備える編

第2章 実践を通じて災害対応力を向上させよう

1. 「共助」の中核となる自主防災組織

 大規模な災害が起こった場合、ライフラインの寸断などにより行政による救助までに時間を要することが想定されます。このような状況下で求められるのが、地域一丸となった自主的な防災活動です。1995年の阪神・淡路大震災では、地域住民が協力し合って人命を救助した事例が数多く見られ、2011年の東日本大震災においても皆で協力して取り組む「共助」の重要性が再確認されました。
 
 地域の住民による共助の中核となるのが自主防災組織です。2018年4月1日現在では全国の1,741市町村のうち1,679市町村に16万5,429の自主防災組織が設置されています(総務省消防庁「平成30年版 消防白書」)。町会や自治会を単位として結成されており、平常時から防災知識の普及・啓発や地域特性の把握、防災訓練の実施などの役割を担っています。

2. 防災活動に参加しておく

 実際に災害が起こった際の被害を最小限にするためには、知識を持っておくことはもちろん、日頃から地域や会社の防災活動に参加しておくことが大切です。
 
 地域で行っている防災訓練や地域防災学習交流会などに参加しておけば、より実践的な災害対応力を養うことができ、ご近所との付き合いの輪も広がります。
 
 もちろん、災害が在宅時に起こるとは限りません。勤務時に大規模な災害が発生した場合、一斉帰宅抑制のため会社に留まることが求められるケースもあります。会社が実施する定期的な防災訓練や防災教育の場にも主体的に参加し、勤務時に大規模な災害が起こった際の対応力を高めておきましょう。

  • 防災訓練では、初期消火訓練や応急救護訓練などを中心に行う
    防災訓練では、初期消火訓練や応急救護訓練などを中心に行う

3. 緊急地震速報と津波警報

 地震による強い揺れが来る際に気象庁から発表される情報を「緊急地震速報」と言います。マグニチュード3.5以上または最大震度3以上が予想される場合は「緊急地震速報(予報)」、最大震度5弱以上と予想される場合は震度4以上の揺れが想定される地域に「緊急地震速報(警報)」が出されます。最大震度6弱以上となる場合は特別警報に位置付けられますが、通常の警報と区別せず発表されるので、緊急地震速報(警報)を見聞きした場合は速やかに身の安全を確保しましょう。
 
 津波が予想される場合は、地震が発生してから3分程度を目標に「大津波警報」「津波警報」「津波注意報」が出されます。マグニチュード8を超えるような巨大地震の際は、最初の警報で「巨大」「高い」という言葉で予想される津波の高さを表現し、その後に数値を用いた情報を発表します。

■津波警報・注意報の分類ととるべき行動

  • 出典:気象庁リーフレット「津波警報が変わりました」

4. 避難場所、避難経路を決めておく

 災害発生時に最初に向かうのは、「一時避難場所」です。一時避難場所は、近隣の避難者が一時的に集合して状況を判断するための場所で、学校や公園、空き地などが指定されています。もし、大地震によって火災が同時多発し延焼が拡大した場合は、大規模な公園や広場などの「広域避難場所」に避難することも考えられるでしょう。どちらも一時的な避難場所として位置付けられており、その後の被害状況によっては学校などに設けられた「避難所」に移動して避難生活を送ることになります。高齢の方や障害のある方といった要配慮者向けの「福祉避難所」が二次避難所として後日開設される場合もあります。
 
 避難場所や避難所は自治体のホームページなどで公開されているので、家族と集合場所を決めておくと良いでしょう。そして、実際に避難経路を歩いて危険な場所の有無をチェックしておくことをお勧めします。

■避難場所と避難所のマーク