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人と地域のあすをデザインする 展示会レポート

セミナーレポート

展示会の期間中、自治体から講師を招いてセミナーを開催しました。各自治体が抱えている課題について、どのように取り組んでいるのか。そこに凸版印刷のソリューションがどのように貢献できるのか。
セミナーのエッセンスをご案内します。

グローバルコミュニケーション計画~多言語音声翻訳システムの社会実装~

近年、訪日外国人数は急速に増え、2017年度は2,800万人を超えています。観光庁による「訪日外国人旅行者の国内に受ける受入環境整備に関するアンケート」(平成29年度)によれば、旅行中に困ったことは「施設等のスタッフとのコミュニケーションがとれない」26.1%、「多言語表示の少なさ・わかりにくさ」が21.8%と、言語に関連した問題が上位を占めています。

国立研究開発法人情報通信研究機構(NICT)では多言語音声翻訳技術の研究開発に取り組んでおり、スマートフォンに音声入力すると即座に外国語に翻訳して音声出力するアプリ「VoiceTra」を実現しました。音声をサーバで認識、翻訳、音声合成を行い、スマートフォンで出力するしくみです。31言語間の翻訳ができ、うち23言語は音声入力、17言語は音声出力が可能です。
総務省では、2017年4月にグローバルコミュニケーション計画を設定、2020年の東京オリンピック・パラリンピックの際には、多言語音声翻訳技術を活用して言葉の壁のない社会を世界に発信できることを目指しています。併せて、雑音抑制技術など、社会実装に役立つ技術開発も進めています。2015年度からは、観光施設や駅、病院など、さまざまな現場で利活用実証に取り組んできました。

総務省 国際戦略局 技術政策課 研究推進室 課長補佐 増子 喬紀 氏

また、日本語・英語間のディープラーニング翻訳の試作版を作成し、2017年6月から「VoiceTra」で提供しています。さらに、同年9月からは、さまざまな自治体や団体、企業から翻訳データを収集させていただく「翻訳バンク」の運用も開始しました。大量の翻訳データを集積することで、翻訳精度をいっそう向上させ、自動翻訳技術を皆で育てながら利用する好循環環境の実現を目指したいと考えています。

近年は在留外国人も、毎年約1割の割合で増え、コミュニケーションが課題となっています。たとえば、学校などで日本語の指導が必要な児童・生徒は、全国に日本国籍・外国籍を合わせて43,947人います(平成28年度末・文科省調べ)。日本語指導が必要な外国籍の児童生徒の母語として、ポルトガル語とフィリピン語が1位と3位に入っており、これらの言語にも強化が必要です。
日本郵便では2018年4月から、窓口サービス向上のため、全国約20,000局に「VoiceTra」を導入しました。

グローバルコミュニケーション計画の推進に伴って、NICTでは、民間企業から約20名の研究者の派遣を受け、先進的音声翻訳研究開発推進センター(ASTREC)を開設しました。また、グローバルコミュニケーション開発推進協議会を立ち上げ、ユーザー側も含めてさまざまな方にご参加いただいています。

医療やショッピング、観光、鉄道やタクシーなどの分野で使えるよう、皆で課題を検討しながら、この技術を育てていくことが大切だと思います。

自治体における多言語音声翻訳の活用について 甲府市の外国人対応の実状

甲府市は、平成29年5月より「VoiceTra」の評価実験、同年11月からは「自治体窓口向け音声翻訳システム」の実証利用を開始しました。現在では、市民部、福祉部門、総合案内、観光案内等でタブレットを設置し、積極的な利活用を行っています。

甲府市の人口は約19万人で、外国人市民は69カ国5,183名、平成30年3月末現在で人口比の約2.7%です。登録者数は中国・韓国・フィリピン・ベトナム・ブラジル・インド・タイの順に多く、宝石研磨産業がさかんなことから、インド国籍の宝石商、韓国籍の貴金属加工従事者が多いという特徴があります。ここ10年で顕著なのは、外国人技能実習制度の導入により、ベトナム国籍者が増加していることです。山梨県内にはベトナム語の通訳・翻訳者がいないため、手続きにあたっては英語と身振り手振りでコミュニケーションをとるというのが現状でした。
現在、甲府市のホームページは、民間の自動翻訳システムを使って10言語に翻訳。窓口設置のチラシは5言語に翻訳しています。

甲府市 市民部 市民総室 国民健康保険課 係長 石山 なぎさ 氏

甲府市では2009年に策定した多文化共生推進計画の基本目標1「行政情報提供の充実」に基づき、外国人向けの相談窓口を設置しています。このような窓口は県内にも少ないため、市外の方が相談にくることもあります。相談員として3名の嘱託職員が月曜~金曜、午前9時から午後4時まで常駐しています。2017年度の相談件数は面談・電話を合わせて1,873件、1日あたり7.8件になります。相談内容は在留・戸籍・労働・税金・修学など多岐にわたり、留学生や技能実習生の増加に伴い、ベトナム語やインドネシア語などの対応が求められています。

相談窓口では「VoiceTra」と「自治体窓口向け音声翻訳システム」を活用しています。導入のメリットとしては、使いやすいこと、再翻訳ができるので翻訳結果が正しいか確認できることが挙げられます。31言語に対応していますので、甲府市の在留外国人にはすべて対応可能な状況です。翻訳の精度について相談者の外国人に確認したところ「良い」「正しく訳されている」と評価をいただきました。ただし、「VoiceTra」は長い文章には対応できず、短く区切って使用しなければならない点が課題だと思います。

「自治体向け音声翻訳システム」は、行政の専門用語にも対応し、用語の解説もついており、相手に誤解なく伝わるという面でとても助かっています。希少言語の通訳翻訳に苦慮している自治体が多い中、このシステムでコミュニケーションの課題がクリアできると思いますので、対応言語の早急な増加を望みます。

自治体窓口・事務業務のアウトソーシング~自治体における避けられない課題への対応~

多くの自治体では、高度成長期に都市化が進み、数多くの公共施設が整備されました。現在、仙台市の公共施設の延床面積総計は340万㎡を超えています。建築年次で見ると、昭和40年代後半から50年代前半の高度成長期と、政令市へ移行した平成元年前後に多くの施設がつくられました。
昭和56年の耐震基準変更以前の建物は耐用年数約50年と見込まれていますが、高度経済成長期の建物はすでに建替え時期を迎えています。昭和41年建設の市本庁舎も老朽化が進み、昨年ようやく建て替え計画がスタートしました。平成元年頃のものは新耐震基準に対応しているので耐用年数は60~80年と見込まれますが、配管などの大規模改修の時期を迎えています。

仙台市 財政局 財政部 財政企画課長 利 大作 氏

一方、財政面では少子高齢化の進展に伴って社会保障関係費が増大しています。平成12年度、介護保険制度導入の時点では約300億円だった社会保障関係費が、現在は1,000億円を超えています。人口減少により歳入増が見込めないため、投資的経費を抑えざるをえず、ピーク時(平成5年度)の約1,600億円から600億円程度まで縮小しています。このままでは現有施設の更新や維持管理さえままなりません。旧耐震基準の建物の建て替えと新耐震基準の大規模改修が重なり、今後50年間に発生する施設コストは4.2兆円と試算しています。現有施設をそのまま更新すると年間243億円不足するため、将来の施設コストを約7割まで減少させなくてはなりません。

道路上下水道などのインフラは、すでにそれを利用している住民がいる以上、廃止することはできないため、残る「箱モノ」で3割以上のコスト削減を実現する必要があります。これは全国の市町村に共通の課題だと思います。「箱モノ」の総量を維持していくことはもはや不可能なのです。

仙台市は、平成26年3月に「仙台市公共施設総合マネジメントプラン」を策定しました。このプランでは現有施設の長寿命化を図るほか、施設ごとに整備や配置の方針を見直し、民間との役割分担についても調査・分析を進めるとうたっています。施設を減らすためには業務そのものを民間にお願いできないか考える必要があるのです。

人材不足の問題もあります。仙台市は、東日本大震災後、高齢者の人口が増える一方、生産年齢人口は減っています。加えて、昨今の「働き方改革」や「ブラック企業問題」などで、同じ業務量でもより多くの人員が必要です。就活生にとっては売り手市場ですが、民間企業の人気が高まると地方公務員は一転して不人気な職種になるという現状があります。自治体にとっても、「働き方改革」は自ら取り組むべき問題だと思います。
仙台市でも、部署によっては超過勤務時間が年間960時間を超える者もいます。まずは2019年度には720時間超の人をゼロに、最終的には平均300時間以下を目指して取り組みを始めたところです。

とはいえ、「働き方改革」は、「無駄な業務をなくす」などの単なる行革的な取り組みでは対応できない段階に来ています。これからは、限られた人数で「自治体職員が直接行うべき業務は?」ということを本気で考えなくてはなりません。本市においても、10年後の本庁舎建て替えを契機に、新庁舎のワークプレイスづくりを検討する中で、仕事の抜本的な見直しを進めています。
単純な効率化や作業減だけでは、経済成長や所得の向上につながらず、本当の「働き方改革」とはいえません。AI化が急速に進む中、単純業務を減らし、その時間を職員にしかできない、より創造的な業務に代えていく必要があります。

行政へのニーズはこれからも拡大、多様化し、業務はむしろ増えていくとみられます。財政面からは公共施設を縮小または効率化する必要がありますが、あわせて人材の確保が難しい中、職員が本来の業務を行うための時間が必要です。
業務の効率化や業務委託において、今後、民間企業のご協力がますます不可欠となってくるでしょう。

出展後記

本年は『人と地域のあすをデザインする ~トッパンの地域課題解決に向けた取り組み~ 』を出展テーマとし、「観光立国・地方創生」「地域資源を起点とした産業振興」「公共サービスの高度化」「医療・ヘルスケアによるまちづくり」など、自治体様が抱える課題に関する解決支援策をご紹介いたしました。
会期中は多くのお客さまにトッパンブースにお立ち寄りいただき、また、セミナーも連日満席となりました。
トッパンブース並びにセミナーにご来場いただいたお客さまには、多くの貴重なご意見、ご感想を賜りましたことを改めて御礼申し上げます。
本展示会にてご紹介したトッパンのソリューションが、地域課題解決の一助となることができれば幸いです。

凸版印刷株式会社 情報コミュニケーション事業本部
ソーシャルイノベーションセンター
営業本部 公共ビジネス推進部

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