欠損した箇所を白黒写真から推定し復元するプロジェクトに着手

  • 国立西洋美術館
  • 凸版印刷株式会社

 独立行政法人国立美術館国立西洋美術館(館長:馬渕明子、以下 国立西洋美術館)と凸版印刷株式会社(代表取締役社長:金子眞吾、以下 凸版印刷)は、印象派を代表する画家のひとりであるクロード・モネが描いた同館が所蔵する≪睡蓮、柳の反映≫の、欠損した箇所を推定しその全体像を復元するプロジェクトに着手しました。デジタル復元した成果は、2019年6月11日(火)から国立西洋美術館で開催する企画展「国立西洋美術館開館60周年記念 松方コレクション展」にて公開します。

 国立西洋美術館が所蔵する≪睡蓮、柳の反映≫は、2016年にパリのルーヴル美術館で発見されるまで、60年間にわたってその行方がわからなかったクロード・モネによる晩年の大作で、同館コレクションの中心をなす松方コレクションの中で重要な作品です。発見されたときには画布の半分近くが欠損しており、作品の全体像は破損前に撮影された白黒写真から想像するしかありませんでした。
 今回、凸版印刷がこれまでに培った消失文化財をデジタル復元する技術の実績とそれを基に新たに構築した復元手法を用いて、≪睡蓮、柳の反映≫の欠損部分を推定復元します。

画布の上半分が欠損した発見時のクロード・モネ作≪睡蓮、柳の反映≫
表面には保護のため薄い紙がかけられている。
欠損部分に白黒写真を重ねた状態。白黒写真を参考に全体像のデジタル復元を行う

凸版印刷のデジタル復元について

  凸版印刷は、国内外の貴重な文化財を後世に継承するために実物のデジタルアーカイブや消失文化財のデジタル再現に取り組んでいます。これまで、帝国ホテル旧本館ライト館や江戸城天守のVR再現や、模本と考えられている「大坂冬の陣図屛風」(東京国立博物館所蔵)の彩色復元をおこなっています。

松方コレクションとクロード・モネ≪睡蓮、柳の反映≫について

 松方コレクションは、神戸の川崎造船所(現・川崎重工業株式会社)の初代社長などを務めた松方幸次郎が、1910から1920年代にヨーロッパ各地で蒐集した美術品のコレクションです。1920年代末から散逸した作品も多いですが、コレクションの一部は戦後、日本へ「松方コレクション」として寄贈返還されました。これを保管展示するための美術館として1959年に国立西洋美術館が設立されました.
≪睡蓮、柳の反映≫は、1921年に松方がモネから直接譲り受けた、代表的な連作「睡蓮」の中の1点。横4.25メートルの大作で長い間所在不明でしたが、2016年にルーヴル美術館の一角で、画布の上半分が失われた状態で発見されました。パリ・オランジュリー美術館の「睡蓮」の大装飾画を構想する過程で描かれたとされ、画家の制作プロセスを考えるうえでも、きわめて意義のある“幻の大作”です。

企画展「国立西洋美術館開館60周年記念 松方コレクション展」について

会期: 2019年6月11日(火)~9月23日(月・祝)
会場: 国立西洋美術館
主催: 国立西洋美術館、読売新聞社、NHK、NHKプロモーション
※展覧会の詳細は、松方コレクション展公式ホームページhttps://artexhibition.jp/matsukata2019/をご覧ください。
 お問合せ:03-5777-8600(ハローダイヤル)

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以  上

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