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CSRコミュニケーションの最新動向

はじめに

2016年10月末までにCSRレポートを発行した企業のうち、GRI G4の対照表がある先進企業62社を分析。冊子形式のCSRレポート、ダイジェストだけでなく、ネット上で公開されている自社のCSRサイト、PDF形式の詳細版など、複数の媒体を調査しました。

レポートの基本情報

最初に冊子で発行している企業の割合です。WEBサイトの場合、まず各社のトップページにいき、そこから1階層下のCSRページに飛ぶなど、どうしても情報にアクセスする手間がかかります。渡すことで情報を伝えることができる、プッシュ型ツールである冊子の効果に期待する企業が多く、G4対応企業でも約7割が冊子形式で発行しています。

(1)冊子ダイジェスト版について

冊子ページ数は2014年版と大きな差はなく、36ページ以内が43社中20社、全体の5割近くを占めています。WEBサイトの場合、読み手が気になる情報だけクリックしてサイトから離れてしまう可能性が高いのですが、冊子の場合は企業側が伝えたい内容・ストーリーに沿って語れることから、冊子は一般向けのダイジェスト版として発行するケースが多いようです 。

【事例】

  • ①A社(タイヤメーカー)
  • 詳細版はPDF形式、A4縦107ページ。
  • ダイジェスト版は「サスティナビリティコミュニケーションレポート」という題名で、A4・16ページ。
  • ダイジェスト版ではマテリアリティごとにミニ特集を3つつなげる形で16ページに編集。
  • 社員の声を多く掲載すること心がけている。編集方針でも実際の担当者が顔写真とともに登場。
  • ②B社(損害保険会社)
  • 専門家向け(SRコミュニケーションレポートA4縦60ページ)補助ツール(取組事例集A4・135ページ)、ダイジェスト(A4縦 16ページ)の3ツールで構成。
  • ダイジェスト版は主に社会貢献系などステークホルダーを巻き込む活動を写真を大きく使い、活動の概要を伝えるCSRブックレット。
  • ③C社(化学・医薬品メーカー)
  • A4縦・54ページの詳細版と、A5横・34ページのダイジェスト版は完全に別編集。
  • 「数字で見るくらしのたいせつ」というタイトルで、小学生をターゲットに普段の生活に関連する数字で啓発を行うコミュニケーションブックになっている。

(2)PDF版の位置づけ

ダイジェスト版と詳細版の両方を出している企業47社についてPDFの立ち位置を調査しました。G4対応企業を調査したためおおよそ4社に3社がESG投資家向けの専門家向けPDFを作成しています。PDFの作成方法は大部分がDTP。WEBを単純にPDF化したものが4分の1でした。

(3)PDF版ページ数の変移

2014年版で一番多かったのは101~200ページで全体の37%を占めていましたが、2016年版では30%にまで落ち込んでいます。理由のひとつはマテリアリティ。自分たちが報告しないといけない掲載内容に絞り込んできたこと。もうひとつの理由は2015年くらいからの傾向で、ESG投資家にあまり興味を示さない社会貢献活動の事例報告を削除したことが影響しているのかもしれません。

(4)PDF版・冊子版のページ構成について

G4をメインにした企業を調査したこともあると思いますが、2014年版と2016年版を比較するとマテリアリティ別が40%から67%と大きく増加しています。
オリジナルのコンテンツは、食品業界では品質、環境、社会、ガバナンスなど、化学メーカーではガバナンス、レスポンシブルケアなど業界共通のものでまとめたようなもの記事が多く、そのほかステークホルダー別、ISO26000別、ESG・ESM(環境、社会、マネジメント)別などで構成されています。

(5)WEBサイトの位置づけ

冊子には掲載できる情報に限りがあるため、WEBサイトに詳細版を載せる企業が約4分の3と主流になっています。ですが、WEBサイトは専門家だけではなく一般の人も閲覧するとの考えから、概要のみにとどめ、専門家には詳細をまとめたPDF版へ誘導を促す企業が4分の1もあります。
実際の事例として、D社(総合商社)では、第2階層までがWEBサイトに掲載され、それ以上の詳細に関してはPDF版にリンクする形になっています。

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