TOPPAN SOLUTION

第二部 大阪会場 パネルディスカッション

授業のあり方と家庭学習についてICTが果たす役割とは

今回のセミナーは「授業と家庭学習の連携で学習効果を高める」ということが大きなテーマになっています。佐賀県のSEI-Netや京田辺市の校務支援システムを支えている凸版印刷ですが、授業と家庭学習について、凸版印刷ができることはどんなことがあると思われていますか?―為田氏

菊地

ICTの進んでいる学校では、1人1台のタブレットを持っており、家に持ち帰ってもいいことになっています。端末が家と学校を行き来する時代なったことは、大きな変化です。そこから得られる情報をいかに活用していくか。凸版印刷としては、こうした状況を見通しながら、学習効果を高めるお手伝いをしたいと思っています。

凸版印刷と共同での実証実験も計画されているという平井先生ですが、授業と家庭学習の連携について思うところはありますか。―為田氏

平井氏

私は、学びの連続性を考えています。学校の授業と家庭学習をどのようにつなげたら効果的なのか。授業を100m走に例えると、授業の中だけで走りきろうとすると助走にあたる部分は速度が遅くなります。しかし、助走にあたる部分を家でまかなうことができたら、学校では全力疾走が可能になります。45分の授業を最大限に活かせるようになります。したがって、先生方には「次につながる宿題を考えるように」と言い続けています。さらに、ICTの進化で家庭を巻き込んだ授業も可能になると思います。タブレットで学校と家庭がつながる。そうすることでより楽しい学びが実現できると考えています。

淡路市のiTunes Uは家庭でもやっているのですか。―為田氏

西岡氏

WiFiなどのインフラが不十分なこともあって、まだ家庭までには入り込んでいません。ただ、iTunes Uの効果はかなり出てきています。動画はいつでも何度でも繰り返してみることができるので、活用の範囲が広がっています。導入後、アクセス件数も右肩上がりです。

ICT導入について各家庭の環境なども含めて、公教育だからこそ感じる難しさはありますか。―為田氏

不破氏

地域によっても異なりますし、生活保護家庭があることも事実です。また、家庭環境に関係なく、親から理解を得ること、協力いただくことも欠かせない要素です。学習環境が整っている家庭、協力的な家庭はいいのですが、その逆の場合は? そうした視点からも考えていく必要があると思います。
さらに、タブレットを家に持ち帰って、インターネットで有害サイトにアクセスしないか、そんな対応策も考えておく必要があるかもしれません。

公教育はすべての家庭をカバーしなければなりませんから、問題は複雑です。インターネットのことしても、コントロールしたほうがよいのか、自由にしておいていいのか。―為田氏

平井氏

古河市の導入したセルラーモデルは、コントロールが可能です。他社でも通信キャリアでできることも、いろいろあるのではないでしょうか。セキュリティ面などでも活用できる通信キャリアのサービスはメリットも大きいですね。ただWiFiモデルにもいいところがある。今後は双方の共存になっていくと思います。

佐賀県では、いかがでしょう?―為田氏

福田氏

佐賀県では自分専用の学習用パソコンを準備することを求めていますが、自分のパソコン、タブレットを持っている生徒は、その端末を学校に持ってきてもらってかまいません。また、持っていない生徒や新しく買うことの厳しい家庭に向けては、奨学金制度も拡充させるなどして対応しています。
ICTを導入してみての反応として、これは一例ですが、ある高校生の母親から学級通信に動画が載っていたことに対する喜びの声などもあがっています。

それでは最後に皆さんから、今後の展望、これから実現したいことをお伺いします。―為田氏

菊地

今、取り組んでいるサービスを確立したいと思っています。さらには、効果を測定することができる仕組みを構築しながら、新しいサービスを開発していきたいですね。

不破氏

子どもたちのための環境づくりが第一です。そのためにはそれを支える教職員の育成が必要になってきますので、研修を充実させたいと思っています。

西岡氏

淡路市は過疎化が大きな課題になっています。人口は阪神地区に流出していますし、少子高齢化は深刻です。この問題に対しては、「いつかきっと帰りたくなるまちづくり」をキャッチフレーズにして、真正面から取り組んでいるところです。
そのための施策の一つとして教育に力を入れています。ただ我々の姿勢としては、「歩きながら考える」です。つまり、教育には柔軟な対応で取り組むことが大切なのです。我が市の身の丈にあった教育改革を今後も推し進めていきます。

平井氏

3~5年後には、One to Oneの環境を構築させたいと思っています。その時は、端末は保護者負担、通信費は自治体負担を想定しています。One to Oneの実現が最優先の課題です。

福田氏

教育の質を向上させること。ICTはそのための一つで、あくまでも実現のための道具だと思っています。あらゆる手段を使って、授業をよりよいものにしていき、定着化させたいと思っています。

小柳氏

子どもたちがどんなことで壁にぶち当たっているのか、見極める力が必要だと思っています。そのためにはデータは有効な手段です。ビッグデータもいるのかなぁ、と考えています。子どもたちの課題を見つけ出す、そんな力を養いたいです。

  • フューチャーインスティテュート株式会社 為田 裕行(ためだひろゆき)氏
  • 京田辺市教育委員会 教育部学校教育課 指導主事 不破 亨(ふわとおる)氏
  • 淡路市教育委員会 学校教育課 指導主事 西岡 正雄(にしおかまさお)氏
  • 古河市役所 教育部指導課 課長 平井 聡一郎(ひらいそういちろう)氏
  • 佐賀県教育委員会 副教育長 福田 孝義(ふくたたかよし)氏
  • 奈良教育大学大学院 教授 小柳 和喜雄(おやなぎわきお)氏
  • 凸版印刷株式会社 教育ICT事業開発本部 本部長 菊地 尚樹(きくちなおき)

ページトップへ