凸版印刷トッパンソリューション

分析編 統合レポートの傾向

統合レポートの基本情報

今回は、統合レポートを2014年12月末時点で発行済みの142社に、2015年10月までに新たに発行されたレポートのうち、18社分を加えた160社について調査いたしました。その中から、従来のアニュアル/CSRレポート等と中身がほとんど変わっていないものを除外し、さらに統合レポートとしての条件をある程度満たしていると判断した54社を対象に、分析させていただきました。

項目別の分析

以下の12項目について具体的に見ていきます。

冊子タイトル

冊子のタイトルについては「アニュアルレポート」「コーポレートレポート」「(社名)レポート」「統合報告書」の4つでほぼ95%を占めています。従来の印象ですと、「アニュアルレポート」「(社名)レポート」が多かったのですが、「統合報告書」「コーポレートレポート」という名前が増えてきているようです。

ページ数

ページ数については平均約80ページです。ここ何年かは、あまりボリュームが多いと読み手に負担になるということで縮小の方向にありましたが、70~80ページくらいで落ち着きつつあります。とはいうものの、コンパクト化は重要な課題の一つです。実際に少ないページの例を見ると財務情報がなくて40ページ、財務情報を含めても60ページ前後というものがありました。

補足ツール

補足ツールがある企業は依然として多い傾向にあります。特にデータ系は統合レポートの本冊子から外してWEB版や別冊を作るという流れがここ2、3年続いています。

IIRCフレームワーク

IIRCのフレームワークを活用しているのは、半分弱の43%でした。「レポート制作に際して参照しています」「編集にあたって参考にしました」などの文言が編集方針に記述してある例が多く見られました。また、GRIのガイドラインや環境省、ISO26000などを参考ガイドラインとして併記している場合も多いようです。
ある食料品メーカーでは、価値創造のフローの中に「IIRCが提唱する6つの資本の総和を『広義の企業価値』として捉える」というようなコメントが入っていますが、それだけでIIRCのフレームワークをどう活用したかという意思表明になります。単に「参照した」という段階から一歩踏み込んだ例として参考になるでしょう。

財務/非財務ハイライト

54社のうち財務ハイライトが半分以上掲載されていた項目と、3割以上掲載された項目を挙げました。だいたい予想通りの項目が並んでいる印象です。非財務ハイライトの方は各社により項目がバラけている印象です。
ある電気機器メーカーでは、しっかり数字を強調してグラフを併用し、写真も配置して理解しやすい財務・非財務ハイライトを作成していましたが、そこまで力を入れている企業は少数派のようです。

長期データの掲載

財務・非財務の両方とも掲載している会社が半分以上ありました。ただ非財務データの方は掲載期間が短いものもあり、例えば財務は10年だが非財務は5年というケースも見受けられました。

CEOメッセージとCFOメッセージの有無

さすがにCEOメッセージは100%掲載しており、平均で5.8ページでした。CFOメッセージは、統合レポートでは非常に重要だと考える投資家が多い中で41%の掲載。印象としては少ないように感じました。こちらは平均で2.0ページでした。
メッセージの形式も普通のあいさつではなくQ&A方式にしたり、資料を組み入れたプレゼンテーション形式や、キャッチーなリードコピーを添えるなど、読者の興味を引く工夫が目立ちました。

ビジネスモデルの有無

54社中37社、69%がオクトパスモデル等を参考にしたビジネスモデルを掲載しています。これも2014年に比べると増加している印象です。

資本の特定

これもIIRCのフレームワークにおける重要なテーマで、前回はあまり見られなかったのですが、今回は35%が資本の特定をしていました。ビジネスモデルや企業価値創造フロー、企業理念と組み合わせるなど、独自の工夫をしている会社が多く見受けられました。

中長期経営目標

ほとんどの企業が中期経営計画を発表していますので、100%近くが掲載していました。ただし、長期目標については、あまり掲載例がありませんでした。

ESG情報

平均すると約20ページの分量。全体の平均ページ数が約80ページですから、ESG情報はそのうち25%~30%を占めていることになります。最大で68ページという例がありました。
ESGハイライト、CSR総括といった、ESG情報のエッセンスを俯瞰できるページを工夫して掲載している会社も増えています。

全体構成

2015年のレポートを見ますと、ビジョン、戦略、企業紹介、特集、企業価値創造とそれを支える基盤、各種データという6つのピースをうまくつなぎ合わせてストーリーを作っていく例が多かったように思います。

これからの課題

12項目について見て来ましたが、今後の課題として5つ挙げてみました。こうした課題を、次からどう反映させていくか、引き続き注目していきたいと思います。

加藤 公明(かとう きみあき)
凸版印刷株式会社 トッパンアイデアセンター マーケティング企画部 コーポレートコミュニケーションチーム IR・統合報告担当 加藤 公明(かとう きみあき)
10年以上にわたり、IRビジネスに関わる。株主通信、IR Webサイトなどの個人投資家とのコミュニケーション施策、株主総会の企画・運営、アニュアルレポートの発行など数多くの案件を手がける。また金融機関向け施策の実績が豊富で、特にディスクロージャー誌については毎年分析資料を発行し、最新動向の把握に努めている。最近では企業価値を伝えるツールとして統合レポートに注目しており、グローバルな視点で今後の展開を注意深く探っている。

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