2015/01/07

凸版印刷、プリンテッドエレクトロニクス分野での微細印刷技術を確立
導電性を持つ微細印刷として、新しい用途へ展開
~偽造防止技術やウェアラブル端末の回路として、実用化を目指す~

 凸版印刷株式会社(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:金子眞吾、以下 凸版印刷)は、プリンテッドエレクトロニクス分野(※1)の研究開発を進めています。このたび導電性材料を使い、線幅とその間隙をそれぞれ10μm(マイクロメートル: 10のマイナス6乗メートル)で形成する印刷技術を確立しました。

 

 本技術により、線幅10μmの直線、曲線、文字やマークなどを形成し、これらを組み合わせて複雑な描画表現を大きな面積で印刷することができます。現在、プリンテッドエレクトロニクス技術を利用したタッチパネル分野では、線幅約30μmが研究開発段階で試作されています。

 今回凸版印刷が確立した技術では、この約3分の1の線幅での微細印刷が可能になります。凸版印刷では、本技術の特長を活かし、プリンテッドエレクトロニクス以外の分野への応用も検討。たとえば、偽造防止用途に本技術を応用した場合、描画された線や文字に導電性を持たせることで、画像の目視と電気特性を併用したチェック機能を持たせることが考えられます。また、ウェアラブル端末に応用した場合、センサーや回路をさらに高密度化・小型化することが可能になります。

  凸版印刷は、微細な描画表現と導電特性を組み合わせ、偽造防止技術やウェアラブル端末の回路として研究開発を進め、2017年度までに実用化を目指します。

07.画像1
(図1) 本技術で作成した図柄
© Toppan Printing Co., Ltd.

■ 開発の背景
 プリンテッドエレクトロニクス技術は、スマートフォンなどのモバイル機器に利用されており、特にタッチパネル画面の引き出し配線で活用されています。現在、線を示す「ライン」と線と線の間である「スペース」を、それぞれ70μmで形成する技術が実用化されており、さらに微細な30μmで形成する技術が研究開発されています。また、近年は、タッチパネルセンサー自体を印刷で形成する研究も進んでいます。
 このたび、凸版印刷は、プリンテッドエレクトロニクス分野で研究開発を進め、導電性材料を使用したグラビアオフセット印刷により、「ライン」と「スペース」を10μmで形成する印刷技術を確立しました。
 凸版印刷では、本技術の特長である、微細印刷が可能であること、導電性を有した線が形成できること、比較的大面積での生産が可能なことを利用して、プリンテッドエレクトロニクス以外の分野にも展開を検討。凸版印刷として知見のある偽造防止技術や、これから本格的な市場拡大が見込まれるウェアラブル端末の配線やセンサー、回路への技術展開を進めていきます。

 

■ 本技術の特長
・ 10μmの線幅で多彩な文字やパターンを印刷
ラインとスペースの幅を調整することで色の濃淡を表現し、写真や絵画などの画像を印刷することができます。また、アルファベット、漢字、ひらがな、カタカナ、マークなどを印刷し、それらを組み合わせ画像に埋め込むことができます。
・ 微細で導電性を有するデザイン線を形成
導電特性を活かしてセンサーや回路に応用し、高密度化・省スペース化が図れます。例えば、新聞1面に相当する情報を、20mm×14mmの大きさの回路に収めることができます。
・ 600mm×600mmの大きさで印刷
他の製法で生産する場合より大きいサイズで生産することが可能です。現在、最大で600mm×600mmの大きさで印刷できます。
・ さまざまな素材に印刷でき、軽量化・フレキシブル化が可能
紙やプラスチックなどに配線や回路を形成することで、基板の軽量化・フレキシブル化が可能。幅広い用途へ展開することができます。

 

■ 今後の展開
 最先端の偽造防止用途やウェアラブル端末の回路として、2017年度に実用化を目指します。さらに、材料や基材を変更することで、従来のプリンテッドエレクトロニクスの枠にとらわれない市場への展開を図ります。

※1 プリンテッドエレクトロニクス
印刷技術を利用して電子回路などのエレクトロニクス製品を生産すること。印刷技術の特性を活かして、基板としてさまざまな素材を利用できること、これまでの生産方式よりも簡便なプロセスでの生産が可能となることから、次世代の技術として期待されています。

 

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以上

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