vol. 1「技能五輪国際大会」について vol. 1「技能五輪国際大会」について
vol. 1
「技能五輪国際大会」
について

世界中の若者が技能を競う「技能五輪国際大会」。今年はロシア連邦のカザンで開催され、トッパンからは、トッパンコミュニケーションプロダクツ 川口工場の湯地龍也選手が出場予定です。この「技能五輪国際大会」について、凸版印刷株式会社 製造技術・研究本部製造技術センターの桑原一博さんと佐藤政文さんにお話を伺いました。
左:桑原さん・右:佐藤さん左:桑原さん・右:佐藤さん
左:桑原 一博さん
1986年入社。板橋工場第二平印課にてオフセット枚葉に携わる。2017年第9期技能士認定、4月より川口トレーニングセンターに着任。休日は好きな車でアウトドア。山、海、釣り、サイクリングに夢中で、とにかく外で体を動かすのが大好きです。
右:佐藤 政文さん
1986年入社。板橋工場にて製版部門と生産管理部門を経て、2008年より本社で技能五輪に携わる。2013年ドイツ大会、2015年ブラジル大会では現地に同行し、選手の活躍ぶりをニュース速報として配信。

2年に1度、
世界中から猛者が集まる技能大会

技能五輪国際大会について教えてください。

佐藤
佐藤
正式名称は「国際技能競技大会(WorldSkills Competition)」で、世界の様々な国と地域の代表が参加して技能を競う大会です。参加した国や地域の職業訓練の振興や技能水準の向上、青年技能者の国際交流などを目的として、世界の様々な都市を巡回しながら開催されています。「印刷職種」は2007年の静岡大会から正式競技種目となり、カナダ(2009年)、イギリス(2011年)、ドイツ(2013年)、ブラジル(2015年)、アラブ首長国連邦(2017年)と今回のロシアで7回目の開催となります。

隔年開催なんですね。対象が青年技能者ということは年齢制限があるのでしょうか?

桑原
桑原
そうですね、出場選手は大会開催年に22歳以下であることが条件となっています。
(一部職種は満25歳以下)

日本代表はどのように選出されるか教えてください。

桑原
桑原
日本で毎年開催されている「技能五輪全国大会」(主催:中央職業能力開発協会)の各職種優勝者から選ばれて、任命されます。しかし、当社と関わりの深い「印刷職種」は、この技能五輪全国大会では種目として採用されていません。そこで、日本印刷産業連合会が開催する「代表選手選考会」の優勝者を、技能五輪国内主催団体に推薦して任命されているんですよ。

採点基準もバラバラな6つの競技で競い合う
採点基準もバラバラな
6つの競技で競い合う

桑原さんインタビュー風景 桑原さんインタビュー風景

技能五輪国際大会の採点基準を教えてください。

佐藤
佐藤
採点基準は競技によって異なります。「印刷職種」の競技内容は「オフセット印刷」、「デジタル印刷」、「SHOTS」、「印刷メンテナンス」、「調色」、「断裁」の6つに分かれます。

それぞれどのような競技なのでしょうか。

桑原
桑原
「オフセット印刷」はポストカード印刷と紙器印刷の2つの課題があります。指定の濃度が再現できているか、見当の精度はどうか、印刷機のメンテナンスがきちんとできているか、など指定された課題に沿って様々な評価ポイントがあります。「デジタル印刷」では、印刷データの作成(面付け)や時間・数量管理などが評価ポイントですね。

最初から最後まで気を抜けないのですね。「SHOTS」という競技はどのような競技ですか?

佐藤
佐藤
印刷不良になるように設定された「SHOTS」と呼ばれる印刷シミュレーターで、印刷をしながら印刷不良の原因は何かを突き止め、その不具合を修正し正常に印刷を完了させる競技です。原因を突き止めるために印刷の原理原則や設定基準などの知識が求められます。

不良の原因をピタリと当てられた時はうれしいですよね!「調色」と「断裁」についても教えてください。

桑原
桑原
「調色」は、指定された色をその場で作成し、指定の印刷機で印刷した際の再現精度など、「断裁」は時間内に仕様通りに断裁できているかなどが評価ポイントになります。

どの競技も技術力はもちろん、判断力や時間管理能力など様々な能力が求められそうですね。

直前まで課題が分からないドキドキが
大会を盛り上げる

技能五輪国際大会の見所を教えてください。

桑原
桑原
ズバリ、直前まで「正式課題」が分からないというところですね。直前に発表される課題に対して選手たちがどう向き合っていくのか、楽しみです。

課題に関する情報は、直前まで一切公表されないのでしょうか?

桑原
桑原
「正式課題」は競技開始直前、例えば開会式後に行われる、各職種のミーティングの時などに、やっと発表されます。ただ、大会の約3カ月前までに、「競技課題」が公表されます。選手はこの「競技課題」に照準を合わせてトレーニングを行い、国際大会に出場します。

「競技課題」と「正式課題」は大幅に内容が変わるものなんでしょうか?

佐藤
佐藤
「競技課題」の項目から30パーセントを変更した内容が「正式課題」として発表されます。このルールを「30パーセントルール」といいます。

具体的にどういった項目が変更されるのでしょうか。

佐藤
佐藤
「印刷枚数」、「色数」、「用紙サイズ」、「仕上がりサイズ」、「制限時間」などですね。これらの「正式課題」に対して「評価方法」、「採点の配分」を決定し、競技課題の審査、採点を行うのが、各国から派遣された熟練の技能者「エキスパート」たちです。各国のエキスパートは「正式課題」合議のため、選手よりも一足先に現地入りして会議を行います。

技術のトッパンといわれる由縁

トッパンは技能五輪にどのように関わっているのですか?

佐藤
佐藤
トッパンは技能五輪大会を若手社員に向けた「技能向上教育の一環」として位置づけています。印刷職種が技能五輪国際大会の正式な競技種目となった2007年の第39回静岡大会以来、選手育成のプロジェクトチームを結成し、若手社員の技能向上と技能者からの技術伝承をサポートしています。

若手社員の技能教育という観点から、サポートをしているのですね。

桑原
桑原
競技で優秀な結果を収めることも大切ですが、この大会はあくまで日常の業務の延長です。技能五輪をきっかけに、新たな技能や、モノつくりに携わる者としての心構えなどの習得を目指し、それらを職場へ持ち帰った後も個人の業務の中で生かしてほしいと考えています。
佐藤さんインタビュー風景 佐藤さんインタビュー風景

大会での結果だけでなく、そこに至るまでの過程やその後のキャリアも大切に考えているのですね。

佐藤
佐藤
もちろんです。さらに、選手に向けた技能五輪教育の中で、指導側にも多くのノウハウが培われていきます。それらを全国の印刷機オペレーターへの教育にも展開していくことで、選手個人にとどまらず、トッパン全体の技術力の底上げにも重要な役割を果たしています。

様々な面から、トッパンにとって大きな意味のある大会ということですね。

今年の大会はロシアで開催

今年の技能五輪国際大会について教えてください。

桑原
桑原
技能五輪国際大会は、2019年のロシア・カザン大会で45回目を迎えます。8月22日に開会式が行われ、翌日23日から、4日間におよぶ競技がスタートします。27日の閉会式では選手の表彰式があり、例年とても盛り上がります。

歴史ある大会なんですね。毎年様々な職種の競技が行われているとお聞きしました。

佐藤
佐藤
そうですね。50職種以上の競技があり、参加国も60カ国を超えています。そして今回日本からは、42職種48人の方が代表選手として選出されています。厳しいトレーニングを重ね、皆さん一人ひとりが技術により一層、磨きをかけています。

世界中から若いプロフェッショナルが集まる大会、とてもワクワクしますね。若い人が頑張っている姿は、とても刺激になります!

佐藤
佐藤
「印刷職種」は、2007年の第39回の静岡大会から正式に競技種目となりました。これまで日本は毎回参加し、すばらしい成績を残しています。世界中の選手と切磋琢磨し、新たな技能習得にチャレンジすることで、技術的な面はもちろん、精神的にも成長できる場となっています。

世界への挑戦と自分への挑戦、簡単にできることではないですよね。これから世界で戦う選手の方に、ぜひお会いしてみたくなりました。ありがとうございました。

Column
奇跡のスープボルシチ

ボルシチ
今年の技能五輪国際大会は、ロシア連邦・タタールスタン共和国の首都カザンで開催されます。では、ロシアの代表的な料理といえば?
定番としてよく挙げられるのは、世界三大スープの一つでもあるボルシチ。「名前は聞いたことがある」という方も多いと思いますが、どのような料理なのでしょうか? 今回はそんなボルシチの魅力を皆さんにお届けします。
一般的にボルシチは、肉や野菜などをじっくりと煮込んでつくる、ロシアの伝統的なスープです。具材が特に決まっていないため、地域によって中身が大きく異なるといわれていますが、どの地域でも必ず、ある食材を使用しています。それはスープの鮮やかな赤色の元となっている「テーブルビート(日本ではビーツ )」です。
テーブルビートは「飲む輸血」や「奇跡の野菜」といった別名を持っており、食物繊維やカリウムなどの栄養素が豊富です。また、テーブルビートを摂取することで生成される「NO(エヌオー)」 と呼ばれる成分も近年注目されています。この成分は、血流量を増加させるため、疲労回復にもとても効果があるといわれています。
「奇跡の野菜」を使用した、まさに「奇跡のスープ」であるボルシチ。寒冷地で厳しい環境であるロシアでは、栄養素の補給と疲労回復、そして同時に体を温めることもできる、なくてはならない存在なのです。