凛とした強さを感じさせる佇まいが印象的なリーフレットの数々。今回はカネボウ化粧品さんのプレステージブランド「KANEBO」の2020年秋冬広告を担当した長島麻美子と太田千香子をご紹介します。

 長島と太田は以前からカネボウ化粧品さんの社内向けマニュアルやリーフレットなどを担当しており、その着実で丁寧な仕事ぶりと経験値から販促物のトータルディレクションの依頼に繋がりました。「KANEBO」ブランドを象徴するキービジュアルの制作を含む、販促物の総合受注は今回が初めてでしたが、更に今回はコロナ禍という状況でプロジェクトがスタート。ブランドコンセプトを体現するキービジュアルの制作では、カネボウ化粧品さんとのニュアンスを含めた意思の疎通が欠かせませんが、オリエンもリモートで開催するなど、手探りでの進行となりました。

 今回二人が担当したのは、プロダクトのキービジュアルを柱としてフライヤーや商品カタログ、LEDビジョン用ムービーまで、多岐にわたる制作物すべてのディレクションです。深くブランドを理解している担当営業と、アートディレクションを担当したたき工房さんとの綿密な共有と打ち合わせを繰り返し、ブランドイメージを守りながら商品の特長が魅力的かつコンセプチュアルになるよう落とし込んでいきました。

 撮影では、カネボウ化粧品さんの「できるだけCGの使用を避けてナチュラルに」という希望に合致する手法を探るため、細部にわたる計算を重ねて行いました。スキンケア商品のみずみずしいテクスチャや、ベースメイク商品の混ぜて使う特長をビジュアルとしてどのように表現するかをキーポイントに、実際の商品を使ってテストを実施。特にマーブル模様で表現した独特の美しい質感が特長的な商品では、煌きもある絶妙な黒のテクスチャ表現を追い求めるなど、一切妥協のないビジュアルを目指しました。そして、こだわりを随所にちりばめたビジュアルが完成。撮影後は、信頼の厚い製版チームや数々のデザイナーらと横断・併走しながら技術を結集させ、約20点の制作物が出来上がりました。
 キービジュアルだけではなく、派生する複数の媒体で一貫したブランドイメージ、クオリティを守り、完遂させた長島と太田。「今回築けた関係各所との信頼関係と経験を活かし、今後もよりクオリティを高い制作物が作り続けられるように努めたいです」と笑って話す二人の笑顔が印象的でした。

PRODUCT INFORMATION

KANEBO 2020 A/W
カネボウ化粧品
広告/2020年

ジェネラルディレクション:長島麻美子、太田千香子
アートディレクション:たき工房

STAFF’S COMMENTS

ディレクター 長島麻美子

初顔合わせのプロジェクトチームで、「品質と納期を如何に担保するか」がトータルディレクションを行う上での最重要課題でした。コロナ禍だからこそ、普段以上の綿密なコミュニケーションでチームが一つになれたことで、魅力的なビジュアルを作り上げることが出来たのだと思います。

ディレクター 太田千香子

たくさんのアイディアや技術・こだわりが詰めこまれ、店頭でも目を惹く販促物が完成しました。店頭で一目見て、ブランドや商品に興味を持ってもらえる物となっていてほしいと思います。