き方改革#BPO・業務効率化
2021.4.12
トッパン流BPR・業務プロセス改革のススメ【前編】 業務効率化には、なぜ「BPR」なのか
業務効率化は組織にとって必須のテーマ。しかし、どこから手を付け、どうしたら成果が上がるのかという悩みはないでしょうか。そこで注目したいのが、業務を広く全体で捉えてプロセスを再設計する「BPR(ビジネス・プロセス・リエンジニアリング)」という手法です。BPRとはどのようなもので、いかに取り入れて業務効率化を進めていくのか。業務改革に関する総合的なコンサルティングサービスを提供するトッパングループの新会社、TBネクストコミュニケーションズの花村健一が、トッパンのBPO×BPR事業の特徴とともにご紹介します。
#組織・人材・働き方改革#BPO・業務効率化
2021.01.25
次世代小売店舗b8ta(ベータ)がつくるオフラインの価値
2015年にシリコンバレーで創業し、現在、日本2店舗を含め世界で約20店舗を展開するスタートアップ企業「b8ta(ベータ)」。今後、デジタル化が一層進んでいく中で、オフラインの価値はどう変わっていくのか。b8ta日本法人代表の北川卓司氏にお話を伺いました。
#デジタルマーケティング#セールス#マーケティング・プロモーション#顧客体験(CX)#店舗
2021.01.13
Push型の店頭ソリューション 非対面・非接触対応可能なAIリモート接客サービスが登場
店頭に設置したサイネージを通して接客スタッフが遠隔から直接、来店者に声をかけ、双方向コミュニケーションが実現する「AIリモート接客」。これにより、店頭イベント・プロモーションの来店者属性や生の声をデータとして可視化することが可能になりました。AIを活用した接客スタッフのスキル向上や「非対面・非接触」対応を可能とする、高度化した店頭向けソリューションをご紹介します。
#DX#組織・人材・働き方改革#BPO・業務効率化#セールス#マーケティング・プロモーション#非対面・非接触#顧客体験(CX)#店舗#AI
2021.01.13
オフライン環境を巻き込んだ体験イベントを提供|BAUM(バウム)
「樹木がくれる、美しい世界のはじまり」をブランドスローガンに掲げるスキン&マインドケアブランド「BAUM(バウム)」。 従来のオンラインイベントとは一線を画する、オフライン環境を巻き込んだ体験イベントを提供した意図について、BAUMマネジャーの桑原晋さんとカレメルアズサさんのお2人に話を伺いました。
#DX#セールス#マーケティング・プロモーション#イベント#非対面・非接触#顧客体験(CX)#店舗
2021.01.13
リアル店舗の売り場を体感|VRショッピングサービス事例
東日本大震災で壊滅的な被害を受けた福島県南相馬市は復興のモデル地域として大きな変貌を遂げている一方で、過疎化・少子高齢化が進んでいます。2020年、地域経済の活性化と買い物支援のため、VRショッピングサービスの実証実験がスタート。まるでリアル店舗にいるかのようなショッピング体験が遠隔からできるようになる日も、そう遠くないようです。
#DX#組織・人材・働き方改革#空間・モビリティ#セールス#非対面・非接触#顧客体験(CX)#店舗#VR・AR

TOP

© 2021 TOPPAN INC.

凸版印刷株式会社 情報コミュニケーション事業本部による、公式HPです。