2012/05/31

唐招提寺と凸版印刷、
「国宝 鑑真和上坐像」の高精細デジタルアーカイブを実施
〜鑑真大和上1250年御諱記念事業 大和上坐像お身代わり像の制作に活用〜
律宗総本山 唐招提寺
凸版印刷株式会社

 律宗総本山 唐招提寺(奈良県奈良市、長老:石田智圓、以下 唐招提寺)と凸版印刷株式会社(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:金子眞吾、以下 凸版印刷)は、奈良国立博物館協力のもと、「国宝 鑑真和上坐像(こくほう がんじんわじょうざぞう)」の三次元形状計測と色彩計測、高精細画像撮影による計測調査を実施、デジタルアーカイブ化しました。
 この度、本デジタルアーカイブの調査手法や計測成果を映像資料やパネル展示を用い、2012年6月1日(金)から30日(日)まで、同寺境内で一般拝観者向けに公開します。

 「国宝 鑑真和上坐像」は、日本最古の肖像彫刻であり、精神性まで写し取った最高傑作であるといわれています。大和上ご存命のうちに制作された本像は唯一無二の存在ですが、1250年を経過して当然のことながら経年劣化にさらされています。 今回、凸版印刷の文化財デジタルアーカイブ技術を活用し、現時点での本像の実態を克明に記録、国指定文化財の珠玉を恒久的に伝えることを目的に、立体形状と色彩情報、表面画像情報を取得しました。
 また、今回の計測調査結果は文化財の現状記録に留まらず、来年の鑑真大和上1250年御諱(ぎょき)記念事業として唐招提寺が制作している大和上坐像お身代わり像(※)の制作現場でも活かされるなど、デジタルアーカイブデータの「国宝 鑑真和上坐像」の保存や修復、復元への活用が期待されます。

(左)三次元形状計測の様子 (中央)可視化した立体形状データ、寸法の算出や断面の情報も出力できる
(右)簡易色彩情報を付加した立体形状データ
監修: 唐招提寺
計測設計・実施: 凸版印刷株式会社
協力: 奈良国立博物館

■ デジタルアーカイブデータの活用について
 今回の計測調査によってデジタルアーカイブ化した鑑真和上坐像のデータは、将来の保存や修復、復元への活用を想定し、高品質なデジタルデータとして取得しています。
 来年の鑑真大和上1250年御諱記念事業として伝統的造形手法を用いて制作される大和上坐像お身代わり像の制作現場では、今回の計測データから割り出された像の形状および寸法が参考資料として使われ、彩色にあたっての詳細確認の工程でも高精細画像による表面質感データの活用が予定されています。

■ 実施したデジタルアーカイブのポイント
・三次元形状計測
パターン光投影型非接触三次元計測機を用いて、鑑真和上坐像に触れることなく、本像全体を94の方向から細密に計測。計測現場にて個々の計測データの検証と合成処理を同時に行い確認することで、首の襟周りや手の周囲など計測の死角となりやすい箇所の未計測箇所を排除し、細部にわたりデータを取得しています。
・色彩計測
デジタルカメラによる写真撮影では取得できない、より精確な色彩情報を記録するために分光放射輝度計を用いた計測を実施。御像の正面、背面、左右側面から58ポイントを選び計測したデータと予め測定した撮影機材の特性データを組み合わせることで、出力時に精確な色再現を行います。
・高精細画像撮影
保存や修復、復元に活用可能な画像データを取得するため、御像全体を約300カットに分割撮影し、合わせて72億画素におよぶデジタルデータを取得しています。

■ 国宝 鑑真和上坐像デジタルアーカイブ パネル・映像展示について
期間:2012年6月1日~30日(9時~16時半) ※期間及び時間は変更する場合があります。
場所:唐招提寺境内休憩所

■凸版印刷の文化財デジタルアーカイブへの取り組み
 凸版印刷では人類のかけがえのない資産である文化財の姿を後世へ継承するため、印刷で培った色彩を管理する技術と高精細画像データ処理技術、形状をデジタル化する三次元計測技術を核に、より精確なデジタルアーカイブを行うための技術開発を積極的に進めています。
 これまでに、重要文化財「洛中洛外図屏風(舟木本)」(東京国立博物館所蔵)、紫禁城(中国・故宮博物院)など、国内外の数々の貴重な文化財をデジタルアーカイブ化しています。
URL: http://www.toppan-vr.jp/bunka/

※お身代わり像とは
残されている本尊をお厨子の中に安置し大切に保存するために、本尊を模した新たな仏像を作成し、お厨子の前に安置する仏像をお身代わり像と呼びます。


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以上

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