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TSUTAYAの考えるリアルとデジタルの融合

CCC(カルチュア・コンビニエンス・クラブ株式会社)とは

私どもが展開するCCCは、「TSUTAYA」「Tカード」「T-MEDIA/T-SITE」という3つのプラットフォームの企画・運営を行っている会社です。私たちが目指すのは、「世界一の企画会社」です。
Tカードは、ビデオやCDレンタルの会員証としてスタート。そして、財布の中にバラバラに入っているカード類を1枚にまとめたら、という発想から、レンタル会員証・クレジット機能・ポイント機能を併せ持つ現在のTカードが生まれました。
Tカードには数多くの企業にご参加いただき、2015年5月末時点で124社の392,867店舗において、ポイントを貯めたり、使ったりすることが可能です。T会員数(名寄せ後の利用会員、1年に1回以上利用)は、2015年6月末で5,431万人に達しました。これは日本の総人口の42.7%、中でも20代では74.1%を占めることになります。

T会員クラスタ (2015年6月末時点、名寄せ後の利用会員数)

直面する厳しい市場環境

本を取り巻く市場は、年々厳しいものとなっています。書店、コンビニエンスストア、古本、電子書籍を合わせても、市場規模はこの6年間で12%縮小、既存店に限ると売上高は6年前の77%、TSUTAYAの既存店は業界平均を上回っているものの、厳しい状況にあることに違いはありません。
私たちは現在の市場を第3ステージに入っていると考えます。第1ステージは、モノがない時代。この時代は、モノ自体に価値、競争優位性がありました。第2ステージは、モノがあふれる時代。デパートやショッピングセンター、大規模ネットショップなど、品揃え豊富なモノを選ぶ場、つまりプラットフォームに優位性がありました。
そして、現在は第3ステージ、モノもプラットフォームもあふれる時代です。これからは、単にモノやプラットフォームを提供するだけでなく、そこで何を勧めるか、すなわち提案力がお客さまにとっての価値になるのではないでしょうか。

リアル店舗の新たな提案

ネットとリアル店舗を比較すると、品揃えや価格は、坪効率や人件費等を考える必要のないネットに優位性があります。一方のリアル店舗は、居心地の良い空間を演出することや、コンシェルジェによるお客さまのとのコミュニケーションといったサービスを提供することで、優位性を発揮できるでしょう。
そうしたネットにはできない価値の提供を目指した店舗が、2011年に東京・代官山にオープンした「DAIKANNYAMA T-SITE」です。ここは、モノがあふれる広大な売り場ではなく、ヒューマンスケールの小部屋をつくり、柔らかな光の差し込む、居心地の良い空間を演出。家にいるような感覚で本を選べるようにしています。従来のような「コミック」「文庫」といったモノ起点ではなく、「旅行」「美容・健康」といったライフスタイル別の棚づくりをし、テーマごとにコンシェルジェを配置しました。コンシェルジェは「料理」コーナーに元『クロワッサン』編集長の勝屋なつみさん、「JAZZ」コーナーにジャズ・プロモーターの及川亮子さんといったように、コーナーごとにその分野のスペシャリストをつけ、棚づくりの権限までも委譲しました。例えば、「料理」コーナーでは料理教室などのイベントや関連グッズの販売等も含めたライフスタイルの提案、「旅行」コーナーにはトラベルカウンターを設け、その場で旅の予約ができるようにしています。

DAIKANNYAMA T-SITE

この思想を受け継ぎ、2014年12月に神奈川県藤沢市にオープンした「湘南T-SITE」は、雑誌の集客力を生かした小部屋スタイルの売り場づくりを基調としました。「DAIKANNYAMA T-SITE」との違いは、フロアの7割強に、各コーナーのテーマに関連したテナントに入っていただいていること。雑誌の提案力とテナントの魅力による共栄共存を目指したスタイルとなっています。
また、2015年5月には、東京・二子玉川に家電売り場と一体化した「蔦谷家電」を、JR大阪駅構内には売り場面積4,000平方メートルの「梅田 蔦谷書店」をオープン。今後、「T-SITE」は大阪・枚方、千葉・柏の葉キャンパスなどにオープン予定です。リアル店舗では、ネットではできない価値を提供し、本とお客さまとの接点をつくり続けたいと考えています。

ICT導入が効果的な場面とは

2014年6月、私たちは日本最大の総合書籍プラットフォームの創出を目指し、国内ナンバー1の電子書籍事業社であるBookLive社との業務提携を行いました。提携後、第一弾のサービスが「AirBook」です。Tカードを示して対象の雑誌を購入すると、自動的に電子版がウェブ上の本棚に入り、スマートフォンなどのタブレット端末でも読めるようになるというサービスです。紙の持つ、所有感や質感、情報の深さといった優位性と、ネット情報の情報鮮度、携帯性、検索性といった価値を融合させることを目指しました。
AirBookで実現したい顧客価値

現在、34社110誌にご参加いただき、参加各誌の売り上げは好調に伸びています。利用者を年齢別に見ると、20代・40代の女性、また意外にも40代以上の男性が多いことがわかります。
サービスの第二弾は、TSUTAYAデジタル特典。Tカードで雑誌やコミックを購入いただくと、未公開カットやサイン入りイラストがデジタル付録として付いたり、関連コミックが一話無料で読めるといったサービスです。
また、2015年8月からは、講談社様のご協力で、『進撃の巨人』のコミックを購入、あるいは映画のDVDをレンタルしていただいたお客さまにスピンオフ作品の試し読みセットをご提供するサービスを開始。映画をきっかけに原作に興味を持ち、デジタル・リアルで本を購入していただく一連の流れを生み出せればと考えています。

今後の展開~ネットとリアルの相乗効果~

出版界の厳しい状況は申し上げたとおりです。例えば、週刊少年マンガ誌の発行部数は減り続けていますが、みんながマンガを読まなくなったわけではありません。無料マンガアプリのダウンロード数は増え続けています。ユーザーがマンガを楽しむタッチポイントが変化しただけといえます。アプリがきっかけで、リアルの書籍を購入した経験のある人も数多くいます。
つまり、その作品に関する情報にいかに接するか――情報接触量が、そのまま売り上げにつながると考えられます。TSUTAYAアプリでは今秋から、BookLive社との提携による無料マンガを開始する予定です。これが電子と紙、双方のコミックの売り上げにつながればと期待するところです。
リアル店舗には、「発見や出会い」があり、その場で本を買えるという優位性があります。ネットは、立ち読みができる、レビューやレコメンド情報を見ることができるといった、ITの情報力による「おもてなし」が得意です。私たちは、リアル・ネット、紙・電子などのチャネルを連携させ、あらゆる場でお客さまと接点をもつための方法を模索しています。
出版社の皆さまには、ぜひTSUTAYAを実験台として活用いただきたいと思います。そして、お客さまがより本というコンテンツを楽しめる方法を、一緒に考えさせていただければ幸いです。

関谷 潤(せきや じゅん)氏
株式会社TSUTAYA オムニチャネル推進部 部長 関谷 潤(せきや じゅん)氏
1994年カルチュア・コンビニエンス・クラブ株式会社入社。その後、ヤフー株式会社、楽天株式会社を経て、2010年に再びカルチュア・コンビニエンス・クラブ株式会社へ。現在は、株式会社TSUTAYAオムニチャネル推進部長、株式会社BookLive 取締役。

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