2015/07/06

東京国立博物館と凸版印刷、古代エジプトのミイラの謎に迫るVR作品
『東博のミイラ デジタル解剖室へようこそ』を
TNM & TOPPAN ミュージアムシアターで7月8日より初公開
~最新鋭・世界最大級の文化財用X線CTスキャナで断層撮影したミイラの高精細データや
三次元計測などの文化財アーカイブ技術を活用、4K解像度でVR映像化~
東京国立博物館
凸版印刷株式会社
 独立行政法人国立文化財機構東京国立博物館(所在地:東京都台東区、館長:銭谷眞美、以下 東京国立博物館)と凸版印刷株式会社(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:金子眞吾、以下 凸版印刷)は、VR(バーチャルリアリティ※1)作品『東博(トーハク)のミイラ デジタル解剖室へようこそ』(英題:”Digital Autopsy of the Tokyo National Museum’s Ancient Egyptian Mummy”)を、東京国立博物館・東洋館内「TNM & TOPPAN ミュージアムシアター」で、2015年7月8日(水)より初公開します。

 本作品は、東京国立博物館が所蔵する古代エジプトのミイラ「パシェリエンプタハのミイラ(以下 本ミイラ)」を用いたVR作品です。本ミイラは、現在、日本国内で常時展示公開されている唯一の古代エジプトのミイラで、1904年にエジプト考古庁から東京国立博物館(当時:帝室博物館)に贈られたものです。このたび、東京国立博物館が昨年新たに導入した最新鋭X線CTスキャナを用いて、本ミイラの内部構造の解析を目的とした撮影を行いました。
本作品では、凸版印刷がVR技術によってCTデータを可視化し得られた精細な骨格形状から、性別、年齢、身長などを解析し、多くの謎に包まれていた本ミイラの生い立ちを解き明かします。また、三次元計測や赤外線撮影、高精細デジタル撮影で得られたデータと統合し、現在目視では認識することができない、棺の表面に描かれていた線画を抽出。側面にわずかに残されている色彩などから想定される棺全体の色彩を、線画とともに鮮やかに再現しました。

 また夏休み期間には、実物展示・ギャラリー・本VR作品上映の連携企画として、東洋館内のミイラ関連展示を巡る「古代エジプトでは死んだらどうなる?」ワークシート(期間限定:7月22日(水)〜9月13日(日) 参加費:無料)を実施する予定です。

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X線CTスキャナ(左)、三次元計測(中央)などでミイラをデジタルアーカイブ、現状のミイラをVR上に再現(右)
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X線CTスキャナによるミイラ内部撮影
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X線CTスキャナで撮影したデータを元に三次元化
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三次元計測データや棺に残った彩色を元に描かれた図像を再現(左)、アニメーションでミイラの魂カーとバーが死後の世界を解説(右)

VR作品『東博のミイラ デジタル解剖室へようこそ』
監修:東京国立博物館 制作:凸版印刷株式会社

■ 本VR作品の特長と見どころ
1. 各種の最新デジタルアーカイブデータを統合
・大型X線CTスキャナによる、ミイラの内部構造断層の撮影データ
・三次元計測による、ミイラと棺の立体形状データ
・赤外線撮影による、棺の表面データ
・高精細デジタル撮影による、ミイラと棺の質感・色彩データ
これらのデジタルアーカイブデータを凸版印刷のVR技術により統合し、骨格などミイラ内部の精確な立体形状を再現、棺表面の図像・文字や当時の色彩再現を実現しました。

2. 豪華監修陣による徹底した科学検証
・東京国立博物館 後藤健特任研究員、小野塚拓造研究員(古代エジプト時代考証)、荒木臣紀調査分析室長(CT担当)
・古代エジプト壁画研究家 村治笙子氏(棺の彩色復元考証、古代エジプト時代考証)
・国立科学博物館 篠田謙一人類研究部長、坂上和弘研究主幹(分子人類学)
・Ai学会 髙野英行理事長、Ai情報センター 山本正二代表理事(法医学:死亡時画像診断)
VR作品の制作にあたり、上記の専門家が「パシェリエンプタハのミイラ」を解析。本VR作品を多面的な視点で検証しています。

3. 古代エジプト文明と死生観を、アニメやワークシートで楽しく学ぶ
・ミイラの魂である「カー」と「バー」を擬人化し、死生観やミイラの作り方などを解説
・東洋館で実施予定の親と子のギャラリー「ミイラとエジプトの神々」と連携
・夏休み自由研究にも役立つワークシートを配布
・本VR作品画像素材などを活用したビジュアルガイドブック『トーハクのミイラ』を発行(7/22発売:本体価格 556円+税)
小中学生が楽しく学べるよう、アニメーションによる古代エジプト文明に関する解説映像を本VR作品内で紹介しています。また、夏休み期間中には、東洋館内のミイラ関連展示を巡る「古代エジプトでは死んだらどうなる?」ワークシート(期間限定:7月22日(水)〜9月13日(日) 参加費:無料)を実施する予定です。


■ 上演案内
期間: 2015年7月8日(水)~10月12日(月・祝)
時間: 水・木・金 12:00、13:00、14:00、15:00、16:00
      土・日・祝・休日 11:00、12:00、13:00、14:00、15:00、16:00
      ※所要時間は約40分、各回定員90名です。
料金: 高校生以上 500円、中学生・小学生 300円      未就学児、障がい者および介護者1名 無料
      *夏休み期間の7月22日(水)~9月13日(日)は、中学生・小学生は鑑賞無料
      *総合文化展当日券(一般620円/大学生410円)とセット購入で一般1000円/大学生800円
      *開演時間までにチケットをお買い求めください(当日券のみ)。


■ 古代エジプトの死後の世界を探る連動企画「古代エジプトでは死んだらどうなる?」について
 本VR作品の上演と、東洋館2階3室で行われる親と子のギャラリー「ミイラとエジプトの神々」との連動企画として、東洋館内のミイラ関連展示を巡るワークシートを無料で配布します。指定されたポイントを巡りながらクイズを解き、特設マシンにワークシートをかざして答え合わせをすると、ARマーカーやプロジェクションマッピングなどデジタル技術を駆使した仕掛けが現われ、古代エジプトの死生観について楽しく学ぶことができます。
・期間: 2015年7月22日(水)~9月13日(日)
・参加費: 無料
・ワークシート配布場所: 東洋館1階エントランス、2階第3室付近、地下1階ミュージアムシアター前、平成館1階


■ 多言語ガイドシステム(英語)のレシーバー貸出サービスについて
料金: 無料(上演終了後にアンケートにご協力ください)
備考: 各回先着15名まで(チケット購入時にお申し出ください)


■ 「TNM & TOPPAN ミュージアムシアター」について
 「TNM & TOPPAN ミュージアムシアター」は、VRによる文化財の新しい鑑賞方法を体験できる施設です。「バーチャルリアリティで時空を超える」をコンセプトに、東京国立博物館の収蔵品を中心とする文化財デジタルアーカイブをVR技術で可視化。専属のナビゲータのライブ上演で、あたかもコンピュータが生成する三次元空間の中にいるかのような感覚で文化財を鑑賞できます。文化財の往時の姿の再現や肉眼では鑑賞することが難しい細かなディテールの拡大など、デジタルならではの文化財との新たな出会いと楽しみ方を提供する空間です。
・超高精細4K(※2)プロジェクタによるVR映像投影
・スクリーンサイズ: 300インチ(横幅6.6m、高さ3.7m)
・座席数: 98席
・シアターウェブサイト: http://www.toppan-vr.jp/mt/



※1: VR(バーチャルリアリティ)
コンピュータで生成された三次元コンピュータ・グラフィックスの映像の中を自由に移動しながらその三次元空間にいるかのような感覚を体験することができる技術です。
※2: 4K
米大手映画会社7社を中心とするデジタルシネマ標準化団体「DCI」(Digital Cinema Initiatives, LLC)が提唱するフォーマットで、フルハイビジョンの4倍以上の885万画素(4096×2160ピクセル、4K×2K)の解像度です。


*本ニュースリリースに記載された会社名および商品・サービス名は各社の商標または登録商標です。
*本ニュースリリースに記載された内容は発表日現在のものです。その後予告なしに変更されることがあります。

以上

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