2022.01.31

データプラットフォーム

現在、社会の構造的課題や新型コロナウイルス感染症の拡大で生じた問題を受け、オンライン化・デジタル化が加速し、国全体のデータベースの構築を始めとしたデータ戦略が推し進められています。
そのデータ戦略を実現するために必要不可欠で、基盤となるデータ連携の横断的プラットフォームはどのような役割を担うのかを確認しておきたいところです。また完成のためには民間企業の参画が必要不可欠です。今回は、データ戦略・プラットフォーム構築において、世界的に遅れをとっているといわれる日本が、データ戦略を推進するためのポイントを解説します。

データ連携プラットフォームの必要性

国はいま、データ戦略において、データ連携の横断的プラットフォームの構築を急いでいます。

データ戦略には「アーキテクチャ(全体構造)」があり、それを理解し、確実に構築していくことが求められます。

政府が掲げるデータ戦略の目標は、データがつながることで「新たな価値を創出」することであることから、データ利用者を含むステークホルダーの視点からみて、幅広いデータの集約・分析・活用が、AIシミュレーション等テクノロジーを活用して包括的・効率的・一元的に実現できていることが求められます。

データ戦略タスクフォース第一次とりまとめ

出典:令和2年 12 月 21 日 デジタル・ガバメント閣僚会議決定「データ戦略タスクフォース第一次とりまとめ」
https://www.kantei.go.jp/jp/singi/it2/dgov/dai10/siryou_a.pdf

アーキテクチャにおいては、大きく「データ環境整備」と「社会実装と業務改革」の2層に分かれますが、特に「データ環境整備」における「利活用環境」と「連携基盤」の整備が重要です。

プラットフォームは「データ連携に必要なルールと連携基盤(ツール)を提供するもの」として位置づけられています。

データ戦略のアーキテクチャ(全体構造)における「ベース・レジストリ」

データ戦略のアーキテクチャ(全体構造)において、「データ連携・利活用の対象」となるのが「ベース・レジストリ」です。

政府の定義によると、ベース・レジストリとは、「公的機関等で登録・公開され、様々な場面で参照される、人、法人、土地、建物、資格等の社会の基本データであり、正確性や最新性が確保された社会の基盤となるデータベース」です。

データ戦略タスクフォース第一次とりまとめ

出典:「ベース・レジストリ・ロードマップ」より

ベース・レジストリを必要とする分野は、社会全体で広範にわたります。そのデータの詳細度や、IoTデータ、リアルタイムデータの扱いなど、対象となるデータの体系化を図っていくことが必要であるとされています。

具体的には、公共機関の保有するデータ、例えば戸籍・住民基本台帳、商業登記簿、道路台帳、農道台帳などに加えて、民間が保有するデータである、地図データ、商取引データ、基本属性データなどもあわせて検討されています。

このことから、今後、民間企業はデータの質・量・利用環境それぞれについて充実させていく対応が求められています。

プラットフォーム構築にあたって

現在、データ連携基盤の構築が進められていますが、2025年に初期のベース・レジストリの整備と基盤となるプラットフォーム整備が完了し、2030年には世界水準を実現することが目標とされています。

世界水準のプラットフォームが完成するためには、行政サービス、医療・介護、交通・物流、インフラの主要分野の各プラットフォームを確立することが前提となっています。

プラットフォームの構築のためには、官公庁、民間企業、学術・研究機関、生活者の足並みを揃える必要があります。同時に新たな価値創出、技術開発、人材育成に取り組むことも求められるでしょう。

まとめ

データ戦略の目標である、「データがつながることで新たな価値を創出する」社会を実現するためには、データ連携・利活用のためのプラットフォームの構築が欠かせません。そのためには、民間企業の関わりも重要になってきます。企業ができることとして、提供できるデータの整備などを積極的に実施することが求められています。

引用・参考文献

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