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パネルディスカッション これからの書籍ビジネスのあり方

ICTによるリアルな体験を取り入れた情操教育など、暮らし、健康、学びなどあらゆる分野で変化が起こっています。読書環境についても例外ではありません。書籍の電子化が進むと、自分の本棚を持ち歩けるようなイメージとなりますし、読書の感想やキーフレーズをネット上でシェアできる環境も、新しい読書体験を生み出しつつあります。これからの時代は、さらにICT化が進んでいくことでしょう。
そのような環境の中で、書籍や出版コンテンツは、今後どのように変わっていくとお考えですか。―紺野

木俣氏

問題は、「我々の未来はあるのか」ということです。このように、すべてがICT化していったとき、本当の意味でコンテンツに力がないと残っていかないのではないかと危惧します。優良なコンテンツであれば、紙であろうが電子であろうが、読者に選ばれていく状況はあります。制作側が、技術革新にいかに対応していくかが課題ですね。 私はデジタルに負けなかった商品がひとつだけあると思っています。アナログ時計です。手をかけた高品質なアナログ時計は、むしろ価値を高めています。書籍にもそういう一面があります。手をかけてつくられた精緻な本は、古びることがない。それは、紙の本とは限らないかもしれません。さまざまなものを融合して、何かきわめて面白いコンテンツができれば、次の時代がくるのではないでしょうか。

鈴木氏

我々のような出版社は過去を振り返ることは得意なのですが、未来は苦手だったりします(笑)。しかし、キーワードはやはり「スピード」だと思うんですね。ネットの普及により、ニュースの賞味期限はどんどん短くなっています。ニュースは瞬く間に消費されており、今は3日間話題が持つ事件すら少ない。
トッパン・エディトリアル・ナビのようなシステム、ICTを活用すれば、今、取材しているものをどんどんクラウドに落とし込み、編集して、タイムリーなものをバンと出すことができます。時代に合わせて、本づくりのスピードアップを図ることは重要だと思います。

石井氏

電子書籍の世界では、短編小説を一篇ずつバラ売りするといった売り方が進んでいます。電車で車内を見渡しても、短いものを端末で気軽に読むという習慣は一般化していることを感じます。しかしその一方で、紙にしろ電子にしろ、長いものをじっくり読むという読書スタイルもまた滅びないのではないかと思いますね。
トッパン・エディトリアル・ナビは、単に本づくりのスピードアップだけでなく、編集の時間を短縮することで、企画を練り上げたり、外に出て人に会う時間を増やし、コンテンツの質を上げていくことに役立つのではないかと考えています。

書籍ビジネスのあり方が問われているような気がします。トッパン・エディトリアル・ナビのようなシステム、ICT化も交えて、書籍ビジネスをどのようにお考えですか。―紺野

木俣氏

そもそも出版社は「机と電話一本あればできる」といわれていました。ICT化により、書籍ビジネスはそういう本質的な形に戻っていくのではないでしょうか。

鈴木氏

誰でも編集ができるようになると、素人と玄人の差が曖昧になっていきますね。プロは、何がプロたるゆえんかという証明を、世の中にしっかりと打ち出さないと生き残れない時代になるでしょう。
我々が日々感じているのは、コンテンツを紙から電子に展開すると値崩れしてしまうという点です。ネット情報は無料が当然と考えている人が多く、安くないと買っていただけない。課金の問題を含め、アナログとデジタルの双方向にメリットのあるビジネスモデルを構築する必要があります。読者に求められるコンテンツを提供していけるよう、我々も日々進化していかなければならないと痛感しています。

石井氏

書籍や雑誌は、編集部に限らず、広告部や営業部、外部スタッフ、印刷会社など、多くの人の協力によってつくりあげられていくものです。スタッフ全員が、原稿や材料をそれぞれの立場で磨き上げ、質の高いコンテンツへと織り上げていくことが今後ますます必要となるでしょう。時間や場所の制約なくコンテンツを共有できるトッパン・エディトリアル・ナビは、そのために欠かせないツールとなるのではないかと思いました。

  • 株式会社文藝春秋 常務取締役 木俣 正剛(きまた せいごう)氏
  • 株式会社文藝春秋 執行役員 ノンフィクション編集局担当 鈴木 洋嗣(すずき ようじ)氏
  • 株式会社文藝春秋 執行役員 石井 潤一郎(いしい じゅんいちろう)氏
  • 凸版印刷株式会社 トッパンアイデアセンター クリエイティブ本部 紺野 慎一(こんの しんいち)

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