凸版印刷トッパンソリューション

コーポレートコミュニケーションツールの現状からわかること

CSRレポートの傾向

レポートの基本情報

  • 1) 冊子は二極化、PDFはより利便性を高める方向に
    DJSIや環境コミュニケーション大賞に選出される企業などCSR先進企業50社の調査・分析から見えてきた傾向をご紹介します。
    冊子のページ数は、数年前まで36ページから48ページがボリュームゾーンでしたが、24ページ以下や48ページ以上の冊子が増えており、二極化の傾向にあるようです。一方のPDFのページ数は51ページから100ページがボリュームゾーンで、機関投資家など専門家向けという位置づけが定着しています。また、「詳しく見る」をクリックするとそのページに飛ぶインタラクティブ機能など、利便性を高める工夫も見られるようになってきました。冊子とPDFの役割分担としては、冊子は、読者ターゲットを絞り込んだコミュニケーション版、PDFを詳細版として位置づけるケースが多いように思います。
    ページ構成はG4(GRI第4版、以下同)の影響を強く感じる結果となり、ステークホルダー別が大きく減り、マテリアリティ別が40%を占める結果となりました。
  • 2) メディア特性を活かし進化し続けるWEB
    一方、WEBではどういう構成になっているかみたところ、32%は冊子・PDFと異なる構成になっていました。冊子・PDFとWEBでは、ターゲットの違いが構成の違いに表れているのでしょう。冊子・PDFは読者ターゲットを絞り込んでいるのに対し、WEBは幅広い読者を想定しています。そのため、一般層でもわかりやすいシンプルな構成にしたり、読者が自分に関連した情報にアクセスしやすいよう、ステークホルダー別の構成を残していたりしているのだと考えます。
    WEBとPDFの位置づけについてもみてみましょう。WEBは際限なく情報を盛り込めることから詳細版とし、冊子をつくっている企業のPDFはダイジェスト版というツール体系が主流ですが、その逆のWEBはダイジェスト版、PDFが詳細版という組み合わせも想定以上にありました。WEBのコンテンツが膨大かつ複雑になってしまい、閲覧されなくなってきたせいもあるかもしれません。WEB、冊子、PDFの位置づけを見直す時期がきていると感じています。
    また、WEBでは動画掲載をするサイトがここ1、2年で非常に増えていることも見逃せません。

レポートの内容

  • 1) マテリアリティの特定
    ガイドラインの状況に関しては、G4を参考にしている企業が昨年の2社から大幅に増加し、22社となりました。そのうち中核(Core)準拠は4社にとどまっています。マテリアリティ情報の開示については、プロセスを定性的もしくは定量的に開示している企業が7割近くありました。やはり、G4の影響は絶大です。
    定性的なプロセスの開示事例としては、12ページにわたりプロセスを開示している企業がありました。特に、ダイアログに多くのページを割いており、エンゲージメントを重視していることが強く印象づけられます。また、定量的な開示はG4でも推奨されており、閾値(重要と考える基準)があるため、とても明快です。さらに、バウンダリーです。マテリアリティの特定プロセスでバウンダリーを開示していくもので、バリューチェーンに沿って整理されている事例は、読者にとってもわかりやすいものだと思います。
  • 2) CSVへの意識
    CSVへの言及は8社と、昨年と大きな変化はありませんでした。2014年3月、CSR有識者による「CSRとCSVに関する原則」の中で、“CSVはCSRにとって代わるものでない”と表明したことが、ある意味、警鐘となったのかもしれません。とはいえ、事業を通じて社会課題を解決していくとう考え方は、主流になっています。
    ただ、温暖化や高齢化など、どの企業でもいえる社会課題ではなく、その企業だからこそ解決していける課題や、企業活動を行う上で生じる環境・社会影響を課題として真摯に捉え、それを解決して社会に貢献する製品を提供していくストーリーづくりが今後重要になってくると考えます。
  • 3) 経営とCSRの一体化
    昨年までは中期経営計画がCSRレポートの中でどのように位置づけられているかをみてきました。しかし、今年注目したのは、事業別に報告を行っているかどうかという点です。事業別に報告している企業は約20%とまだまだ少ないものの、経営(事業)とCSRの一体化訴求の1つの方法として、増加している印象があります。
    事業ごとにマネジメントメッセージ、目標と実績・評価、取り組み事例を掲載しているものもでてきています。事業ごとにPDCAを機能させて報告していくことで、CSR活動の推進力になるとともに、従業員の意識を高めていく効果があると考えており、今後皆さまに積極的にご提案していきたいと思っています。
前田 啓太(まえだけいた)
凸版印刷株式会社 トッパンアイデアセンター マーケティング企画部 コーポレートコミュニケーションチーム CSR担当 前田 啓太(まえだけいた)
15年以上にわたり、CSR、IRのコミュニケーション支援に携わり、現在はインターナルコミュニケーションも含め、CCトータルプロデューサーとして幅広い領域をカバーする。特にCSR戦略構築支援を強みとする。環境省「環境コミュニケーション大賞」、東洋経済新報社「環境報告書賞・サステナビリティ報告書賞」、LACP「 Vision Awards 」、東証「ディスクロージャー表彰」など、アワード受賞実績も多数。

ページトップへ