私にとって「七十年史」編纂は、スケジュールという時間との戦いであり、資料収集という情報・データのロジスティックスとの戦いでもありました。編纂は人の手でやることですから、事務局にもっと人を投入しさえすればちゃんとスケジュールどおりに刊行できただろうと思われがちですが、私の考えは逆です。人員はできるだけ少ない方がいいと思います。ただ、もしあと1人だけ私の下にいてくれたら、かなりパフォーマンスが上がったと思います。また役割分担がしっかりできればもう1人いたら更によかったと思います。今回の場合ですと、1人は資料編に専念するという役割分担ができましたので、3人のチームでしたらベストだったかと思います。人数は少なくてもフルに専念できることの方がはるかに重要で、そのためにも正式に人事から任命されることはとても重要だと思います。
社史は事実を淡々と書いていくもので、主義主張は極力差し控えるべきではないか、その意味であまり肩に力を入れなくともよいのではないかと思います。肝心なのはスケジュール管理で、期限を守ること、そして年史刊行のタイミングはオーラルヒストリーのインタビュイーのことを考えますと30年間隔が限度かと思います。
社内に大委員会を作ることもなく、事務局が2人、兵隊は私1人だけ、そんな最小限、最低限であってもなんとかなった、というのが「私の負け惜しみ」であり、これから社史をお手がけになる方には、一番記憶にとどめておいていただきたいポジティブなメッセージです。
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