備える編

第5章 建物のリスクを確認しておこう

1. ネットで簡単! 住宅の簡易診断

 大きな地震が起こった際に建物が被害を受けるかどうかは、地盤の揺れやすさと建物の耐震性に左右されます。建物の耐震性を知るためにまず確認すべきは、「その建物がいつ建築確認を受けたのか」です。建物が1981年6月1日より施行された「新耐震基準」にのっとって建てられていれば、震度6〜7の揺れでも倒壊しない程度の耐震性と考えられます。それ以前は、震度5の揺れで倒壊しないことが求められる「旧耐震基準」で建てられており、大地震に対する安全性が低いとされています。耐震診断・改修の支援制度が設けられている自治体もあるので、担当窓口に問い合わせてみると良いでしょう。

 そのほか、木造住宅の居住者向けに作成された簡易診断プログラムを行って、自宅の大まかな耐震性をチェックしてみるのもおすすめです。

  • 地震に対してどれだけ心配があるかについて、簡単な設問に答えることで自己診断ができます。

2. 「安全空間を作る」ことが大切

 近年発生した大地震で負傷した人の3〜5割は、家具類の転倒や落下が原因でケガをしています。また、家具類がストーブなどに転倒・落下すると、火災などの二次災害を引き起こす可能性も高まります。大地震の際に身を守るためには、緊急地震速報を見聞きした場合にすぐ避難できる「安全空間」を作っておくことが重要です。

 寝室や乳幼児・高齢者がいる部屋にはできるだけ家具類を置かず、生活用品はクローゼットや納戸、据え付けの戸棚などに収納するようにしましょう。部屋の出入り口付近や廊下、階段などにも家具類を置かないようにすることで避難経路も確保できます。

  • 特に寝室は布団に家具が倒れてこないように注意

3. 家具を固定しておこう

 本棚、タンス、食器棚などは、ホームセンターなどで売っているL型金具で壁と固定するのが最も確実。賃貸住宅や石こうボードの壁でネジ止めが難しい場合は、家具と天井のすき間に設置するポール式器具(突っ張り棒)と家具の前方下部に挟むストッパー式器具・粘着マットを組み合わせて使用すると効果的です。積み重ね式の場合は上下を連結金具でつなぎ、観音開きの扉には扉開放防止器具を付けると良いでしょう。

 ガラス製の扉がある場合は、ガラスが割れた際の破片の飛散や収納物の飛び出しを防ぐためにガラス飛散防止フィルムを貼ります。ガラスの両面に貼った方が効果的ですが、片面に貼る場合は外側のガラス面に貼ってください。

  • ポール式器具を使う場合は、ストッパー式器具も併用して強度を高める

4. 電化製品や水槽などの固定も忘れずに

  • ペンダントライトやシャンデリアは落下防止ワイヤーなどで固定する

 冷蔵庫は避難の障害にならない場所に設置し、壁と背面上部をベルト式器具で連結します。テレビや電子レンジは、ストラップ式器具や粘着マットで台に固定し、台もL型金具などで壁と固定します。キャスター式の台の場合は、キャスターをロックするか、固定用の下皿を設置します。そのほか、水槽やウォーターサーバーなども転倒の危険があるので、同様の手順で固定しておきましょう。

 また、大きくゆっくりとした揺れが続いた場合、つり下げ式の照明が天井に衝突して落下する可能性があります。3〜4方向から落下防止ワイヤーやチェーンで天井に固定し、揺れを防止しましょう。