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選ばれ続ける企業になるためのブランディングの進め方

はじめに

現在、企業のコミュニケーション手法は実に多様化しています。そしてそれを受け取る側の顧客や消費者も、非常に多くの情報の中から自分に合う情報を受け取り、精査しています。今の時代、企業は情報を伝えることばかりに注力するのではなく、そもそも企業として「何を伝えるべきか」「どうありたいのか」をはっきりさせ、さまざまなコミュニケーション活動に一貫性を持たせることが大切です。そして一人ひとりの頭の中に、その企業のイメージや良い体験を集積していくことで、信頼され、選ばれ続ける存在に近づけていきます。
今回のセミナーでは、「選ばれ続ける企業になるためのブランディングの進め方」と題して、ブランディングの基礎の基礎である「あるべき姿を規定して、カタチにする」方法を解説したいと思います。

ブランドとは?

そもそもブランドとは何か。私は「頭の中に存在する価値やイメージの集合体」がブランドだと考えています。長い時間をかけて消費者の頭の中に蓄積されたモノや企業に対するイメージの反映であり、ブランド名やロゴを目にしたときに、どれだけプラスのイメージが想起されるかがブランドとして価値を決めるのだと思います。
わかりやすい例だと、大分県の佐賀関で水揚げされる「関サバ」は、一般的なサバの10倍くらいの価格です。それは、潮の流れが激しい豊予海峡で育つ身の引き締まったサバがおいしいということを、消費者が「関サバ」というブランド名から連想することで高くても選ばれるわけです。ほかにも水道水と市販のミネラルウォーター、普通のお米と銘柄米の違いなど、例を挙げればキリがありません。要は「モノ」の名前に、ある意味(価値)がついてはじめて「ブランド」になるのです。

「モノ」から「ブランド」に変わると消費者の行動に変化が起き、先ほどのサバの話のように選ばれやすくなり(選好性)、好きになってくれれば長く選ばれ続け(継続性)、少々価格が高くても売れる(プレミアム性)ようになっていきます。

ブランディングとは?

(1)ブランディングの実務

ブランディン グとは、「モノ」から「ブランド」にしていく活動、つまり企業や商品に意味や価値を付け、それを「カタチ」にして伝えていくことです。わかりやすくするため、ブランディングを「BRAND」と「ING」に分けて説明します。
BRANDは「あるべき姿を規定してカタチにする」、つまり自分たちの商品・会社はどのような価値を提供できるのかをしっかり固めて、言葉や視覚でカタチにします。そして、INGでは、「あるべき姿をあらゆる活動を通じて、伝え、浸透させる」活動を行います。言い換えれば、「何を伝えるべきか」をしっかり考え、そののちに「どう伝えるか」を考える作業だとも言えます。
このとき気をつけたいのは、「ホームページのデザインを変えよう」とか「会社案内の表紙を変えてみよう」とか、ついINGの部分ばかりに目を向けてしまうことです。それよりまずBRANDの部分、つまり「あるべき姿」が明確になっているかが重要です。そうしないとコミュニケーションに一貫性がなくなり、効果的に価値やイメージを蓄積させることができないからです。INGの前に、企業として何を伝えていくのか、どう見られたいかをはっきりさせてから、コミュニケーション活動を考えるべきだと思います。

(2)あるべき姿を明確にする

強いブランドは、あるべき姿が明確です。それがはっきりしていないと、さまざまなズレや問題が生じます。
「企業と顧客の間のズレ」は、例えば近所にお洒落で格好いいラーメン店ができると、一時的に話題になったとしても半年も経つと経営が苦しくなるケースがあったりします。その原因は、お客さまが求めているのはラーメンのおいしさであり、お洒落や格好良さではないからでしょう。お洒落を求めるのであれば、レストランに行くのではないでしょうか。このように顧客のニーズと企業が発信することにズレがあれば、会社本来の価値や魅力を理解してもらえず、ブランドも確立されないし企業活動もうまくいきません。
「企業(経営者)と社員とのズレ」とは、会社側がやりたいことと社員の意識のズレ。実は非常に多いです。例えば、運送業者の経営理念が「安全・安心な輸送を目指す」でありながら、現場には「スピード配送」が大事だと目標が掲げられている。そういうギャップがあると、ついつい追い越し運転やスピード違反をしてしまうなど会社側が目指すものと現場の社員の行動に乖離ができ統一した印象を与えることができません。
さらに「社員同士のズレ」も結構多く、例えば車のディーラーで、最初に応対した社員が非常に親切で感じが良かったので、5年後に車を買い換えようと同じディーラーに行ったら、別の社員の応対が全く親切ではなくガッカリしてしまう。これは、会社として接客はこうあるべき、ということが社員全員に共有されていないからです。それではブランドのイメージが保てず、顧客から継続して選ばれなくなります。

これらの中でも一番経営にとって影響が大きいのは、「会社と顧客の間のズレ」でしょう。ここのギャップをいかに埋めていくかがブランディング活動の最も重要なポイントです。しかし、企業の「あるべき姿」を思い描いたとき、経営者と社員、または部署によってもバラバラで曖昧であることが多いものです。そこで、会社として目指す「あるべき姿」をしっかりと規定して、社内で共有した上で、顧客のイメージとのギャップを埋めていく活動が重要になってくるのです。

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