守る編

第13章 帰宅・避難の判断

1. 自宅にいる場合の避難判断

 津波や土砂災害などの危険性があり、避難勧告・避難指示が出ている場合は避難所に避難しましょう。また、家の内外の被害状況を確認し、家屋の倒壊や火事、ガス漏れなどの危険性がある場合も避難します。自宅で生活できる状況であれば、「在宅避難」をしましょう。

 在宅避難のメリットは、普段と同じ環境でプライバシーを維持しながら生活できる点ですが、一方で行政の支援や情報が届きにくいという面もあります。もし避難が必要になった場合の避難場所を確認した上で、ラジオやテレビ、行政や消防署などのサイトから正しい情報の入手に努めましょう。

2. 外出先の場合の帰宅判断

 外出先から帰宅する際に最も重要なのは、帰宅経路の安全性です。大きな地震が起こった場合、公共交通機関がストップし、緊急車両の通行を確保するために交通規制が実施されることから、電車や自家用車での帰宅が困難になります。無理に帰宅しようとすると、駅周辺や道路の混雑により、大規模な火災や建物の倒壊といった二次災害に巻き込まれ、ケガをしたり命を落としたりする危険性が増します。そのため、帰宅経路の安全確認が取れるまでは、できるだけ職場や近くの一時滞在施設など安全な場所にとどまることが大切です。

  • 外出先で行き場のない場合は一時滞在施設で待機を

3. 市街地の脅威は火災

 木造住宅が密集し、道路や公園といった耐火性が高い建築物が少ない市街地は、火災が起こった場合に延焼しやすく、避難が難しくなる危険性が高いと言われています。いずれ起こるとされている首都直下地震について、内閣府中央防災会議は都心南部を震源とする最悪の場合、最大2万3000人の死者のうち7割は市街地火災の多発と延焼が原因となると予測しています。各自治体によって道路や公園の整備、建築物の不燃化、避難場所の確保などの対策が進められていますが、まず大切なのは出火の原因を作らないこと。万一火が出た場合は、火が小さい内に消火しましょう。

4. 初期消火のポイント

 延焼による大規模な火災を防ぐためには、各家庭から火を出さないことが大切です。火を消すためのチャンスは、地震発生直後、揺れが収まった瞬間、出火から3分以内の3回。天井に火が燃え移るまでであれば、一般人でも消火器を使えば初期消火できるとされています。

 火が小さくても110番通報し、周囲の人と協力し合って消火してください。

 消火器の使い方自体は3ステップと簡単なので、慌てず的確に火元を狙いましょう。もし消火器がない場合、火が小さければ水をかけたり、濡らしたタオルやシーツなどで覆ったりして消火する方法もあります。

 天井に火が達してしまった場合は、速やかに避難してください。延焼を防ぐために火が出ている部屋の窓やドアを閉め、濡らしたタオルで鼻と口を覆って、できるだけ姿勢を低くして脱出すること。