2012/12/05

東京国立博物館と凸版印刷、VR作品の有料上演施設
東洋館「TNM & TOPPAN ミュージアムシアター」を新設
~オープン記念コンテンツ
『アンコール遺跡バイヨン寺院』『洛中洛外にぎわい探訪』の2作品を共同製作~
東京国立博物館
凸版印刷株式会社
 独立行政法人国立文化財機構東京国立博物館(所在地:東京都台東区、館長:銭谷眞美、以下 東京国立博物館)と凸版印刷株式会社(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:金子眞吾、以下 凸版印刷)は、東京国立博物館東洋館の地下1階にVR(バーチャルリアリティ※1)作品の上演施設「TNM&TOPPANミュージアムシアター」を2013年1月2日に開設、1月2日、3日のオープン記念無料公開の後、1月4日より有料上演を開始します。

 東京国立博物館と凸版印刷は、2007年からVR技術を活用した新しい文化財の鑑賞手法の開発を目的とした共同プロジェクトに取り組んでいます。共同プロジェクトの実験の場として資料館に開設した「TNM & TOPPAN ミュージアムシアター」が来場者から高い評価(※2)を得たことから、今回、300インチの大型スクリーンと超高精細4K(※3)プロジェクタを導入、座席を従来の34席から98席に増設し、東洋館に新設、一般来館者向けに上演します。また、旅行代理店などに向け貸切上演の提供も行います。
 なお、今回の東洋館「TNM & TOPPAN ミュージアムシアター」のオープン記念として、新たに2つのVRコンテンツを共同で製作。カンボジアの世界遺産をテーマにしたVR作品『アンコール遺跡バイヨン寺院 -尊顔の記憶-』と京都の文化と生活様式を屏風絵から読み解くVR作品『洛中洛外にぎわい探訪 舟木本屏風を歩く-京のごちそう-』を公開します。

 今後、共同プロジェクトでは、東京国立博物館の収蔵品を中心とした文化遺産のデジタルアーカイブ化とより良いVR作品の製作を進めます。また、シアター運営の事業化を本格的に推進していきます。

■東洋館「TNM & TOPPAN ミュージアムシアター」について
「TNM & TOPPAN ミュージアムシアター」は、バーチャルリアリティ(VR)による文化財の新しい鑑賞方法を体験できる施設です。「バーチャルリアリティで時空を超える」をコンセプトに、東京国立博物館の収蔵品を中心とする文化財デジタルアーカイブをVR技術で可視化。コンピュータが生成する三次元空間の中を専属のナビゲーターがライブ上演で案内しながら、あたかもその場にいるかのような感覚で文化財を鑑賞できます。文化財の往事の姿の再現や肉眼では鑑賞することが難しい細かなディテールを拡大するなど、デジタルならではの文化財の新たな楽しみ方、出会いを提供する空間です。

・超高精細4KプロジェクタによるVR映像投映
・スクリーンサイズ : 300インチ(横幅6.6m、高さ3.7m)
・座席数 : 98席・1月~3月の上演スケジュール ;
『アンコール遺跡バイヨン寺院 -尊顔の記憶-』(※4)
2013年1月2日~1月3日(オープン記念無料公開)
11:00、12:00、14:00、15:00、16:00
2013年1月4日~3月31日
水・木・金・土・日曜、祝・休日 : 12:00、14:00、16:00
上演時間:約30分
『洛中洛外にぎわい探訪 舟木本屏風を歩く-京のごちそう-』
上演期間 : 2013年1月4日~3月31日
水・木・金曜 : 13:00、15:00
土・日曜、祝・休日 : 11:00、13:00、15:00
上演時間:約30分
・料金 ;
高校生以上:500円
中学生・小学生:300円
未就学児、障がい者及び介護者1名:無料
*総合文化展当日券(一般600円/大学生400円)とセット購入で100円割引き
*1作品・1回あたりの観覧料です。観覧には当日の予約が必要です。

■上演コンテンツのご紹介
100万m³に及ぶ世界最大の立体形状計測データで丸ごと再現!
神秘の巨大石仏と出会う迫真のバーチャルツアー
『アンコール遺跡バイヨン寺院 -尊顔の記憶-』
 バイヨン寺院は、アンコール王朝の最盛期12世紀後半に、ジャヤーヴァルマン7世によって建造された都「アンコール・トム」の中心に位置する仏教寺院です。寺院には高さ45メートルの49にもおよぶ石塔がそびえ、その石塔の4面には慈愛に満ちた顔が彫刻されています。この「クメールの微笑」と言われる「尊顔」は、現在も173面が遺されています。東西160メートル、南北140メートル、高さ45メートルに拡がる、100万m³にも及ぶ巨大な石造遺跡を、最先端のバーチャルリアリティ技術で完全に再現しました。
 製作には、日本国アンコール救済チームの協力を得て、東京大学池内研究室が「バイヨン寺院」の全貌を計測した世界最大級の三次元形状計測データと写真家BAKU斉藤氏が撮影をした尊顔の写真を活用しています。現地ではカビや汚れで見にくくなっている、回廊の壁面レリーフに描かれた戦の歴史やその当時の人々の様子を、デジタル技術を用いて可視化、その様子を明確に確認できます。この世界でも類を見ない神秘的な「アンコール芸術」の真髄を、現地では体験できない視点から臨場感と感動を共に紹介します。
 さらに、東洋館11室に展示されているバイヨン寺院に関連した作品「ナーガ上のブッダ」、「浮彫アプサラス像」を三次元形状計測データによりコンテンツ化、実物展示と合わせて楽しめる作品です。

専門家も驚いた!肉眼では見えなかった京の文化と生活模様
徳川の台所。今日の献立、鴨と鯛。
『洛中洛外にぎわい探訪 舟木本屏風を歩く-京のごちそう-』
 東京国立博物館が所蔵する重要文化財「洛中洛外図屏風 舟木本」から400年前の京都の文化と生活様式を読み解きます。実物鑑賞では小さく描かれ見えづらい花見の席の重箱や、二条城の台所に並ぶ鴨や鯛を詳細に鑑賞、「食」を切り口に、屏風に描かれた京の人々の暮らしに触れます。

※1 VR(バーチャルリアリティ)
 コンピュータで生成された三次元コンピュータ・グラフィックスの映像の中を自由に移動しながらその三次元空間に居るかのような感覚を体験することができる技術。
※2 共同プロジェクト調べ、来場者10万人超のアンケート結果より92%が上演内容について満足と回答。
※3 4Kとは
 米大手映画会社7社を中心とするデジタルシネマ標準化団体「DCI」(Digital Cinema Initiatives, LLC)が提唱するフォーマットで、フルハイビジョンの4倍以上の885万画素(4096×2160ピクセル、4K×2K)の解像度のことです。
※4 本作品は、2007年に凸版印刷がバイヨン寺院をテーマに製作した作品をベースに、新たに東京国立博物館の収蔵品をデジタルアーカイブ・可視化した情報を追加し、新しい作品として制作したものです。
以上

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