知る編

第18章 二次被害のメカニズム

1. 液状化のメカニズム

 液状化とは、地震の揺れによって地盤が液体のようにやわらかくなってしまう現象のことです。普段は砂粒同士が結びついて地盤を支えていますが、地震によって激しく揺さぶられると砂粒同士の結合が外れ、泥水のような状態になってしまいます。その後、砂の粒が水に沈むのに伴って地盤が沈下し、地盤の亀裂から水や砂が噴き出します。このとき、ビルや橋など重い物は沈み、マンホールや水道管といった軽い物は浮き上がります。

 各自治体の液状化危険度はハザードマップでも公表されていることがありますので、確認してみましょう。

2. 地震で土石流が起こることも

 大地震によって山体が崩壊すると、大量の土砂が水を含んで濁流となり、大きな被害をもたらすことがあります。1984年の長野県西部地震(M6.8)では御嶽山で大規模な山体崩壊が起こり、約3600万㎥(東京ドーム約29杯分)もの土砂が土石流となって、平均時速80kmで駆け下りました。土石流や土砂崩れに巻き込まれた29名が死亡・行方不明となったほか、川がせき止められて湖ができるなど、御嶽山の山容をも大きく変える結果となりました。

 そのほか、山崩れの土砂が川をせき止めてできた湖が決壊することによって土石流化するケースもあります。

3. 電気による火災が多い

 大規模な地震が発生した場合、電気を起因とした火災にも注意する必要があります。火災と言うとガスコンロなどからの出火をイメージされる方も多いかもしれませんが、東日本大震災の本震その他を起因とする火災の約66.3%(108件)は電気関連による出火です。

 特に地震発生後は停電後の再通電などによって火災発生の可能性が高まります。停電中に避難する場合はブレーカーを落とすことを徹底しましょう。また、電気が復旧したら電気機器やコードなどの破損の有無を確認してからブレーカーを戻すようにします。

■東日本大震災その他の火災発生状況(「岩見,2014」を参考に作成)