印刷会社だからつくれた電子書籍リーダー、本日発表。

電子書籍の普及には、紙を超える表現力と、誰もが楽しめるオープンな環境が不可欠です。トッパンが印刷で培った組版のノウハウやカラーマネジメント、デジタル加工技術。それらは電子出版の読みやすいコンテンツづくり、フォーマットや端末に頼らないプラットフォームの構築を支えている。そして本日、TOPPANグループの電子書籍ストア「BookLive!」から、電子書籍リーダーを発表。美しい表現を全ての人へ、という印刷の思想が注がれた一台です。詳しくは電子出版EXPOにて。

[BookLive!の電子書籍リーダー]

70年代の製版のデジタル化に始まり、97年にはデジタルコンテンツ流通事業「ビットウェイ」の立上げ、昨年にはマルチフォーマット対応、複数端末共有の「BookLive!」開設。そして、そのソリューションを広げる新端末の誕生へ。これらはコンテンツ制作から配信、販売まで手がけているからできること。「印刷会社には、日本の電子書籍を盛り上げる責任があると思うのです。」担当者は語りました。

グループの総力で電子書籍の普及に挑む。出版文化を革新する、印刷テクノロジーのかたち。

▲図1 電子書籍コンテンツ市場の拡大
出典:(株)インプレスR&D インターネットメディア総合研究所

2007年、アマゾン・ドット・コムが電子書籍専用端末「Kindle」を発売して以降、同社の電子書籍販売数は既に紙媒体を上回るなど、アメリ力での電子書籍販売数は前年比200%以上の成長を続けています。日本でも、iPadが上陸した2010年から本格的に電子書籍市場が立ち上がり、2016年には2,000億円規模の市場になることが予想されています(図1)。
「著作者」から生まれた電子書籍が「読者」の手元に届くまでにはさまざまな工程があり、トッパンは全ての分野でビジネスを展開しています。
制作事業では、日本市場に独特なフォーマットの課題に対応しています。
フォーマットは出版社ごとに異なる形式を採用するため複数あり、電子書籍リーダーにバンドルされているビューワごとに表現できる形式は異なります。トッパンは、デジタル加工技術を活かしたオリジナル中間ファイルを開発して、全てのフォーマットをシームレスにあらゆる端末に流せるスキームを確立しました。このスキームを核とした電子書籍専用制作ライン「コンテンツファクトリー」を立ち上げ、コンテンツのデジタル化作業の量産化を実現しています。
流通事業では、1997年に「ビットウェイ」を設立し事業を開始しており、既に15年以上の歴史があります。コミックや写真集の配信からスタートし、2005年には凸版印刷から分社化。翌2006年からは電子書籍の取次事業に着手しました。現在では、国内最大級のコンテンツ数を配信する最有力プレイヤーとして、主要な電子書店に対して取次サービスを展開しています。
販売事業では、2011年にビットウェイの子会社として「株式会社BookLive」を設立し、サービスを開始しました。「BookLive!」は、マンガ、書籍、雑誌、写真集など幅広いジャンルに渡る80,000冊以上の品揃えと、独自コンテンツの開発にも力を入れる国内最大級の総合電子書籍ストアとしてサービスを展開しています。
そして2012年7月4日、東京ビッグサイトで開催された「第16回国際電子出版EXPO」で、「BookLive!」ブランドの電子書籍専用リーダーを発表しました(図2、3、4)。仕様やサービスの詳細は2012年秋頃の発表予定ですが、専用リーダーならではの「使いやすさ」と、6インチ電子ペーパーを採用したことによる「読みやすさ」が最大の特長です。これによってTOPPANグループは、電子書籍用のデータ《制作》から《流通》、《販売》、さらに《専用リーダー》という読者との直接の接点までを提供することができるようになります。電子出版EXPOと同日の7月4日、出版デジタル機構と「ビットウェイ」が、電子書籍の取次・配信システムを協働で構築することが発表されました。4月に設立された同機構は、電子書籍の普及促進を目的とした団体で、経済産業省の「コンテンツ緊急電子化事業」(略称「緊デジ」) と連携し、まずは2012年度中に約6万点を、5年後に100万点の電子化を推進する考えを示しています。「黎明期にある電子書籍市場等の活性化」「知へのアクセス向上」という「緊デジ」の目的は、まさに私たちの課題意識でもあります。
15世紀の半ばに、金属加工職人であったグーテンベルクが活版印刷術を発明して以来、出版文化の発展を支えてきたのは印刷事業者である、という思いがあります。以来400年を経て、今このとき起ころうとしている書籍のイノベーションは、日本の出版文化を守っていくためにこそ、普及・定着させなければなりません。それが私たちTOPPANグループの責任であり矜持であると考えています。
電子書籍のトータルソリューション。「印刷テクノロジー」の、ひとつのかたちです。

▲図2 第16回国際電子出版EXPO、
賑わうTOPPANグループブース
▲図3 人気のBookLive! コーナー
▲図4 今秋発売予定の
電子書籍専用リーダーの展示

最先端の情報加工技術を活かして、
電子出版に関わるさまざまなソリューションを提供していきます。

  • SPRESSOR
    (スプレッサー)
    Toppan Document Solution SAI-CHI(さいち)

    マルチデバイスに対応したWebアプリケーション制作・公開サービス「SPRESSOR(スプレッサー)」。導入企業は、想定入力フォームに沿って情報を入力するだけで、HTML5に対応したWebサイトを簡単に制作できます。商品カタログ、フリーペーパー、会報誌などのWebサイトを制作してマルチデバイスに最適化して公開したい企業向けに、2013年1月、販売を開始する予定です。

  • ARプラットフォーム
    AReader(エアリーダー)
    デジタルリメイク

    「AReader(エアリーダー)」は、汎用のARブラウザです。専用アプリの開発を必要としないため、低価格でのARサービス提供が可能となります。
    「AReader」サービスは、ARを再生するためのスマートフォンアプリ「AReader」と、データを登録・管理するシステムで構成されています。ARマーカー1個から導入できるので、どなたでもお気軽にご利用いただけます。

  • タブレット端末向け
    カラーマネジメントシステム開発
    文化財VR(バーチャルリアリティ)

    紙の印刷物と同等の色再現を可能にしたタブレット端末向けカラーマネジメントシステム(CMS)を開発しました。今回、開発したタブレット端末向けCMSは、端末が置かれている白熱灯や蛍光灯などさまざまな光源の環境下での“色の見え”(カラーアピアランス)の情報を取り込み、紙の印刷物と統一された色再現をタブレット端末上で実現します。
    今後、企業向けにタブレット端末上での電子カタログ用サービスとして、2014年末の販売開始を目指します。さらに一般消費者向けの通販カタログやデジタル雑誌などを対象に開発を進めます。

※本文中の敬称は省略しています。
※本文中の商号および製品・サービス名称は、各社の商標または登録商標です。