AI活用でゲノム編集の研究開発をサポートし、新たなバイオビジネスを実現

  • 凸版印刷株式会社
  • 国立大学法人広島大学
  • プラチナバイオ株式会社

 凸版印刷株式会社(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:麿 秀晴、以下 凸版印刷)と、国立大学法人広島大学(所在地:広島県東広島市、学長:越智 光夫、以下 広島大学)、プラチナバイオ株式会社(本社:広島県東広島市、代表取締役CEO:奥原 啓輔、以下 プラチナバイオ)は、AIを活用し、ゲノム編集のデータ処理を簡易化するゲノム編集支援オープンプラットフォーム「Genome Editing Cloud™」β版を開発しました。この成果は、国立研究開発法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構(所在地:神奈川県川崎市、理事長:石塚 博昭、以下NEDO)の助成事業の結果得られたものです。

 ゲノム編集とは、目的とする遺伝子を狙った特性に改変する技術のことで、すでに医療分野では新たな治療法や新薬の開発に利用されています。また農畜水産業や工業(バイオものづくり)などさまざまな分野においても革新的な基盤技術として今後活用されていくことが期待されています。

 凸版印刷と、広島大学、プラチナバイオはゲノム編集技術の普及と社会実装に向けて、三者がこれまでに培ってきた技術・知見を融合し、新たなバイオビジネスを実現させます。 

本開発の背景

 近年、ゲノム解析技術の革新により大幅なコスト削減・高速化が実現し、ヒトを含むさまざまな生物のゲノム情報や遺伝子情報が解読され、データベース化されています。また、ゲノム編集技術が発明されたことにより、目的とする遺伝子を狙った特性に改変することが可能になりました。これらの技術革新は医療をはじめ多岐にわたる産業への応用が進められています。
 現在、ゲノム編集に携わっている研究者は主に、生物学や医学を専門としており、膨大なゲノム情報を取り扱うことや解析が大きな負担となるため、ゲノム編集の研究開発が遅延する要因となっています。そこで、三者はゲノム編集のデータ処理を簡易化し、研究開発をサポートするITツール「ゲノム編集支援オープンプラットフォーム」が求められていると考え、NEDOの助成事業において、その開発に取り組んでいます。

三者の役割

・凸版印刷
 凸版印刷は広島大学と連携し、生物学や医学を専門としている研究者がゲノム編集の研究に必要な大量のデータ処理解析などを簡単に行えるソフトウエアの研究を進めていきます。この共同研究は、国立研究開発法人科学技術振興機構(JST)の事業の一つである「産学共創プラットフォーム共同研究推進プログラム(Program on Open Innovation Platform with Enterprises, Research Institute and Academia、以下 OPERA)」の「『ゲノム編集』産学共創コンソーシアム」の一環で行われ、凸版印刷と広島大学は、ゲノム編集の解析エンジン「MaChIAto(マキアート)」を開発しました。

・広島大学
 OPERAでは、社会実装を目指す「ゲノム編集」の産業利用と国産技術開発を並行し、国内企業によるゲノム編集を用いた事業化を支援しています。「『ゲノム編集』産学共創コンソーシアム」の領域統括である山本卓教授は、ゲノム編集技術の社会実装を加速するために、プラチナバイオを設立しました。

・プラチナバイオ
 プラチナバイオは凸版印刷と連携し、NEDOの事業の一つである「Connected Industries 推進のための協調領域データ共有・AI システム開発促進事業」(2019~2021年度)に取り組んでいます。この事業の成果として、プラチナバイオと凸版印刷は、内部の解析エンジンとして「MaChIAto」が組み込まれたゲノム編集支援オープンプラットフォーム「Genome Editing Cloud™」β版を開発しました。

 凸版印刷と、広島大学、プラチナバイオは新たなバイオビジネスに向けて、これまでに培った各々の技術・知見・経験を融合し、連携していきます。

ゲノム編集支援オープンプラットフォーム「Genome Editing Cloud™」β版の内容

 「Genome Editing Cloud™」はゲノム編集のための支援オープンプラットフォームで、プログラミング言語を意識せずに大量のデータを簡易に処理できるGUIを提供します。今回のβ版では、ゲノム編集データ解析をサポートする2つの機能を提供します。
(1)Designer (CRISPR-Cas9ガイド設計)
 入力した塩基配列データに対しCRISPR-Cas9システムのガイドRNAを設計・評価する機能
(2)Analyzer (編集配列解析)
 ゲノム編集した配列データを解析する機能

ゲノム編集支援オープンプラットフォーム 「Genome Editing Cloud™」の操作画面
ゲノム編集支援オープンプラットフォーム 「Genome Editing Cloud™」の操作画面

 本サービスを利用することで、高度なIT知識を必要とせず、簡便かつ効率良く、ゲノム情報データ解析作業を行うことができます。 

今後の目標

 ゲノム編集研究の加速や社会実装の推進に向けて、凸版印刷と、広島大学、プラチナバイオの三者連携をさらに強化し、ゲノム編集支援オープンプラットフォーム「Genome Editing Cloud™」と「ゲノム編集の編集効率を予測するAIシステム」を組み合わせることで、ゲノム編集研究のITプラットフォームを構築し、2022年のサービス開始を目指します。

* 本ニュースリリースに記載された商品・サービス名は各者の商標または登録商標です。
* 本ニュースリリースに記載された内容は発表日現在のものです。その後予告なしに変更されることがあります。

以  上

Newsroom Search