アルミニウム自給率0.2%の消費大国にできること。

アルミニウムの需要が増え続けている…。その影響によって、パッケージに使われるアルミ資材の供給は不安定になると予想されている。現在、ボーキサイト産出ゼロのアルミ輸入国日本で、また世界の食品メーカーなどから、私たちトッパンにアルミ代替品の開発が求められているのです。
トッパンの「GLフィルム」は、従来のアルミ箔に匹敵するバリア性を透明な素材で実現。パッケージの中身の品質はもちろん、今後の原料調達まで見通すことができる、優れた透明フィルムです。

[トッパンの透明ハイバリアフィルム事業]

食品を酸化や湿気から守るバリアフィルムは、今では用途を医薬品や産業資材へも拡大。より幅広い分野で製品の寿命を延ばしています。この開発に欠かせないのが、印刷で培ったコーティングや蒸着加工の技術です。そして今月、トッパンは世界最高のバリア性と、これまでにない高耐性を実現した新製品「PRIME BARRIER」を発表。「パッケージの力は、包むだけじゃない。」担当者は語りました。

[受賞歴]

「包装」を超えた「置き換え」を実現する、印刷テクノロジーのかたち。

▲図1 ボーキサイト
▲図2 2011年度の日本のアルミ用途別構成
出典:一般社団法人日本アルミニウム協会

茶褐色の大地は、アルミニウムの原鉱石であるボーキサイトの色(図1)。
坑道を掘らず、地表から渦を巻くように地下めがけて掘っていく、いわゆる露天掘りで採掘される、ボーキサイト鉱山のイメージです。
アルミニウムは、金属の中では軽量であること、軟らかく加工しやすい性質、そして安価であることから、さまざまな用途に用いられています。日本においては、輸送(車両等部材など)、建築(外装材、窓枠など)、包装容器が三大用途とされています(図2)。
今後、蓄電池用外装材としての需要の急増、また中国や多くの新興国における需要増により、2020年頃には需給バランスが崩れる恐れが指摘されてもいます。
食品包装の分野では、アルミ箔が多く使用されています。アルミニウムを厚さ0.2mm~0.006mmまで圧延で薄く伸ばして製造されるアルミ箔を、フィルムの内側に貼り付けることで、酸素や水蒸気の透過を遮断します。これは、長期保存を必要とする食品包装において、内容物の品質保持のために必須の機能と言えます。
しかしその一方で、電子レンジ対応ができない、金属探知機を通して異物混入を調べることができない、焼却処理時に金属灰が残ってしまい焼却炉を傷める恐れがある、などの難点も指摘されてきました。
アルミ箔に匹敵するバリア性能を持つ、非金属素材のバリアフィルム。環境意識の高まりと相俟って、このニーズは高まり続けています。

▲図3 GLフィルムの特徴
▲図4 「PRIME BARRIER レトルトグレード」を用いた製品サンプル

トッパンでは1986年、基材である透明フィルムに、バリア性のある素材をコーティングすることによって、透明ハイバリアフィルム「GL(Good Layer)フィルム」の開発に成功。以降、独自の蒸着加工技術による世界最高水準のバリア性能と、用途に応じた豊富なバリエーションの開発によって「GLフィルム」シリーズを進化させ、国内のみならずアジアを中心とする海外市場からも高い評価を得てきました。現在では、30の国と地域、1,000社約10,000点の商品に採用されている(2011年12月時点)、透明ハイバリアフィルムのトップブランドです(図3)。
今般、その「GLフィルム」の機能をさらに進化・発展させ、卓越したバリア性能や優れた機能性を付加して開発した製品が、高機能透明ハイバリアフィルムの最高峰と言うべき新シリーズ「PRIME BARRIER」です。2012年10月、その第1弾である「PRIME BARRIER レトルトグレード」(図4)を上市。「GLフィルム」に、高い酸素ガスバリア性を持ち、耐屈曲性に優れた「ベセーラ」※の技術を融合させ、熱殺菌後も極めて高いバリア性を保つ特性(元々世界トップだったトッパン従来品の2倍)をもたせました。これによって流動食や点滴用輸液包材など栄養摂取(ニュートリション)関連製品への対応が可能になります。この「PRIME BARRIER レトルトグレード」をニュートリション市場向けをはじめ、高い酸素ガスバリアや耐熱性が求められる、国内外の市場向けに拡販を進めていきます。
トッパンでは、「バリア性+機能性」をキーワードに、この「PRIME BARRIER」ブランドを展開していきます。今後は、産業資材分野やよりバリア性が求められる市場向けに開発を進め、トップメーカーとして市場を牽引していきます。
包装機能の高度化を超え、製品の在り方そのものを変えていく、透明ハイバリアフィルム。「印刷テクノロジー」の、ひとつのかたちです。
※基材のポリエステルフィルムに、アクリル酸系の樹脂を塗工したラミネート用のハイバリアフィルム。

最先端の印刷テクノロジーを駆使して
さまざまな環境ソリューションの提案を推進しています。

  • 紙製飲料容器
    「カートカン」
    Toppan Document Solution SAI-CHI(さいち)

    紙を主原料としながら、常温流通による長期保存が可能な、紙製の飲料容器です。長期保存を実現させたのは、内面に貼り合わせた「GLフィルム」の高いバリア性能です。
    「GLフィルム」のバリア性能により、紙製として従来にない品質保持性能を実現しました。またカートカンの原紙に間伐材を含む国産材を30%以上使用しています。間伐材や国産材を有効活用することで、CO2吸収効率の高い健全な森を育て、地球温暖化防止にも貢献しています。このカートカンのノウハウが、紙製複合容器「エコフラットカップ」などにも展開されています。

  • バリアフィルムを
    応用した製品展開
    デジタルリメイク

    透明ハイバリアフィルムは包材・容器にとどまらず、さまざまな電気製品の部材や産業資材にも使用されています。太陽電池のなかでも特に薄膜系太陽電池においては、発電素子を保護するために優れた水蒸気バリア性が必要となります。そこで透明性が高く、耐光性にすぐれたバリアフィルムが求められるのです。また、有機ELディスプレイのフレキシブル化、軽量化においても極めて水蒸気バリア性が高い透明ハイバリアフィルムが不可欠となっています。トッパンはさらなる市場の拡大をめざし、次世代のハイバリアフィルムを応用したさまざまな複合フィルム製品をハイエンド製品用に展開していきます。

  • 持続可能な社会の実現に向けて、
    ecollable(エコラブル)を推進
    文化財VR(バーチャルリアリティ)

    トッパンでは、持続可能な社会実現に向けて、「ecollable(エコラブル)」(=Ecology:持続可能な社会の実現を+Collaboration:協働することによって+Able:可能にしていく)というテーマのもとに、新たな環境ソリューションの提案を積極的に推進していきます。環境技術の開発やバリューチェーン全般にわたる環境配慮のモノつくり、社会全体での仕組みづくり、グローバル対応などで、企業、各種団体や生活者の皆さまとエコな未来の基盤づくりに取り組んでいきたいと考えています。トッパンは、こうしたパートナーとの協働によるトータルソリューションを幅広く提供していくことで、社会的課題の解決に取り組んでいきます。

※本文中の敬称は省略しています。
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