備える編

第7章 避難所生活の注意点

1. 避難所生活が始まったら

 避難所に到着したら、氏名や住所、連絡先を申告後、世帯や町内会単位に区切られた居住スペースで過ごします。避難所は地域住民を中心とした組織によって運営されるため、避難者も可能な範囲で役割分担して助け合うことが大切です。

 しかし、災害直後から2日目頃までは、避難所の運営管理も始まったばかりの上、大勢の人が避難してくることもあり、食糧の配給まで手が回らないことも予想されます。3日目以降になると、炊き出しなどが始まると考えられますが、食糧は妊婦や子ども、高齢者といった要配慮者から優先して配給されます。1〜2日はしのげるように、水とすぐに食べられる非常食を持ち出し袋に入れておきましょう。

  • 持ち出し袋には、水を使わずに食べられる缶詰などを入れておくと良い

2. すぐできる暑さ・寒さ対策

 近年、避難所の暑さ・寒さ対策が課題となっていますが、自分自身である程度の寒さ対策や熱中症予防を行うことも可能です。体温調節のポイントとなるのは、首の後ろ、ワキの下、尾てい骨の上の三点。この三点を冷やしたり温めたりすることで、体温調節を促すことができます。

 例えば、暑いときは首の後ろに保冷剤をあてたり、水で濡らすとひんやりする冷却タオルを首に巻いたりすると良いでしょう。または、ワキの下に保冷剤を挟むのも有効です。

 逆に寒いときは首にマフラーやタオルを巻いたり、ワキの下にお湯を入れたペットボトルを挟んだりする方法があります。カイロがある場合は、尾てい骨の上に貼ると身体全体を効率的に温めることができるでしょう。

■体温調節のポイント

3. トイレやお風呂はどうするの?

 避難者の数に対応した仮設トイレが避難所に届くまでは、既設のトイレや携帯用トイレなどを適切に使用することが大切になります。

 断水していても排水ができる場合は、バケツ一杯の水で排泄物を流すことが可能です。このとき、トイレットペーパーなどは流さずにゴミとして捨て、小便はなるべくまとめて流すことがポイントになります。排水できないトイレの場合は、便器にセットするタイプの携帯用トイレを使えば後処理も簡単です。

 また、避難所生活でお風呂に入れないときは、身体を拭いてさっぱりしましょう。ドラックストアなどで売られている清拭剤を使えば、少ない水で身体の清潔を保つことができます。そのほか、お湯で流さなくて良いドライシャンプーも便利ですので、持ち出し袋に入れておくと良いでしょう。

  • テントで目隠しをした野外の災害用トイレを使う場合もある
    専用のテントがない場合はアウトドア用のテントを目隠しとして使う事もできる

4. 集団生活の注意点

  • 音や光が気になる人はアイマスクと耳栓で対策を

 多くの避難者が身を寄せる避難所では、狭い空間での集団生活となるため、ともに助け合い支え合う心が不可欠となります。また、避難生活が長期化することでストレスもたまりやすくなり、トラブルも起こりがちになります。他人のスペースに立ち入ったりのぞいたりすることは避け、お互いのプライバシーを尊重して過ごしましょう。

 特に、夜間の会話の音漏れや光漏れ、いびき、歯ぎしり、寝言などは知らず知らずのうちにストレスとなり睡眠不足につながる場合もあります。眠るときにはアイマスクや耳栓で光・音対策をしておくと良いでしょう。

5. ペットがいる場合の注意点

 ペット連れで避難したい場合は、ペット可の避難所を選ぶ必要があります。しかし、ペット同伴の避難者を受け入れる避難所はごく一部という現状もあるほか、慣れない環境で過ごすストレスによってペットが体調を崩す可能性もあります。そのため、日頃から災害時の避難ルートや避難先を含めた対応策を考えておくことをおすすめします。また、キャリーバッグやフード、水、トイレ、ペットシーツなどペット用の避難用品や備蓄品を確保しておくことも大切です。

■ペットがいる場合の備え