2012/06/21

凸版印刷と慶應義塾大学、
「記憶に残る」情報提示のあり方を脳科学の知見に基づいて共同研究
〜 タブレット端末などスマートデバイス上で提示するコンテンツの記憶定着の
  程度を定量的に評価 〜

 凸版印刷株式会社(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:金子 眞吾、以下 凸版印刷)消費行動研究室と慶應義塾大学(所在地:東京都港区、塾長:清家 篤)文学部心理学専攻の梅田 聡准教授は、脳科学・心理学の知見や実験手法を活用した、スマートフォンやタブレット端末などのスマートデバイス上で人の「記憶に残る」、「感情に訴える」情報提示のあり方を調べる共同研究を開始します。

 具体的には、スマートデバイス上に表示されるカタログやパンフレット、アプリケーションなどを閲覧中の利用者の生体情報を、記憶の脳内メカニズムに基づき、認知神経科学の手法で計測し、その結果からコンテンツに対する利用者の記憶定着の程度を評価します。また従来の紙のカタログやパンフレットでの情報提示との比較も行うことで、電子メディアと紙メディアの相違点や共通点を調べます。

 これらの研究を通じて、両者は人間の情報処理における論理性や感情の影響などを明らかにし、その成果を、スマートデバイスを使ったコミュニケーションをより分かりやすくすることに活用していきます。また、急速に普及するスマートフォンやタブレット端末などで、脳活動の視点に基づいた「記憶に残る」、「感情に訴える」情報提示の実現を目指します。

 消費行動研究室は、本共同研究を活用し学術的な知見や計測手法に基づいた次世代の「生体反応マーケティング」のサービスを開発し、2013年度に提供を開始する予定です。また凸版印刷は、教育コンテンツや消費者への販促情報の提供を行う企業をターゲットに、2013年度に売上で3億円を目標に提案活動を実施していきます。

【研究開始の背景】
 近年、スマートフォンやタブレット端末など、新しい電子メディアの利用者が急速に増加しています。これに伴って各種コンテンツとして、雑誌やカタログ、広告など紙メディアから電子メディアへの移行や、これらのデザインの多様化が進んでいます。しかしながら、両メディアの違いが人の視覚や心理、さらには脳に与える影響の違いは、必ずしも科学的に明確化・形式知化されておらず、このことは電子メディア上でのコンテンツ制作における大きな課題の一つでした。

 このような課題認識のもと、凸版印刷・消費行動研究室と慶應義塾大学 梅田准教授は、2011年11月より、応用脳科学コンソーシアム※での活動を通じ、スマートフォンやタブレット端末などのスマートデバイスでの最適な情報提示のあり方を、脳科学や認知心理学の視点から検討してきました。その結果、脳の記憶定着のメカニズムに基づいた生体計測を行うことで、これらの情報提示のあり方を評価・検証することが重要であるとの認識を共有し、この度の共同研究を開始します。

【消費行動研究室】
 消費行動研究室は、クライアント企業の大切な顧客である生活者の声を的確に捉えて、より効果的な企画提案を行うことを目指して、1968年に設立されました。様々な情報を多岐に渡る制作物(印刷物、パッケージ、映像、Webサイトなど)で表現してきた凸版印刷のマーケティング・リサーチ部門として、クライアント企業の様々なビジネス課題を解決に導くために、多くの業界において調査・分析を行っています。
 特に近年は、新しい調査・分析手法の開発に注力し、新しい技術や研究の科学的な視点と、長年の調査の現場からの消費者理解の知見・ノウハウを組合せて、アイカメラ調査、映像解析技術を使った売場観察調査など、新しい調査サービスを提供しています。

凸版印刷 消費行動研究室のWebサイト http://biz.toppan.co.jp/mrl/

<写真キャプション:アイカメラ調査の風景>

【慶應義塾大学 文学部心理学専攻 梅田 聡 准教授】
専門は、認知神経科学。心理学と脳科学の観点から、主にfMRIや脳波などの脳機能画像法、および心拍や発汗などの身体生理活動の測定手法を用いて、人間の記憶・感情・社会性の背後にある神経メカニズムについて研究している。博士(心理学)。

Webサイト:http://www.flet.keio.ac.jp/~umeda/

※ 応用脳科学コンソーシアム
応用脳科学コンソーシアムとは、株式会社エヌ・ティ・ティ・データ経営研究所(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:豊田 充、以下 NTTデータ経営研究所)が日本神経科学学会の協力のもと設立した、我が国最大規模の脳科学に関するオープンイノベーションモデルのコンソーシアムです。30社を超える異業種の民間企業と異分野の研究者が一堂に会し、脳科学およびその関連領域の最新の研究知見を基盤に、多彩な研究テーマに基づいて、将来の事業活用を目指した研究活動や人材育成を進めています。
(応用脳科学コンソーシアムWebサイト : http://www.keieiken.co.jp/can/

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以上

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