2015/03/03

凸版印刷、NFC対応スマートフォンを用いてクラウドサーバに格納した
パスポート情報を利用する訪日外国人向けアプリケーションの技術検証を実施
~日本ICカードシステム利用促進協議会が実施する「HCE技術検証」に参画~
 凸版印刷株式会社(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:金子眞吾、以下 凸版印刷)は、一般社団法人日本ICカードシステム利用促進協議会(所在地:東京都千代田区、代表理事:平松雄一、以下 JICSAP(※1))が本年度実施した「HCE技術検証」に参画しました。
 本技術検証では、凸版印刷が開発した、NFC対応スマートフォンを用いてクラウドサーバ上の情報にアクセスするHCE(※2)方式を用いたアプリケーションを活用しました。具体的には、免税店での「輸出免税品購入記録票(以下 記録票)」作成に利用するパスポート情報を、NFC対応スマートフォンで読み出し、作成した記録票を再びクラウドサーバ上に格納。出国時に税関にてその記録票を確認する一連の流れについて、パスポート情報や記録票の読み出し時間の計測ならびにクラウドサーバとNFC対応スマートフォン間の通信安定度の影響などを検証し、商用化に向けた課題抽出を行いました。
 なお、これらの研究・開発成果は、2015年3月3日から6日まで開催される「リテールテックJAPAN 2015」(会場:東京ビッグサイト)にて、JICSAPブースならびにトッパンブースにて展示・公開されます。 
具体的な技術検証手法
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 NFC対応スマートフォンをパスポートの機能を補完するツールとして用いる場合に想定される、免税品の国外持ち出し手順にそって、HCE方式を用いたアプリケーションの技術検証を実施します。
(1) 訪日外国人を想定した個人が所有するNFC対応スマートフォンを用いて、パスポートのIC情報を予めクラウドサーバに登録しておきます。
(2) 免税店を想定した非接触ICリーダに(1)のスマートフォンをかざすことで、クラウドサーバから読み出されたパスポート情報が、非接触ICリーダが接続されたPCに表示されます。
(3) (2)の作業によりパスポート情報が入力された記録票に、店員が購買品情報をPC上で入力します。
(4) 店員による入力が完了後、再度(1)のスマートフォンをかざすことで、この記録票情報をクラウドサーバに保管します。
(5) 出国時、税関を想定したPCに接続した非接触ICリーダに(1)のスマートフォンをかざすことで、クラウドサーバから記録票の情報をPCに送付します。

■ 背景
 海外における日本文化への関心が高まっている現在、訪日外国人旅行者の数は年々増加しており、その数は2014年に年間1,300万人を突破しています。消費税法施行令の一部改正などに伴い、2014年10月から免税対象が食品や化粧品などの消耗品へも拡大し、訪日外国人の購買行動の活性化が期待されています。
 訪日外国人が免税品の購入を行うにはパスポートを提示し、免税店がこのパスポートの情報を記入した記録票に購買品情報を記録する必要があります。訪日外国人旅行者の増加に伴い、購入品数も増加傾向にあることから、この記録票の作成に時間がかかることが多くなっています。また、この記録票はパスポートに貼付しなければならず、購入品数が多い場合はパスポートに多数の記録票が貼られ、パスポートの使い勝手が悪くなるなどの点が懸念されています。
 NFCの新技術であるHCE機能を使うと、クラウドサーバ上でセキュアに機密情報を格納し、NFC対応スマートフォンをかざすことでその機密情報を読み出すことが可能になります。本技術検証では、訪日外国人のパスポート情報をNFC対応スマートフォンで読み出すことを想定したアプリケーションの検証を行うことで、HCE方式を活用したサービスの商用化を目指します。



※1 一般社団法人 日本ICカードシステム利用促進協議会(JICSAP)
JICSAPは1993 年3月に、ICカード仕様の標準化、アプリケーションの調査研究、モデル構築、普及・啓発活動や利用技術の検討などを目的として設立された一般社団法人です(会員数39社、平成27年3月3日現在)。
ICカードシステムを普及・定着させ、より高度化した社会システムを築いていくため、社員および会員に必要となる情報の交換を行うとともに、利用技術の普及・啓壕活動、ビジネスモデル、標準化などの調査・研究・実証実験、諸外国との交流などを図ることを目的としています。単一企業、単一業界だけでは解決困難な問題のため、JICSAPが、関係者間の調整機能を果たすことで、ICカード/NFC技術や、モバイルサービス等の健全な普及を後押しすることを目指しています。
※2 HCE(Host Card Emulation)
Googleが2013年末にAndroid4.4のOSから実装した技術方式です。NFC対応スマートフォンの中のホストCPUで情報を制御し、クラウドに格納された機密情報を、リーダライターにかざすことで読出し、NFCを使って、リーダライターと通信する機能です。



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以上

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