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第二部 大阪会場 パネルディスカッション

今、さまざまな形で教育現場でのICT利活用は進んでいます。ただ、忘れてはならないことは、ICTはあくまでも手段であって目的ではないということです。今回は、ICTを教育の手段として活用している皆さんをお招きし、ディスカッションを進めたいと思います。

「授業と家庭学習の連携で学習効果を高める」という軸で進行していきたいと思いますが、まずはパネリストの皆さんの自己紹介をお願いします。―為田氏

不破氏

京都府京田辺市は、京都・大阪・奈良の三都市を結ぶ三角形の中心に位置します。関西文化学術研究都市の北の玄関口といえるでしょう。私たちは、「質の高い学力を育む教育」「心の教育の充実」「安心して学べる学校づくり」「家庭地域の教育の向上」をモットーに、創造性あふれる心豊かな人間の形成を目指し、さまざまな施策に取り組んでいます。
授業スタイルの変化といいますか、ICT教育の導入にはいくつかの変遷があります。最初は、大型テレビの導入から始まりました。当初は6台の導入でしたが、次第に台数を増やしていき、最近では電子黒板も導入しています。
また、デジタル教科書を使用するようにもなりました。初年度の平成24年度は、小学校の国語・算数、中学校の英語のみだったものの、その後、中学校で国語・社会・数学・理科を追加し、小学校では今年度中に全教科をデジタル教科書にする予定です。
子ども・学校応援プロジェクトでは、テーマごとに教育実践モデル校を指定するスタイルで学校支援を行っています。「英語教育(小中連携)」「学力アップ」「学力アップ校(小中連携)」「体力アップ」「安全(防災)教育チャレンジ」「読書活動推進」などのテーマで、1~3校をモデル校として指定して取り組んでいます。プロジェクト推進のため、教員の育成にも力を入れており、先進県への視察研修なども実施しています。

西岡氏

兵庫県淡路市は人口が約46,500人、教育・企業誘致・観光に力を入れています。今回のテーマである教育は、現在、淡路市教育委員会として「タブレット活用教育推進事業」を実施しています。
淡路市の教育の特徴は2点。「研修員制度」「iTunes U」です。
「研修員制度」の最大の目的は教師を育てることです。それも一教師でよいのではなく、学校単位でもなく、市全体に広げたいという思いでスタートしました。平成24年度の5名から始まり、平成25年度は14名、平成26年度は50名とその人数を増やし現在は70名に至っています。「研修員制度」を別名で「淡路市型ねずみ講スタイル」と呼んでいます。聞こえはあまりよくないかもしれませんが、このスタイルが市全体に広げていくには最適だと思っています。
「iTunes U」の活用も行っています。このプラットフォームには、いろいろな単元、メニューが入っています。例えば、リコーダーの場合はというと、子どもは画面で先生の指づかいを見ながら個人練習をします。そして、試験はムービーにして提出します。このように活用することで、一斉型の授業などとは違い、子どもたちは自分の歩みに合わせて学んでいくことができるわけです。
「iTunes U」は平成25年2月から始めたばかりですが、個の習得度に応じて学べる環境をつくり出すことができますので、これからの応用、発展に期待ができます。

平井氏

茨城県古河市は茨城県の西南部に位置し、水戸市に行くより東京に行くほうが早いという環境になります。ちなみに、よく「ふるかわし」と読み間違われるのですが、正しくは「こがし」です。
では、この古河市になぜ、イノベーションが必要だったのか。はっきりいって学力水準に問題があったからです。授業が変わらなければどうしようもない、という状況にありました。そこがスタートです。授業が変わることによって学びが変わる、学びが変わることによって子どもたちが変わる、そして古河が変わる。イノベーションの必要性に迫られていたのです。
ICTの導入の重視したことは、「効果」と「効率」の2点です。そして、ICTを活用した授業モデル、ICT機器の整備モデルをつくって、古河市全体へと広げていきました。ICTの導入にはどうしても多くの予算が必要となります。そこは通信キャリア(セルラーモデル)の制度やサービスをうまく利用して、コストパフォーマンスも最大限に発揮できるようにしました。

菊地

凸版印刷は約20年前からデジタル化を進めており、文字情報や画像情報の専門処理を行う日本でも有数の実績を持つ会社です。また、教育分野との結びつきも強く、東京書籍、学校図書、フレーベル館などのグループ会社があります。そうしたポテンシャルを評価いただき、佐賀県や京都府京田辺市の教育関連のお手伝いをさせていただいています。
そして、凸版印刷は教育分野で、これからの日本を支える人財の育成に貢献することを目指しています。そのために何かできるのかを、慶應義塾大学の中室准教授の知恵もお借りしながら考えているところです。
将来の所得水準は若年時の学力に因果関係がある、という結果が報告されており、良い大学に行って、良い企業に就職すれば所得が上がる。こうしたことは小中学校時代に学力をしっかりと身につけられるかどうかが大きくものをいうようです。つまり、若年時のセルフコントロール力、自分を律する力が大切になってきます。そこで、この時期のセルフコントロール力を高めよう、これが凸版印刷の出発点です。
そのためには、内発的刺激と外発的刺激があります。内発的刺激には成長実感(習熟度管理とレコメンド機能)と達成感(計画設定機能と目標到達度管理機能)、外発的刺激としては他者からの承認、わかりやすくいうと褒められたり、認められることです。これらセルフコントロール力をアップするサービスを提供することで、教育の世界に貢献できるのではないかと考えています。

それでは、ディスカッションに移ります。皆さんには、一人称で建設的に話をお願いしたいと思います。
今回のテーマは「ICTによって児童生徒の学び方、先生の教え方がどのように変わったか」と「授業のあり方と家庭学習についてICTが果たす役割とは」の2つです。―為田氏

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