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凸版印刷株式会社

サステナブル社会の実現に向けたモノマテリアルバリアパッケージのご紹介

モノマテリアルバリアパッケージ

軟包装もモノマテリアルでリサイクルの時代へ

暮らしに必要不可欠なプラスチック

食品や日用品のパッケージやペットボトルなど私たちの生活には欠かせない存在のプラスチック。プラスチックは第二次世界大戦がきっかけで大量生産が始まったと言われています。金属類が不足し、代用品としてのプラスチックの需要が高まったためです。軽く、安価で、耐久性や加工性に優れたプラスチックはその後も拡大を続け、プラスチックを使用したフィルムパッケージ(軟包装)は生活に欠かせないものとなりました。

一方で、海洋プラスチック問題をきっかけとして、国や企業がプラスチックの削減目標を策定するなど、世界的に「脱プラスチック」に向けた取り組みが活性化しています。

しかしながら、もし日々の生活からプラスチックがなくなったらどうなるでしょうか。例えば、コンビニエンスストアの店内を思い描いてください。プラスチックがなければ、パッケージは食品などの内容物を外部環境から守ることが難しく、保存性が悪くなり、数多くの商品が店頭に置けなくなってしまいます。プラスチックフィルムパッケージに入っているおにぎりやパン、お菓子だけでなく、プラスチックボトルやプラスチック容器に入っている飲料や惣菜もコンビニから消えてしまいます。これからも我々が快適で便利な生活を送るためには、「プラスチックのある世界」と「持続可能な社会」を両立していかなければなりません。

イメージ:店頭の商品(写真左)は、もしプラスチックがなくなったら陳列できなくなってしまう(写真右)

プラスチックを使用する上で重要なキーワードは「リサイクル」

利便性の高いプラスチックを使用しながらも持続可能な社会を目指すために、プラスチック製品のリデュース、リユースとともに、限られた資源を有効に使う「リサイクル」の確立が求められています。

例えば、日本では、ペットボトルは回収後、選別、粉砕、洗浄の工程を経てフレーク、ペレットに加工され、再生ペットボトル、繊維、プラスチック成形品などのリサイクル製品に生まれ変わります。一方で、軟包装は、使用後に再びパッケージに生まれ変わるものはなく、その多くが焼却されエネルギーとして使用されます。

なぜ同じプラスチックで作られているペットボトルは再生ペットボトルとしてリサイクルできるのに、軟包装は同じようにパッケージとしてリサイクルされないのでしょうか?その理由の大きな1つは、軟包装の多くは1種類の素材だけでなく、複数の素材が接着剤などで貼り合わされて構成されており(マルチマテリアル)、リサイクルする際の分離が難しいためです。

マルチマテリアル(複数素材)とモノマテリアル(単一素材)

多くの軟包装は各々役割を持った複数の素材(マルチマテリアル)から構成されます。複数の素材を組み合わせることで1枚のフィルムにバリア性などの機能を付与し、内容物の保存性を高めています。一方、単一の素材(モノマテリアル)で構成されたパッケージは、リサイクルの際に素材ごとに分離する必要がないため、リサイクルしやすい構成と言われます。

モノマテリアルバリアパッケージイメージ

マルチマテリアル構成:複数の素材から構成される包装仕様。リサイクルに必要な素材ごとへの分離が困難。
モノマテリアル構成:単一素材から構成される包装仕様。素材ごとへの分離が不要。

ペットボトルは名前の通り、PET(ポリエチレンテレフタレート)という単一素材だけで作られたプラスチック容器です(モノマテリアル)。そのためリサイクルする際に分離・分別する必要が無く、使用済みペットボトルを溶かして、新たなペットボトルとして成型、リサイクルすることができます。

一方、軟包装は複数の素材を組み合わせる(マルチマテリアル)場合が多く、現在の技術ではリサイクルのために複数の素材からなるプラスチックフィルムを分離・分別することは困難を極めます。溶剤や触媒を用いてパッケージを溶かし、分離・分別する方法は研究されていますが、実用化には至っていません。

モノマテリアルパッケージの技術的課題

現在、各企業の持続可能な社会の実現に向けた取り組みは今まで以上に活発になり、モノマテリアルパッケージへの期待はますます高まっています。しかし、モノマテリアルパッケージが未だ一般的ではない理由は何でしょうか。

マルチマテリアルパッケージは、特長の異なる複数の素材を組み合わせることで、内容物やその用途に合わせた最適な機能を持つパッケージ構成となっています。例えば、従来のレトルトパウチによく使用されるフィルムはPET、アルミ箔、ナイロン、PP(ポリプロピレン)の4つの素材から構成されており、PETは耐熱性や良好な印刷適性、アルミ箔は酸素・水蒸気バリア性や遮光性、ナイロンは突き刺し耐性、PPはシール性、耐熱性という機能を持っています。このようにマルチマテリアルパッケージでは、各素材の組み合わせによりパッケージに必要な機能を付与しています。

一方、モノマテリアルパッケージは単一素材で構成され、パッケージに必要な機能を単一素材だけで満たすことが技術的な課題です。トッパンは、モノマテリアルパッケージで最も実現が難しい機能であるバリア性を実現した上で、その他機能も満たすモノマテリアルバリアパッケージの開発を進めています。

トッパンのモノマテリアルバリアパッケージへの取り組み

トッパンはグローバルに事業を展開するコンバーターとしての豊富な包材の開発と採用実績、透明蒸着バリアフィルム世界トップシェアのGL BARRIERの強みを活かし、モノマテリアルパッケージの開発と製造に取り組んでいます。トッパンはPETをはじめ、PE(ポリエチレン)、PPの各種オレフィンフィルムの基材に独自のバリア技術を組み合わせたGL BARRIERを開発・製造しており、これらのバリアフィルムと同素材のシーラント材を組み合わせることで、あらゆる用途に対応し、バリア性と環境適性を両立した各種モノマテリアルバリアパッケージの提供が実現します。

PPモノマテリアルバリアパッケージは、PP素材のフィルムや成形部品のみで構成されたバリア性を有するパッケージです。GL-LP(乾燥内容物用途)、GL-BP(液体用途・ホット充填)の2つのグレードがあります。 「GL-BP」を使ったモノマテリアル構成のパッケージは、ドイツのリサイクル性評価機関Interseroh+ GmbHより最高評価の「Very Good」、Institute cyclos-HTP GmbHより「リサイクラビリティ 95%」の評価を受けました。(ニュースリリースはこちら

PPモノマテリアルバリアパッケージ層構成

PPモノマテリアルバリアパッケージの層構成例

interseroh+でVery Good評価(左)
「GL-BP」を胴体部分に使用したPPモノマテリアル構成の
ハイバリアラミネートチューブのテスト品にて評価実施
cyclos-HTPで95%評価(右)
「GL-BP」モノマテリアル構成のパウチにて評価実施

PEモノマテリアルバリアパッケージはPE素材のフィルムや成形部品のみで構成されたバリア性を有するパッケージです。GL-LE(乾燥内容物用途)のグレードは食品などの一般用包装に対応しています。

PETモノマテリアルバリアパッケージはPET素材のフィルムのみで構成されたバリア性を有するパッケージです。GL-AE(乾燥内容物用途)、GL-AR-NF(ボイル・レトルト用途)などのグレードがあり、遮光仕様や再生材を利用したグレードも展開しています。シャンプー・コンディショナー・フェイスマスクなどの個包装の用途に使用できます。

また、紙を基材として使用したモノマテリアルバリアパッケージGL-X-P(乾燥内容物用途)も開発中です。製品自体にヒートシール性があり、紙単体構成のパッケージが実現可能となります。食品用包材(乾燥内容物)や粉末用スタンディングパウチ、スティック包材の用途向けに設計されています。

今後もトッパンはモノマテリアルパッケージ用途別フィルムを開発、製造するとともに、再生材利用などサステナブルなパッケージの選択肢を増やしていきます。また、リサイクルスキーム構築にも取り組み、サステナブルな社会に貢献します。

TOPPANはパッケージに関する、
さまざまな課題にお応えします。
お気軽にご相談ください。

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