「複合プラスチックからのモノマー回収液相プロセスの開発」がNEDOの委託事業に採択

  • 国立大学法人東北大学
  • 国立研究開発法人産業技術総合研究所
  • 東ソー株式会社
  • 凸版印刷株式会社
  • 東西化学産業株式会社
  • 恵和興業株式会社

 国立大学法人東北大学、国立研究開発法人産業技術総合研究所、東ソー株式会社、凸版印刷株式会社、東西化学産業株式会社、恵和興業株式会社は、共同で複合プラスチックのケミカルリサイクル(※1)技術の実用化を目指した研究開発「複合プラスチックからのモノマー回収液相プロセスの開発」を2021年11月から開始しました。
 本研究開発は、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の「革新的プラスチック資源循環プロセス技術開発/石油化学原料化プロセス開発」委託事業(※2)(事業期間:2020年度~2024年度)の追加公募で、採択され実施するものです。

 医薬品や食品など一般に使用されているプラスチックの多くは、多層プラスチックフィルムに代表されるように、機能・性能を持たせるために、性質が異なる複数種のプラスチックを複合して使用されています。しかし、複数種が複合されたプラスチック(複合プラスチック)のリサイクルでは燃焼によるサーマルリサイクル(※3)に依存し、環境保全の観点からもマテリアルリサイクル(※4)やケミカルリサイクルの技術確立が期待されています。

 このような課題に対し、本研究開発では、包装・容器等に利用されている複合プラスチックからモノマー(※5)を回収する液相プロセスを開発します。複合プラスチックは、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリアミド(PA)等の加水分解性プラスチック(※6)と、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリスチレン(PS)等の非加水分解性プラスチック(※7)から構成されています。当該複合プラスチックを高温高圧水中で処理することで、加水分解性プラスチックは再び同種のプラスチックとなるモノマー類へ、非加水分解性プラスチックは石油化学の原料におのおの分解し、各モノマーを高選択・高収率・高純度で回収できます。連続の液相プロセスによるケミカルリサイクル技術を確立することで、複合プラスチックごみをそのまま処理できる可能性があることから、一般ごみのリサイクル率向上に大きく寄与し、環境保全に貢献します。

用語解説

※1 ケミカルリサイクル
廃プラスチック類の廃棄物を化学的な処理により他の物質に変え、その物質を原料にして新たな製品を作るリサイクル方法

※2国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の「革新的プラスチック資源循環プロセス技術開発/石油化学原料化プロセス開発」委託事業
https://www.nedo.go.jp/koubo/EV3_100239.html

※3 サーマルリサイクル
廃棄物を単に焼却処理するのではなく、その焼却の際に発生する熱エネルギーを回収・利用するリサイクル方法

※4 マテリアルリサイクル
廃プラスチック類の廃棄物を、破砕・溶融などの処理を行った後に再生利用するリサイクル方法

※5 モノマー
ポリマー(プラスチック)を構成する最小の単位

※6 加水分解性プラスチック
高温水や高温蒸気中で水の作用により物理特性や化学特性が変化するプラスチック

※7 非加水分解性プラスチック
高温水や高温蒸気中であっても水の作用により物理特性や化学特性の変化がみられないプラスチック

* 本ニュースリリースに記載された商品・サービス名は各社の商標または登録商標です。
* 本ニュースリリースに記載された内容は発表日現在のものです。その後予告なしに変更されることがあります。

以 上

Newsroom Search