パチンコに興味のない人にとって、パチンコホールは気軽に遊びに行ける場所とは言いがたい…。そんな現状を一新したい——今回ご紹介するのは、パチンコホールを「クリーンな大人の遊び場」へとイメージアップを図るべく推進しているダイナムさんの事例です。「パチンコホールをサードプレイスに!」この事業のスタートを飾る“キービジュアル・キーコピーの開発”をトッパンのアートディレクター安田駿太が担当しました。

サードプレイスをタッチポイントに新しいお客さまを獲得したい

 ダイナムさんは全国に約400店舗を構えており、業界No.1の店舗数を誇ります。創業50年を超える老舗で「街と生きるパチンコ」を目指してきました。創業当初から地域に愛される店舗運営を行い、さまざまな工夫や取組みを長年続けています。近年は、既存のお客さまの高齢化から、新しいお客さまにホールへ来ていただくことが喫緊の課題であると捉えていました。
 そこで新たな戦略として、サードプレイスをタッチポイントとしてまだまだ取り込めていない女性のお客さまや、若い世代のお客さまも獲得していきたい、というダイナムさんの想いにこたえるべく、安田はキービジュアルとキーコピーの開発に取りかかります。

サードプレイスとは:自宅(ファーストプレイス)や職場(セカンドプレイス)とは異なる、第三の自分の居場所。アメリカの社会学者レイ・オルデンバーグが、自著で提唱した概念。参考資料:現代用語の基礎知識/自由国民社

方位磁針となるクリエイティブコンセプトを設定する

 安田は、「サードプレイスとしてのダイナム」のキービジュアルを考えるにあたって、ダイナムさんの想いや企業理念から、サードプレイスとしての理想像を「地域に愛され、いろんな人とたのしめる、クリーンな大人の遊び場」と噛み砕き、言語化しました。
 それに伴い、本施策の概念を言葉で表現した「憩いが集まる場所 DYNAM SALON」というサードプレイスのネーミングとタグラインを提案。これをクリエイティブコンセプトとして、制作を進めていきました。

 コンセプト設定とともに、クリエイティブのイメージをより明確に表現できるよう、5つの細かいデザイン指針も定めます。制作途中のラフ案やアイデアに対して、方向性に沿っているか、細かく確認を行っていきました。
 「ダイナムさんのオーダーのひとつに“ミニマルデザイン”というご要望がありました。ミニマルには、“必要最低限”や“可能な限り少ない”という意味があります。ダイナムサロンへ行くことが、ある種のステータスとして感じられるよう、なるべくシンプルでスタイリッシュなデザインにしたい——これは自分の定めたデザイン指針とも合致するものでした。一方で、いろんな人に自分事化してもらうためのカジュアルさも、大人の遊び場としてのスタイリッシュさと同じくらい重要な要素だと考えたので、それぞれの要素をミニマルデザインとして落とし込めるように、5つの指針をより明確に定義していきました。」

理想像をビジュアルとコピーで補完し合うように表現

 理想像である「地域に愛され、いろんな人とたのしめる、クリーンな大人の遊び場」をビジュアルで表現するため、安田が考えたのは“輪”というコアアイデアでした。輪はつながりを想起させ、そのつながりが生み出す空気感は、ダイナムさんが企業理念とする「街と生きるパチンコ」を印象付けてくれると考えたからです。店舗と街の人々がつながり、憩いをつくりだす、そしてその街が明るく元気になっていく、そんなストーリーを描いてビジュアルづくりを進めていきました。
 カラーリングについては、コーポレートカラーであり清潔感も感じられる明るいグリーンを基調とすることで、クリーンなイメージを表現しました。そして、多色使いによって楽しさを表現しています。多色のカラーセレクトについては、彩度を少し落とすことで“大人の遊び場”であることを演出しました。
 また、キービジュアルの中には、公式キャラクターのモーリーズも描き込み、遊びの要素も演出しています。黄色のソファにちょこんと座っているのがモーリーズの一員、モリスケです。

 次にキーコピーへのこだわりです。「地域をつなぐ存在であることを想起させる」「いろんな人と楽しめそうな期待感を感じさせる」この2点が伝わるコピーを目指し、さまざまな案で方向性を探り検討を行っていく中で「さあ、新しい地域の輪を広げよう」というコピーをつくり上げました。

一気通貫したクリエイティブで、理想像へと近づける

 今回制作したキービジュアルは、ポスターを始めとして、屋外広告や店内販促物、サイネージなどにも使われる予定です。「さまざまなメディアに使用され、消費者の目に触れる機会の多いキービジュアルだからこそ、お客さまの目指す理想像に丁寧に寄り添ったクリエイティブで、的確にイメージを伝え続けることが大事だと考えました。今後も、一気通貫したクリエイティブでダイナムさんの理想像を共に叶えていきたいです。」と安田は語ります。
 ダイナムさんのサードプレイス事業は、茨城県水戸市にある茨城イオンタウン水戸南店において3月下旬よりスタートしています。お近くにお住まいの方は、ぜひお立ち寄りください。今後は全国展開も検討しています。ご家族やご友人とともに、大人の遊び場に行ってみてはいかがでしょうか?

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ダイナム茨城イオンタウン水戸南店ゆったり館、店頭の様子
ダイナムグループ公式キャラクターモーリーズ「モリスケ」

PRODUCT INFORMATION

ダイナムサロン キービジュアル・キーコピー開発
ダイナム
キービジュアル制作/2021年

アートディレクター:安田駿太
クリエイティブディレクター:樋口 秀也
コピーライター:坂口 大輔
デザイナー:赤木 志帆、小野寺 寿利也
イラストレーター:天谷 昌浩

STAFF’S COMMENTS

アートディレクター 安田駿太

今回のクリエイティブには、コンセプトに準じたコアアイデアをしっかり落とし込めたので、ビジュアル・コピー共に、別々で見てもダイナムさんの想いを表現できるものになったと感じています。いつの日か全国展開をして、自分の街で見かけるのが楽しみです。