「学びの自立・個別最適化」に関する実証を袋井市と凸版印刷が共同で推進

  • 静岡県袋井市
  • 凸版印刷株式会社

 静岡県袋井市(市長:原田 英之、以下 袋井市)と凸版印刷株式会社(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:麿 秀晴、以下 凸版印刷)は、2019年度『「未来の教室」実証事業』に、2年連続で採択されました。
 袋井市と凸版印刷は2018年度も同事業に参画しており、袋井市立三川小学校において、教科書の内容をデジタル・ドリルで学ぶサービスを使用し、基礎学習の習熟度を高い水準に維持しつつ、授業時間を圧縮することに成功しました。その結果、教員は捻出された時間を活用し協働学習を実践することで、児童の思考を深める学習を行うことができました。その実証の成果が評価され、今回の採択に至りました。

 今年度は袋井市立浅羽北小学校が同実証事業のモデル校として選定されており、同校において、凸版印刷が『学びの自立化・個別最適化(教科学習系EdTech(※1)による生産性向上)」に関する実証(以下 本実証)を、2019年10月から12月までの3か月間実施する計画です。

未来の教室ロゴ

 「学びの自立化・個別最適化」とは、子ども達一人ひとりの個性や特徴、興味・関心や学習の到達度が異なることを前提にして、各自にとって最適で自立的な学習機会を提供していく考え方です。凸版印刷は本実証において、前述した2018年度の取り組みをさらに発展させ、「学習状況の可視化」と「複数の学習手法」の組み合わせにより、一斉授業では実現が難しかった「学びの自立化・個別最適化」の実現を目指します。

◇実証で提供される学習サービス

 児童は、2020年度より本格使用が開始されるデジタル教科書を使って、各自で学習を進めます。次に、新たに開発するデジタル・ドリルを使って教科書の練習問題に回答し、教科書の理解度を確認します。教科書の練習問題が難しい児童には、チャットボットやレクチャー動画により理解を手助けします。児童は、一通り単元の学習内容を終えた後、凸版印刷のアダプティブ・ラーニング・サービス(※2)である「やるkey」を活用することで、習熟度を高めます。余力のある児童には、応用問題を提供し、学びを深める手助けをします。一方、教員は手元のタブレット上で、個々の児童の進捗やそれぞれの問題の正答率、どんな誤答の傾向があるかをリアルタイムかつ瞬時に把握することが可能となり、これまでより的確に児童の学習を支援することが可能になります。

 上記サービスにより、多くの公立学校で実施可能な形で学びの生産性を向上させ、基礎学習の習熟を担保しつつ、昨年度以上の授業時間圧縮を目指します。最終的には、上記の時間圧縮により捻出された授業時間を活用して、教員がSTEAM教育(※3)を実践することで、自ら課題を発見し、解決できる創造力豊かな人材育成への貢献を目指します。

『「未来の教室」実証事業』について

 世界は「課題解決・変革型人材(チェンジ・メイカー)」の輩出に向けた能力開発競争の時代を迎え、各国で就学前・初中等・高等・リカレント教育の各段階におけるEdTechを活用した「学びの革命」が進んでいます。
 このような世界の流れを背景に、経済産業省は「『未来の教室』とEdTech研究会」での議論を踏まえ、「未来の教室」実現に向けて必要なサービスやプログラムについての実証事業を行うこととし、平成29年度補正予算で「学びと社会の連携促進事業(「未来の教室」(学びの場)創出事業)」を予算措置しました。
 経済産業省は2019年6月に、2018年度の同事業の成果をまとめた「未来の教室」ビジョン(経済産業省 「未来の教室」と EdTech 研究会 第2次提言)を発表しています。

※経済産業省「未来の教室」実証事業の詳細は以下http://www.meti.go.jp/committee/kenkyukai/mono_info_service.html#mirainokyositu
※2019年度の「未来の教室」実証事業の詳細は以下
https://www.meti.go.jp/press/2019/09/20190924002/20190924002-1.pdf

本実証の概要

・ねらい
 子どもたち一人ひとりの資質・能力に適した学習を進めるため、タブレットを使った新しいスタイルの授業(=未来の学び方)を実践し、その効果を検証します。
・実施校
 袋井市立浅羽北小学校
・実施期間
 2019年10月~12月
・対象生徒
 6年生約70人(一人一台タブレット端末を貸与)

今後の展開について

 袋井市と凸版印刷は、昨年度および今年度の実証成果を踏まえて、「未来の教室」のビジョンに基づき、公教育全般で実施可能な新しい教育スタイルの実践を行っていきます。
 また凸版印刷は、本実証で使用するアダプティブ・ラーニング・サービスをベースに、「教科学習の効率化」「STEAM教育」「非認知能力醸成」を組み合わせ、授業の知識習得型から課題解決型へ転換を支援する新サービスの開発を目指します。

※1 EdTechとは
Education(教育)とTechnology(技術)を組み合わせた造語です。教育を、テクノロジーを使って効率的にできるようにしようという取り組み全般のことを指します。
※2 アダプティブ・ラーニング・サービスとは
個々の子どもの進捗に合わせ、学習内容や学習レベルを調整し提供する学習サービスです。蓄積されたログを解析することでつまずきや弱点を明確にし、子ども一人ひとりに「最適化」されたコンテンツを提供することで、効率的に学習を進めていくことができます。
※3 STEAM教育とは
「STEAM」という語は、Science(科学), Technology(技術), Engineering(工学), Mathematics(数学) と Arts(リベラルアーツ) を合わせた造語であり、米国、中国はじめ世界の様々な国で進む、第4次産業革命等の潮流を意識した教育改革において、非常に重視されている概念です。
なお本実証においては、株式会社STEAM Sports LaboratoryがSTEAM教育を担当します。

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* 本ニュースリリースに記載された内容は発表日現在のものです。その後予告なしに変更されることがあります。

以  上

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