DATE

2019.05.21

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#WELLNESS

イベント概要

消費の対象がモノからコトへと移行する中で、心身のコンディションを整える時間とお金を投資する傾向が強まっています。健康やWELLNESSといった切り口から日本各地が誇る自然資源を再編集し、都市で働くビジネスマンの健康に貢献し、パフォーマンスを高めるための体験を生み出す。そのような健康と観光の重なりに生まれるWell-Workingな新・文化体験創造について探求していきます。

今回の「ウェルネス×ツーリズム」企画では、立場の異なるゲストを2名お招きし、インスピレーショントークを行っていただきました。

前半では、株式会社ユーフォリア代表取締役の宮田誠さんより「スポーツ×地方創生」をテーマに先駆的な取り組みから得た知見をご紹介いただきました。

後半では、Transform LLCの共同創業者である稲墻聡一郎さんより、ビジネスマンのパフォーマンス向上に向けてヒントとなるお話を伺いました。

▽前半はこちら

イベントレポート

インスピレーショントーク:
グローバルなビジネスマンサポートの現場から学ぶ
『ビジネスパフォーマンスを上げるための根幹となるセルフマネジメントグローバル企業が実践する「健康とwell-being」とは?』

稲墻 聡一郎 氏

稲墻 聡一郎 氏
Soichiro Inagaki
Transform LLC: Co-Founder and Partner
INA Inc.: 代表取締役

大手IT企業、ベンチャー企業役員を経て、2011年に起業。起業しつつ、その後すぐに人生のリセットと留学を思い立ち準備を進め、2015年から2017年まで、ロサンゼルス近郊にあるDrucker School of Management(通称:ドラッカー・スクール)に留学。2017年7月に帰国。同大学院の准教授であり、“Self-Management”理論研究の第一人者でもあるジェレミー・ハンター博士、および同大学院卒業生の藤田勝利氏と一緒に、“Self-Management”を軸としたマネジメントプログラムを提供する会社「Transform」を設立。
Forbes Japan Official Columnist
https://forbesjapan.com/author/detail/1013
Beta Gamma Sigma 会員

セルフマネジメントに関わるまでの道のり

私からは“パフォーマンスをあげるために必要なセルフマネジメントとその要素”という文脈でウェルネスにビジネスを絡めたお話をさせていただきます。

私は2011年に自身の会社を起業した直後に留学を決意し、ピーター・ドラッカーがつくった世界で一番小さな大学院、ドラッカースクールのエグゼクティブ・マネジメントプログラム(経営者向けプログラム)で2年間学んできました。現在はドラッカースクールの准教授でもあるジェレミー・ハンター博士と一緒に会社を立ち上げ、“セルフマネジメント”という考え方を中心に、人が結果を変えていくためのプログラム開発とその実践を行っています。

あなたは、自分自身のパフォーマンスを自覚できているだろうか?

そもそも、どうやって自分自身のパフォーマンスを認知するのでしょうか。それを知るためのツールというのが「自分自身を知る」ことです。

あなたは、自分自身のパフォーマンスを自覚できているだろうか?

一般的に、マネジメントや、パフォーマンスをあげるために行っていることの多くは、自分以外の他者や環境を変えることで何とかしようとする傾向が見られます。それは根本的に間違っていて、「そもそも自分がどういう状態にあるのか」「どんな自分になりたいのか」など自分自身の内面を、身体感覚や感情も含めて知ることが出発点になります。それがない限り、他者のマネジメントや環境の変化へとはつながりません。これはピーター・ドラッカーが昔からずっと主張し続けていたことです。
さらに言うと、組織の先には社会というものがあります。社会を見据えつつ組織のことも考えながら、自分自身のことを考える。この「3つのバランス」を考えていかないと誰もハッピーにならないですし、自分の成果も、結果も上がりません。ドラッカーがこのような考え方を根底にもち、ドラッカースクールなどを通じて実現しようとしていたところに、私は非常に共感していました。

結果を出すためにマネジメントすべき4つの領域

人がパフォーマンスをあげて結果を出すために、簡単にいうと4つの領域をマネジメントする必要があります。まずベースとなるのは『身体』です。栄養(食事)に気をつけ、適切な運動を取り入れ、睡眠をしっかりとることの3点が重要で、さらに呼吸というツールを使うことで、自分自身をマネジメントしやすくなります。そして、戦略的に休息を取ることで、土台を強固にします。この土台があって、その上に『感情』や『意識』に目を向ける。自分が「何に意識を向けているのか」「何に意識を向けていないのか」「その意識を向けている時に、どれぐらいエネルギーをかけて集中しているかをさします。
そして、『意図』も大切な要素です。ここでは、「自分が本当に欲しいものはなにか」を明確にする必要があるとされています。どれか1つに偏ることなく、4つの領域すべてに意識を向けてマネジメントすることでパフォーマンスが向上し、欲しい結果が手に入れられる可能性が高まると言われています。

結果を出すためにマネジメントすべき4つの領域

セルフマネジメントは、訓練の積み重ね

「何かうまくいかない・・・」という、欲しくない結果を得ている場合、人は必ずそれを生み出す「行動」をとっているものです。さらにその「行動」に先立ち、いくつかの、あるいはたったひとつの「選択肢」を持っています。「選択肢」の数は、自身の「気づき」の領域を拡大することで、増やすことができます。この際、自分がどこに「意識や注意」を向けていて、どこに向けていないかを把握する必要があります。この「意識」の領域の中には、自分自身が「無意識のうちに信じているもの」や「期待」「思い込み」なども入っています。

セルフマネジメントは、訓練の積み重ね

総括すると、まずは「意図や目的」をしっかり定め、それに「意識」を向けつつ、「気づき」の幅を広げ、「行動」を左右する「選択肢」の数を増やしていきます。そうすることで「行動」が変わり、「結果」へと結びつけていきます。それでもまだ結果が結びつかないのであれば、再び「意図」や「意識」に立ち返り、そのプロセスを繰り返します。これが、新たな結果を生み出す上での大事な姿勢となります。これは、やればすぐにできるものではなく、楽器が演奏できるようになるように、基本的な訓練の積み重ねが必要になります。我々が提供するサービス・プログラムでは、伴走することで訓練を支援し、参加者に意識やコミュニケーションの変化、パフォーマンスの向上を実感してもらっています。

セルフマネジメントは、訓練の積み重ね

最後に、私たちは「欲しくない結果を欲しい結果にかえていくことをビジネスパフォーマンスがあがる」と定義していますが、本日のイベントのテーマである「ウェルネス×ツーリズム」と関連することをお話しします。

私たちの研修は、1日目を湯河原で、2日目を東京で行っています。湯河原で研修を行うのは、場所を変えることで、どれだけ自分が心からリラックスできるかを体験していただきたいからです。都会とは違い刺激が少なく、地方のアセットである温泉や自然等の環境を使って、どのように自分自身が変化したかという内面を感じやすくするのも、「ウェルネス×ツーリズム」だと思います。

ビジネスパフォーマンスをあげる上で、場所を変え、その時の身体感覚や感情を知ることは非常に有用なことです。都市にいるだけですと、疲れている状態をクリアに感じとれませんし、十分な睡眠がとれていないことにすら、気づくことが難しかったりします。そして、感情が乱れていることに気づかず、結果として「何か上手くいかない」状態が続きます。都市と地方の場所の違いを感知し、上手くいっていない状態を身体感覚や感情のレベルから自覚し、戦略的に休みつつ、上記のプロセスを繰り返し、新たな選択肢の中から行動し続けることが、自分を輝かせることにつながります。

Photo:中村佑人