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【ソリューションが創る可能性VOL.1】 デジタルがクリエイティブを拡大・加速させる時代ー創ー

2019.06.06

TOPPAN SOLUTION コラム:2018年カタログ・カレンダー受賞作品に見る、印刷技術進化論

撮影:小宮広嗣(TICクリエイティブ本部ビジュアルクリエイティブ部)

商用印刷を主としたトッパンという企業において「創造性=クリエイティブ」とは何を意味するものなのか。技術の最先端にあるデジタル分野とは如何なるものなのか。そんな問いに対する答えを、2018年度全国カタログ展及びカレンダー展のトッパン受賞作品を紐解きながら見つけていきたい。

2018年カタログ・カレンダー受賞作品に見る印刷技術進化論

先端技術たる“デジタル”が広げた“クリエイティブ”の地平線

印刷物とは、実在物として“究極的にアナログ”なインターフェースであり、現在では高度なレベルで「手触り」や「立体感」といった様々な“アナログ”的テクスチャー表現を生み出して続けている。それは、もちろん長年に渡って培ってきた様々な技法と知見を集約させ、ヒトの手で研鑽することによって実現させてきた、いわば職人的な“印刷技術の最先端の粋”であるのは間違いない。だが、高度化したデジタル技術によって『創造性』という側面が急速に拡大してきているのも忘れてはいけない重要なファクターなのである。

トッパンは長年、様々な『創造性=クリエイティブ』に関わる試みを行ってきた。2018年度の全国カタログ展、カレンダー展でトッパンが手掛けた作品の多くが入賞している事実をみても、その効果は明白である。そこにはクリエイティブな側面とともに、先端技術であるデジタル分野の躍進が確実に存在する。

さて、第一にトッパンのクリエイティブとは如何なるものなのか、から紐解いていこう。それを象徴するものとしてグラフィックトライアルという試みがある。まずはそのグラフィックトライアルについてのお話から。
お話を伺ったのは現在のトッパンクリエイティブの全てを知る、マーケティング本部長、大沢秀紀、そして長年カレンダーやカタログの制作に携わってきたトッパンアイデアセンターマーケティング本部プロモーション企画第2部3チーム 課長 山本剛久のお2人だ。
(聞き手:TOPPAN SOLUTION 編集部)

凸版印刷 本部長大沢 課長山本

クリエイターとの共創。
可能性・創造性を先端技術で繋ぐ『グラフィックトライアル』

—大沢:グラフィックトライアルの意義とは、印刷技術をベースとした新しい表現への挑戦と、それらを作品として世に残していくこと。それを具現化するために、創造性豊かな多彩なクリエーターの方々にご協力を仰いで、トッパンの印刷技術とのマッチングのなかでこれまで多数の作品を制作、世に発信してきました。
しかし活動を継続していく中で、印刷技術とクリーターの創造性のバランスというのも考慮しなければ、という課題も生まれてきました。そこは印刷会社であるトッパンが舵を握る立場である限り、まず印刷技術の向上及び革新があってこそなわけです。また、トライアルの活動範囲が広がっていく中では、我々に課せられた目標も変化していきました。つまりこれまでは“作品と技術を残す”ことそのものが意義としてあったわけですが、活動が多様化していく中で我々が向かうべきは、やはりこの技術や表現を世の中で使える製品にまで昇華させ、裾野にまで広げていくことだと。
とはいえそれが基準になってしまっても進化や発見の妨げになってしまいます。それではグラフィックトライアルとしての意味が無いですから、そのバランスというか兼ね合いですよね。

—TOPPAN SOLUTION 編集部(以下編):このグラフィックトライアルという試みもそうですが、確かに今の技術の進化にはクリエイターとのセッションが切り離せないと思うのですが。

凸版印刷 大沢

—大沢:その通りです。クリエイターの立場で言えば、ひと昔前ならばデザイン道具や絵の具や画材であったりとか、印刷でいえばオフセットやグラビアが中心であったりとか、インキであれば基本4色に特色の組み合わせなどしか選択肢がなかった。しかし今は道具はPCに置き換わりましたし、ソフトやインキジェットによるデジタル加工再現、常に新しい表現が開発され生み出されています。であればクリエイター側にはそれを自分でコントロールしたいという欲求が生まれ、「使いたい」と求めるのは当然のことですよね。

—編:クリエイターが自分の創造性を表現するツールとして、こういうものがあったらいい、というのは必ずあると思うんですよ。ですが今までクリエイターと技術開発側の間には、少なからず乖離があったのではないかと。そう考えると、トッパンが標榜しているグラフィックトライアルという試みは大変興味深いものであるのは間違いないですし、トッパンのクリエイティブに対する捉え方が現れている気がします。

—大沢:そうですね。ただ、グラフィックトライアルから生まれた表現や作品、それに使われた技術が一般製品にまで至るかというと、それはまた別の話で。新しい表現や技術にチャレンジして、それが実現できました、じゃあそれが実際に一般の製品に反映できるかというと、これまでも、そして今も大変に難しい壁があります。生産性や効率性と、品質コントロールの問題です。
グラフィックトライアルや日々のクリエイティブ活動の土壌から生み出された新しい技術や新たに生み出された印刷表現が、グラフィック業界や社会の中であたりまえのこととして理解・共感され、表現の選択肢としてひとつでも多く製品化することができたら、こんなに嬉しいことはないですね。

GRAPHIC TRIAL 2019

グラフィックトライアル2019

クリエイターとトッパンのプリンティングディレクターによる協業・共創が、印刷表現の可能性を広げ、トッパンブランドの強化と、ビジネスパートナーやステークホルダーにとっての期待感に応えることを目標に活動してきました。ここ数年は海外のクリエイターとのコラボレーションも意欲的に進めています。これからもグラフィック業界の活性化と拡大、プレゼンス向上のために“旬”で多様性豊かな発想から生まれる新たな挑戦をし続けていきたいと考えます。
2019年は改元の年。新時代の始まりに向けたワクワク感、高揚感、期待感から「EXCITING」をテーマにしました。共創といいながら、製版技術者や工場、印刷機の限界を巻き込んだ、スペシャリストたちによる戦いでもあります。作品のクオリティとともに、将来性を感じさせる、また印刷構造の実験に原点回帰した印刷版構造展としても見ごたえのある内容になっています。特設サイトやSNS、トークイベントはじめ巡回展も行っています。機会があればぜひ覗いてみてください。

—編:技術を持つ側のトッパンが主導になってクリエイターと共創する、そういう自由闊達な土壌が存在するからこそ、この後に紹介するような受賞作品の数々が生み出されてきているわけですよね。

それではカタログ展、カレンダー展にて受賞した作品のいくつかを解説していただきましょう。

凸版印刷 本部長大沢 課長山本

第70回全国カレンダー展 受賞作品

Lovely Friends【パナソニック ホームズ㈱様】第70回全国カレンダー展 第2部門 内閣総理大臣賞(金賞)

第70回カレンダー展第2部門 内閣総理大臣賞

全国カレンダー展の第70回という節目となる記念大会で内閣総理大臣賞を受賞した栄えある作品。
発行者のパナソニック ホームズ㈱様は毎年カレンダー制作に真摯に取り組まれています。
カレンダーを飾ることで、普段の生活をより豊かにしたり、幸せを感じていただけるように、という顧客様に対しての想いが込められた心温まる作品づくりを心掛けておられます。

発行:パナソニック ホームズ㈱
印刷:凸版印刷㈱
制作:CD/パナソニック ホームズ㈱+トッパンアイデアセンター カレンダーセンター AD/勝井三雄+トッパンアイデアセンター
作家:CORAL & TUSK

—編:第70回全国カレンダー展 第2部門 内閣総理大臣賞を受賞したパナソニック ホームズ㈱様の作品についてお伺います。受賞のポイントについてお聞かせください。

—大沢:コンテストとなると、とかく派手なギミックであったり写真のインパクトなどに重点を置かれてしまうことが多いのですが、今回はむしろカレンダーとして王道を意識した仕上がりといえます。実用面では日付もしっかり見えますし、デザインに関しても年間で飾って飽きのこないものという意味で、カレンダーの本質を定義し直しています。手描き感あふれる刺繡は実物さながらの印刷再現。とても体温が伝わる作品に仕上がりました。絵柄はNYのブルックリンでスタートしたインテリア・プロダクトブランド『CORAL & TUSK』の製品に施されているデザインを採用しています。動物たちの幸せな夢の世界をモチーフに手作り感のある刺繍によって表現された各月のストーリーからは、癒しと優しさが感じられます。デザイン自体が夢のある幸福感をテーマにしているということで同社のコンセプトにマッチしたのですね。技術的には、複写する段階から高度で高精細な撮影と印刷テクニックが使われています。具体的には、作品テイストを忠実に再現するために高解像度撮影、高精細印刷でステッチのリアル感を再現するとともに、微妙なシャープネス調整により作品の柔らかさを表現しています。2つの相反する表現を巧みに取り入れており、作品の中で絶妙に調和された仕上がりとなっています。
きちんとカレンダーとしての実用性を担保したうえでブランディングもしっかり伝えられる。作品力だけが突出しているわけではなく、カレンダーとしてどうあるべきか、というバランスがとても優れていたからこそ受賞できたのでは、と考えています。

第2部門 内閣総理大臣賞を受賞したパナソニックホームズ㈱

—山本:印刷の技術面においても非常に高度なことを行なっています。こういった細かい刺繍作品は、糸1本1本の立体感が消えてしまったり、網点表現によるモアレが出てしまうことがある。そんな中でも、最もシンプルな通常のオフセット4色で、刺繍の緻密な凹凸と鮮やかな色彩の再現に注力し、とても丁寧に表現されています。また、白い糸の刺繍部分をより白く見せるために、紙地に印刷で淡く着色するなどの工夫も盛り込まれている。そういった細やかな気配りや、繊細な表現技術が使われているのもこの作品の特徴ですね。

「光耀」 A TAPESTRY OF LIGHT【三菱電機㈱様】第70回全国カレンダー展 経済産業大臣賞(第一部門)

TAPESTRY OF LIGHT「光輝」【三菱電機㈱様】

表紙の題字は浅葉克己氏。
日本の自然の中から「光の輝き」をテーマにした作品「光耀」です。ここ数年のコンセプトである光感に加え構成テーマに「水」を設け、光と水を増幅させるデザインが施されています。
トッパンが継続して受注し、制作しているカレンダーの一つでもあります。

発行:三菱電機㈱
印刷:凸版印刷㈱
制作:CD/ 三菱電機㈱ +トッパンアイデアセンター カレンダーセンター 
   AD/浅葉克己+トッパンアイデアセンター

—編:第70回全国カレンダー展 経済産業大臣賞(第一部門)受賞の三菱電機㈱様 「光耀」 A TAPESTRY OF LIGHTについてはいかがですか?

—大沢:三菱電機様はここ数年“光と水”という一貫したテーマで取り組んでいらっしゃいます。今回の作品では光感に加え、より水を強く感じさせる情景写真を使用し、そこに重ねる紙で光を表しているのですが、この光を演出する紙の方にワックスプラスという技法を凝らしており、光と水を増幅させるデザインとなっています。
ワックスプラスは用紙にワックスを染み込ませ透過感を出すという特殊な印刷技術です。奇数月と偶数月で仕様を使いわけ、透け感表現によりまぶしさを強調するなど、贅を尽くした表現加工には味わいがあります。

—山本:過去のシリーズから続く光の輝き、躍動感という根底のキーワードをベースに、水をテーマに作品が選定されています。各写真の光に合わせてワックスプラスのパターンを変化させており、写真に使われている紙自体も写真の内容によって光沢のあるものを使うなど、各ページの印刷表現の違いによる表情の変化も楽しめます。

ワックスプラス TAPESTRY OF LIGHT「光輝」【三菱電機㈱様】

透明度が高く、プレミアム感を醸成ワックスプラス

ワックスプラス

紙の繊維に樹脂を染み込ませて硬化することで油に漬けたように透明にする技術。
非コート系の用紙であれば、好きな用紙に部分的な「透過窓」を作れます。
以前はシャープな画線が苦手でしたが技術の進歩で細かい絵柄も再現可能になりました。
写真はワックス専用紙。透明度が高く郵便窓にも使用可能です。

*実際の印刷設計には事前の入念な打ち合わせが必要です。
*印刷のご相談はお問い合わせを通じてご相談ください。
→  お問い合わせ

—山本:また、ワックスプラス加工したことによってページをめくるとパリパリと音がするのですが、水が躍動することで発生する音が聞こえてくるような感覚を与えてくれます。透け感も含めてとても和の雰囲気があり、視覚のみならず、触覚、聴覚を使って日本の風景美を体感できるカレンダー作品になっています。ワックスプラスは紙の種類やパターンの細かさなどで様々な透明効果を作り出せるので、この作品をご覧になっていただければ、幅広く使えるワックスプラスの実力を認識していただけると思います。

第60回全国カタログ展 受賞作品

—編:続いて、第60回全国カタログ展 文部科学大臣賞(図録部門)、審査員特別賞(柏木博賞)受賞の「天文学と印刷」は、とても印象的でした。

—大沢:図録部門で文部科学大臣賞と審査員特別賞のダブル受賞となった図録です。印刷博物館で開催した特別企画展覧会の図録になるのですが、多彩な印刷技術を盛り込んだ、印刷マニアにもたまらない仕上がりになっているのではないかと。コデックス装という製本技術によって、ふたつの歴史的文化が一つに結びつながることをイメージした設計だそうです。また、表紙まわりや各章の扉には箔を張ったような感じになる、コールドフォイルをという技法を使っています。天文学から連想される煌きを演出するために、キラキラしたシートを細かいイラストや文字のところにノリの成分を入れて圧着した熱を使わない表現加工です。そのうえで色を重ねて印刷することができるので、様々なキラキラした色調のバリエーション表現が可能になります。

天文学と印刷【凸版印刷株式会社 印刷博物館】

凸版印刷 大沢 山本

15~16世紀のルネッサンスの時代に大きく進化した印刷と天文学。この二つは、一方は技術で一方は学問なのだけれど、その二つの接点を結びつけたイラストや計算式であったり、その融合を証明するものを集めた資料的価値のある図録として見応えありますし、印刷の技術なども当時の技術資料を集めて編集されているのが大変興味深いです。紙の質感なども徹底的にこだわっていますね。
印刷の歴史を収集した図録なのだけれど、それを印刷している技術は最先端のもので再現されているというところが奥深いです。


—編:次のページでは、受賞作品から伺える「印刷技術におけるデジタル分野とこれからのカタログの在り方」、そしてトッパンのクリエイティブの本質について、深く掘り下げていきたいと思います。

天文学と印刷【凸版印刷株式会社 印刷博物館】第60回全国カタログ展 文部科学大臣賞/
審査員特別賞 柏木博賞 (図録部門)

天文学と印刷【凸版印刷株式会社 印刷博物館】

2018年10月20日~2019年1月20日の期間中、印刷博物館にて開催された企画展示「天文学と印刷~新たな世界像を求めて~」の図録作品。天動説から地動説の変革を一つの図像に再構成し、キービジュアルとして用い、表と裏表紙に分かれた図像が、コデックス装によって一つにつながるように設計しました。また、表紙や各章の扉にコールドフォイルを用い、天文学から連想される煌きを演出しています。

発行:凸版印刷㈱ 印刷博物館
印刷:凸版印刷㈱
制作:AD/トッパンアイデアセンター+㈱トッパングラフィックコミュニケーションズ
   D/㈱中野デザイン事務所


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