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分析編 CSRレポートの傾向

CSRレポート2015基本情報

今回は2015年10月までに発行された235社のCSRレポートを調査しました。このうち、冊子でレポートを発行した企業は184社、約8割です。全体の6割が36ページ以下で、ページ数は年々減少傾向にあり、冊子はダイジェスト版という位置づけが主流になっています。
ESG投資家等の専門家向けにPDF詳細版を作成している42社が発行する冊子ダイジェスト版は、PDF版を単純に抜粋したものが4割強で、残りの約6割はPDF詳細版を再編集して作成しています。ダイジェスト版は、比較的一般層に向けて発行するケースが多いので、よりわかりやすく編集し直すことが多いようです。

PDF詳細版については、ESG投資家等の専門家向けと位置づけている企業が36%という結果になりました。ボリュームは50ページまでが6割弱で、100ページまでを合わせると8割になります。しかしPDF版のページ数も年々減少しており、ESG投資家にとって評価対象とならない社会貢献事例等は割愛される傾向があります。
さらにWEBサイトについては、網羅的に情報を発信するツールと位置づけている企業が多い反面、ここ数年はWEBを概要版として位置づけ、詳細情報はPDF版の方に誘導していく作成方法が増加している印象を受けます。

GRI G4への対応

  • GRI G4の対照表を掲載した企業は全体の25%で、そのうち中核準拠が17社ありました。これは2014年の4~5社から大幅に増加しています。マテリアリティにおけるバウンダリーの特定については、比較的ハードルが高いために全体の34%という結果になりました。
    また、その企業のマテリアリティがなぜ重要か、どのようにマネジメントしていくのかを詳細に記述するDMAの開示については、企業によってレベルの差があるもの約8割が掲載しています。

ESG投資への対応

ESG投資への対応は、CSRの分野において今一番ホットな話題かと思います。DJSI等の調査項目に合わせた情報開示を行っているか、データ集があるか、WEBにESG調査用のインデックスページを設けているか等を基準に調べた結果、対応している企業は15%でした。

具体的な例としては
●ブランドマネジメント、イノベーションマネジメントなど、DJSI等の調査項目に合わせた構成
●WEB調査用インデックスの作成や、テーマごとに方針・規定、体制の有無を明示
●各活動やデータにおける範囲(単体、国内・海外グループ、カバー率)などバウンダリーの明示
●網羅性ツールを明確化し、調査機関のアクセシビリティを向上
といった対応が見られました。
こうしたESG投資への対応は、次年度以降さらに増加するものと予想されます。

統合思考の導入

CSRレポートの中に統合思考を組み込んでいる事例を紹介します。
●CSVの考え方を取り入れた価値創造プロセスを掲載
●CSRに関する目標・実績についてマテリアリティと企業価値向上の関連性を明確化
●事業活動で生じる社会への影響とそれを解決するCSR活動を関連づけ、環境・社会側面のリスク・ネガティブ 情報を開示

これまで企業価値向上のための情報発信が強調されてきましたが、今後は特に環境・社会側面におけるリスク情報の開示が重視されるようになります。よく海外の方から日本企業のレポートはいいことしか書いていないと指摘されます。日本企業が海外からより高い評価を受けるためには、いかにリスク・ネガティブ情報を開示していけるかが大きなポイントになるのではないかと考えます。

今後の傾向

G4、IIRCガイドラインが発行され、CSRレポーティングにおけるミッションは大きく二極化し加速化しています。専門家からはより専門的な情報を求められる一方で、興味本位の一般の生活者は社会との関わりや思いなど、ある意味情緒的な情報に関心があります。そのためには一般層向けの冊子ダイジェスト版と専門家層向けのPDF詳細版といった、ターゲットに則した編集がさらに一般化するでしょう。
専門家から評価を獲得するレポーティングとして、これまで挙げてきたG4への対応、ESG投資への対応、統合思考の導入がより重要なポイントになっていくと考えられます。

前田 啓太(まえだ けいた)
凸版印刷株式会社 トッパンアイデアセンター マーケティング企画部 コーポレートコミュニケーションチーム CSR担当 前田 啓太(まえだ けいた)
18年以上にわたり、CSR、IRのコミュニケーション支援に携わり、現在はインターナルコミュニケーションも含め、CCトータルプロデューサーとして幅広い領域をカバーする。特にCSR戦略構築支援を強みとする。環境省「環境コミュニケーション大賞」、東洋経済新報社「環境報告書賞・サステナビリティ報告書賞」、LACP「 Vision Awards 」、東証「ディスクロージャー表彰」など、アワード受賞実績も多数。

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