センシングデータを活用して奈良医大のノウハウを可視化し
看護・介護業務の負荷軽減に向けた実証を開始

  • 凸版印刷株式会社
  • 公立大学法人 奈良県立医科大学

 凸版印刷株式会社(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:麿 秀晴、以下 凸版印刷)は、国立研究開発法人情報通信研究機構(NICT、理事長:徳田 英幸)の委託研究「データ連携・利活用による地域課題解決のための実証型研究開発(第2回)」(2019年度から2020年度の2年間)を受託しています。

 このたび、凸版印刷は、公立大学法人奈良県立医科大学(奈良県橿原市、理事長・学長:細井 裕司、以下 奈良医大)の協力の下、LPWA(低消費電力広域ネットワーク)規格ZETA(ゼタ)(※1)とベッドにかかる荷重の度合いから患者の状態を把握できる3次元センシングを活用し、奈良医大がこれまで培ってきた褥瘡(じょくそう)(※2)予防のノウハウを可視化。これにより医療・介護現場における看護・介護者の負荷軽減や人手不足を解消することを目指す実証実験を2020年2月21日より奈良医大にて開始します。
 本実証実験では、ベッドの脚に設置したセンサーで、ベッド上の力のかかり具合や寝ている方向などを把握する3次元センシングにより患者の姿勢推定や荷重検知を行い、褥瘡予防との相関関係をAIで論理的に推定することを目指します。また、他の医療機器への影響が少なく低価格で導入できるため、病院や施設内に容易に設置可能なZETAを使用することで、センシングした情報を集約し、遠隔からリアルタイムで見守りを行います。

本実証実験の全体のイメージ

背景

 患者が寝たきりなどによって皮膚に炎症が生じてしまう褥瘡の予防は、看護・介護者による体位変換や座位姿勢の補助などが必要とされており、高頻度かつ看護・介護者の身体的負担が大きく、経験に頼る部分が多いため、論理的な対応が難しいとされています。それに伴い、医療・介護現場では定期的に巡回を行い、患者を見守るなどの業務負担が大きいことが課題となっています。
 今回、凸版印刷は、一般社団法人MBTコンソーシアム(理事長:細井 裕司)(※3)を通じて、医学を基礎とするまちづくりを推進する奈良医大の脳神経内科学(杉江和馬教授、形岡博史准教授)の協力の元、3次元センシングによって得られたデータと褥瘡予防の相関関係をAIにより論理的に推定し、医療・介護現場における負荷軽減を目指します。

本実証実験の概要

・場所:奈良県立医科大学附属病院
・実証期間:2020年2月21日から開始
・内容:

荷重センサーのプロトタイプ
4つの荷重センサーに対応したデータを取得

 ① 3次元センシングで取得したデータと褥瘡予防との相関関係を検証
 カメラやマット型の圧力センサーではなく、荷重センサーをベッドの脚に設置。これにより、患者の体に力がかかっている部位やベッド上でどの位置に力がかかっているかなど、荷重データをセンシングし、そのデータと褥瘡予防との相関関係を検証します。

② 奈良医大がこれまで培ってきた褥瘡予防のノウハウを可視化
 医療現場で行われる褥瘡予防に必要な体位変換や巡回の頻度など、これまで経験に頼っていた部分をZETAと3次元センシングで可視化。奈良医大のノウハウを水平展開することを目指し、褥瘡予防を論理的に推定することを検証します。
 

今後の目標

 本研究の成果を活用することにより、看護・介護負荷の軽減につなげることで、高齢化社会において予想される負担増加・人手不足の解消に貢献します。また、AIデータ分析技術とZETAネットワークを通じて、将来的には在宅介護における家族支援へのサービス展開を目指します。

※1 ZETA
ZiFiSenseが開発した、超狭域帯(UNB: Ultra Narrow Band)による多チャンネルでの通信、メッシュネットワークによる広域の分散アクセス、双方向での低消費電力通信が可能といった特徴を持つ、IoTに適した最新のLPWA(Low Power Wide Area)ネットワーク通信規格。LPWAの規格の一つであるZETAは、中継器を多段に経由するマルチホップ形式の通信を行うことで、他のLPWAと比べ、基地局の設置を少なくでき低コストでの運営が可能な方式として注目されている。

※2 褥瘡
患者が、寝たきりなどによって、体重で圧迫されている場所の血流が悪くなったり滞ることで、皮膚の一部が赤い色味をおびたり、ただれたり、傷ができてしまうこと。一般的に「床ずれ」とも言われる。

※3 MBTコンソーシアム
奈良医大・凸版印刷を含め100社以上の企業・団体が、「医学」を基礎として、介護・見守り・交通・製薬・生活支援・エネルギー・補完代替医療など、超高齢社会における産業全体に関わり連携し、「まちづくり、産業創生、地方創生」に寄与を目的とする団体。
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以  上

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