~フランク・ロイド・ライト氏が設計した、帝国ホテル旧本館「ライト館」の在りし日の全容を再現するVR作品の製作に着手、「フランク・ロイド・ライト生誕150年記念シンポジウム」でその進捗を初公開~

 凸版印刷株式会社(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:金子眞吾、以下 凸版印刷)は、20世紀を代表する建築家の一人であるフランク・ロイド・ライト氏(以下、ライト)が設計した帝国ホテル旧本館「ライト館」(以下 ライト館)を、各所に散在する資料や体験を収集・記録し、在りし日の全容を再現し体感できるVR作品『帝国ホテル・ライト館の再現』の製作に着手しました。2017年9月29日(金)に東京、2017年10月5日(木)に大阪で開催される「フランク・ロイド・ライト生誕150年記念シンポジウム」にて、その進捗を初公開します。

 ライト館は、1923(大正12)年に竣工した、日本における代表的な近代建築です。しかしながら、老朽化などにより1967(昭和42)年12 月から解体され、その一部が博物館明治村(所在地:愛知県犬山市、館長:中川武)に移築されているものの、その全体像を見ることはできません。
 凸版印刷は今回、ライト館に関する資料を所蔵する早稲田大学中央図書館(所在地:東京都新宿区)や博物館明治村(所在地:愛知県犬山市)、LIXIL(所在地:東京都千代田区)、帝国ホテル(所在地:東京都千代田区)の協力のもと、現存する関連資料をデジタル化。それらのデータを活用したVR作品『帝国ホテル・ライト館の再現』を、2018年3月の完成を目指し、製作を開始しました。
 「フランク・ロイド・ライト生誕150年記念シンポジウム」では、現在までに製作した外観・エントランス・ロビー・ダイニングルームのコンテンツを公開するほか、館内の昼と夜の印象の変化や調査時に得られた情報をもとにしたシミュレーションを行い、在りし日のライト館の様子を体験できます。

 今後も凸版印刷は、ライト館の資料収集およびVR再現に向けた取り組みを推進するとともに、これらの活動で取得したノウハウをもとに、近現代建築・近代産業遺産の分野への取り組みを推進します。 

VR技術で再現した、帝国ホテル旧本館「ライト館」の外観
VR技術で再現した、帝国ホテル旧本館「ライト館」の外観
© Toppan Printing Co., Ltd.
VR技術で再現した、帝国ホテル旧本館「ライト館」のロビー
VR技術で再現した、帝国ホテル旧本館「ライト館」のロビー
© Toppan Printing Co., Ltd.

帝国ホテル旧本館「ライト館」について

 「ライト館」は、フランク・ロイド・ライトが設計し、帝国ホテルの2代目本館として1923(大正12)年に建設されました。鉄筋コンクリート造を主体とする地上5階地下1階建で、270室の客室数を備えていました。大谷石や愛知県常滑で焼かれたスダレ煉瓦、テラコッタなどの素材を活かした独特のデザインは、建築史的に見ても非常に重要な建築物でした。しかしながら、1967(昭和42)年に老朽化などの理由により解体されました。現在は、博物館明治村の帝国ホテル中央玄関に様式保存されたライト館の一部を見ることができます。 

VR作品『帝国ホテル・ライト館の再現』について

 本VR作品は、さまざまな修復が行われる以前、開業10年後となる昭和初期のライト館の姿を想定し、製作したものです。さまざまな研究調査や建築部材の形状計測、素材調査、そして竣工から解体までの記録写真に基づき空間を再現しています。また、ライトが設計時に想定していたものの実施は使われなかった菩提石が実際に使われていた場合の空間の様子や、柱のスダレ煉瓦の目地に金泥が塗布されていたという記録に基づいた空間再現も行います。さらに、朝から夜にかけての光の変化、賑わいの様子なども当時の写真を挿入し、演出しています。

関連資料のデジタルアーカイブと関連資料の収集・記録について

図面のスキャニングの様子
図面のスキャニングの様子
1.早稲田大学中央図書館所蔵 ライト館解体時図面デジタルアーカイブ 
ライト館解体当時に早稲田大学建築学科の明石信道教授(1901~1986)の研究室により実測され、遺された解体時の図面約100枚が同大学中央図書館に保存されています。凸版印刷は、早稲田大学建築学科ならびに同大学中央図書館と共
同で、これらの図面のデジタルアーカイブを実施。凸版印刷が独自開発した文化財専用オルソスキャナを用いることで、高精細なデジタル化を行いました。
ドローンを用いた撮影風景
ドローンを用いた撮影風景
2.博物館明治村に移築されたライト館エントランスとロビー(帝国ホテル中央玄関)のデジタル化 
博物館明治村ではライト館解体後、エントランスとロビー部分を様式保存し、帝国ホテル中央玄関として一般公開しています。
凸版印刷は今回、このエントランスとロビーの一部を高精細撮影と立体形状計測によるデジタルアーカイブを実施。外観はドローンを用いたデジタル撮影を実施しました。
大谷石の調査の様子
大谷石の調査の様子
3.さまざまな資料や体験の収集・記録
LIXILの文化施設INAXライブミュージアム(愛知県常滑市)で、同館が所有するフランク・ロイド・ライト氏のデザインに基づいて制作されたスダレ煉瓦やライト館解体材を調査。また当時ライト館で使用されていたとされる大谷石の調査や、博物館明治村や帝国ホテル・遠藤現氏・グループ現代が所蔵する写真資料や映像記録、東京工業大学平井聖名誉教授所有の測量写真など多くの関係者の資料を収集・検証し、往時の姿を再現しています。LIXILの文化施設INAXライブミュージアム(愛知県常滑市)で、同館が所有するフランク・ロイド・ライト氏のデザインに基づいて制作されたスダレ煉瓦やライト館解体材を調査。また当時ライト館で使用されていたとされる大谷石の調査や、博物館明治村や帝国ホテル・遠藤現氏・グループ現代が所蔵する写真資料や映像記録、東京工業大学平井聖名誉教授所有の測量写真など多くの関係者の資料を収集・検証し、往時の姿を再現しています。

「フランク・ロイド・ライト生誕150年記念シンポジウム」について

会期・会場

2017年9月29日(金) 於:自由学園明日館
2017年10月5日(木) 於:大阪工業大学 梅田キャンパス 常翔ホール 

主催

BOX PROJECT 2017 / フランク・ロイド・ライト生誕150年記念事業委員会 

後援

日本建築学会、日本建築士会連合会、日本建築士事務所協会連合会、
日本建築家協会、フランク・ロイド・ライト財団 

協賛

NPO法人有機的建築アーカイブ、NPO法人ライトウェイソサエティ・日本、シカゴ建築財団、
大阪工業大学、城北倶楽部(大阪工大) 

協力

凸版印刷株式会社

凸版印刷のVRへの取り組み

 凸版印刷は、1997年から文化財のデジタルアーカイブデータの公開手法としてVR技術を用いた「トッパンVR」の開発に取り組んでいます。これまでに、『マチュピチュ −太陽の聖地』、『よみがえる興福寺中金堂/阿修羅像』など、国内外の貴重な著名文化財をテーマとした50本以上のVR作品を製作。2007年には、いち早く4K超高精細VRの開発・公開を行い、近年では12KVRやHMDなど次世代VRの開発に取り組んでいます。
 また、VR作品の公開の場としてVRシアターの導入を進めており、海外では中国・故宮博物院やホンジュラス共和国博物館にVRシアターを開設。国内では東京国立博物館内の「TNM & TOPPAN ミュージアムシアター」で文化財ナビゲータによるVR作品のライブ上演を行っているなど、国内外22か所の文化施設、観光施設へ展開しています。
 

* 本ニュースリリースに記載された会社名および商品・サービス名は各社の商標または登録商標です。
* 本ニュースリリースに記載された内容は発表日現在のものです。その後予告なしに変更されることがあります。

 以上

VR作品「帝国ホテル・ライト館の再現」 紹介動画

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