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コーポレートコミュニケーションの最新動向

海外レポートの傾向

海外レポート8つの動向

  • 1) G4ガイドライン
    日本企業と同様に海外企業でもG4への移行が進んでいます。まだ移行していない海外企業も、G3.1に準拠しながらGRIインデックスはG4を使用するなどの対応を進めています。
  • 2) マテリアリティ
    マテリアリティの特定は、企業経営に関わる問題であり、どのように開示するかは海外企業にとっても悩ましい問題の1つです。海外企業では、「マテリアリティの特定プロセスサイクル」「マテリアリティの優先順位づけ」「ステークホルダーの意見を反映」を重視しています。
  • 3) KPI(重要業績評価指標)
    ほとんどの海外企業で達成状況をしっかりと開示しています。また、ステークホルダーに向けてレポートなどで目立つように発信しています。
  • 4) バウンダリー
    海外企業では、バウンダリーの範囲を非常に明確にする特徴があります。その理由やプロセスの説明に至るまでも情報開示しているのが最近の傾向です。
  • 5) ステークホルダー
    海外では、ステークホルダーが多様化してきています。そのステークホルダーの意見を反映したサステナビリティ活動や、ステークホルダーが必要とする情報を適切に開示することが、ますます求められてきています。そのため、ツールも多様化しています。
  • 6) 統合報告
    統合報告への移行は、かなり進行しています。海外企業ではメインのステークホルダーを投資家と見ているのも影響しているのでしょう。ただ、統合レポートにすべてを集約するのではなく、相互参照する複数のレポートを発行して統合報告を行うスタイルをとっています。
  • 7) 外部保証
    企業が発信する情報は、信頼性が高くなければなりません。海外企業では以前からガバナンスや環境会計部分の外部保証を受けていましたが、昨今はマテリアリティ特定プロセスなども保証範囲に加える企業が増えています。格付調査機関から第三者保証を得た情報はと、何にもまして信頼に直結します。
  • 8) 外部評価
    海外企業は、ランキングを非常に意識しています。DJSJやFTSE4Goodなど、外部のサステナビリティのランキングや評価は、企業にとって重要な要素です。そのため、調査機関向けのデータ集を作成する傾向が強くなってきています。

海外レポート10の事例

  • 1) 英国/小売業
    特徴を一言にまとめると「経過報告を重視したCSR報告」ということになります。この会社はアニュアルレポートのほかにも、2020年までに達成すべき課題・目標をまとめたプランAレポートを発行しています。100項目に及ぶKPIの達成度を実績とともに開示しており、進捗状況がわかりやすいつくりになっています。
  • 2) 米国/メディア
    「活動を行う国にあわせた報告」です。アニュアルレポートで財務報告を行っているのですが、2つのバージョンが発行されています。法令の違いに対応するため、米国向けと英国向けを作成しています。また、GRI対照表を別冊として発行するなど、細部への配慮も見てとれます。
  • 3) スイス/医薬品
    この会社は「ステークホルダーにあわせた多様なCSR報告」がなされています。フルレポートをはじめ、サマリー版、ハイライト版など、すべてのステークホルダーに対応しています。内容もG4に準拠しており、アイコンなどを駆使しながら、わかりやすいページ構成に仕上がっています。
  • 4) 米国/運輸業
    こちらも「ステークホルダーにあわせた多様なCSR報告」といえるでしょう。財務報告はアニュアルレポート、非財務報告はサステナビリティレポートで報告されています。補足資料として、G4対応の際に除外したG3.1のマテリアリティを報告する別冊を発行しています。
  • 5) 米国/電気機器
    「PDFの機能を活用したインタラクティブレポート」となっています。パソコンやタブレットでの閲覧を前提として制作されており、PDF上の矢印をクリックすると説明内容がポップアップされる仕組みです。また、マテリアリティの特定プロセスが開示されており、特定の前と後のプロセスサイクルをフロー図で見ることができるのも特徴の1つです。
  • 6) 韓国/電気機器
    一言でいってシンプル。「統合報告の要素を盛り込んだサステナビリティレポート」として1冊に集約されています。ステークホルダーグループの全体図では、ステークホルダーグループに対するアプローチ方法の例にあわせ、売上げや寄付金などのKPIを開示しており、一目で理解できるつくりです。
  • 7) オランダ・英国/生活用品
    「財団活動の報告に特化したレポートを発行」しています。財務・CSR戦略報告はアニュアルレポート、非財務報告はサステナビリティレポートで報告。社会貢献活動に力を入れており、運営する財団の活動を中心とした報告書も作成しています。
  • 8) ドイツ/自動車
    特徴とてあげられるのが、「業界向けの専門レポートを発行」していることです。財務報告はアニュアルレポート、非財務報告はサステナブルバリューレポートでなされているのですが、そのほかに温室効果ガス排出に関する自動車・運輸業界向けの報告書も発行しています。
  • 9) 南アフリカ/情報・通信
    まさに「統合レポートのモデルケース」。統合レポートの中で、財務報告、非財務報告がしっかりと開示されています。目に留まったコンテンツでは、ビジネスモデルを資本と事業活動のサイクルと事業活動の各段階におけるアウトプットを開示、ガバナンス報告ではインセンティブの評価基準まで含めて役員報酬まで開示されていました。統合レポートとは別に、温室効果ガス排出に関する報告書も発行されています。
  • 10) スイス/飲料
    統合レポートで財務・非財務情報を開示しながら、「各種媒体で統合報告を補強」しています。例えば、財務報告の詳細はアニュアルレポート、非財務報告の詳細はGRI/COPレポートで補強しています。
實方 典代(さねかたのりよ)
ッパンエディトリアルコミュニケーションズ株式会社 インターナショナルディレクター 實方 典代(さねかたのりよ)
アメリカでのビジネス経験や海外コネクションを活かし、CSRレポートや統合レポートの英訳、英文ライティング、海外企業リサーチなどを担当。2004 年よりCSRレポートをはじめCCツール全般の英訳、英文ライティングを始める。年間、平均で15冊のCSRレポートなどの英文ディレクション、英訳を手掛ける。

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